清志郎の魂を次世代へと届け続ける実力派ミュージシャンたち

現在、日本のロックシーンで活躍している中で、大会場で単独ライヴを開催できるのは40代以降のミュージシャンが多いですよね。

それはやはり60年代70年代の洋楽ロックをリアルタイムで経験したことによって培われた感性と、ロックバンド全盛時代を生き抜いてきた実力があるからでしょう。

そんなミュージシャンたちの中にも清志郎の影響を垣間見ることができます。

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奥田民生が清志郎に送ったことば「おかげで僕はだいぶ楽でした」

▲音楽バカっぷりは清志郎にも負けていない？奥田民生

現在48歳の奥田民生は、1987年にユニコーンのボーカルとしてデビュー。世の中はまさしくバンドブーム前夜です。民生の音楽マニアぶりはよく知られたところで、さまざまな先輩ミュージシャンとのコラボレーションが実現しています。

影響を受けたミュージシャンが多すぎて「いったい本当はだれの影響が強いのか？」という気もしますが（笑）。ユニコーン時代からRCサクセションが好きだということは公言していました。

NHKの番組でユニコーンとジュンスカイウォーカーズのコラボによる「雨あがりの夜空に」の演奏がおこなわれたこともあります。そうかと思えば、2000年に開催されたトリビュートイベント『RESPECT！忌野清志郎』では「つ・き・あ・い・た・い」をカバー。

2011年の『忌野清志郎ロックンロールショー』では「スローバラード」を熱唱しサビの「悪い予感のかけらもないさ」の部分では見事に伸びのあるボーカルを聴かせ、満員の清志郎ファンから大きな拍手を送られていました。

独特のすっとぼけた立ち振る舞いと、歌うことの意味を問われたくないようなときには意味を放棄した歌詞は、清志郎のように自由に音楽を楽しめる才能が民生にもあるからこそ。

ロッキンオンジャパンの追悼号で清志郎へのことばを求められた彼は「おかげで僕はだいぶ楽でした」とつづっています。短いことばに清志郎がパイオニアとして日本のロックシーンを切り開いてきたことを伝えていると思います。

真心ブラザーズ～RCと同じく、フォークユニットからロックバンドへ

▲真心ブラザーズのYO-KINGはさまざまな形で清志郎へ対するリスペクトを表現

奥田民生の盟友、真心ブラザーズの2人は自他ともに認める清志郎チルドレンです。身の回りの出来事をポップなビートで歌う楽曲への影響はもちろんのこと、YO-KINGのがなりたてるようなボーカルスタイルは声の届かせ方にこだわった清志郎の影響大。

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そういえば、真心ブラザーズはデビュー当時フォークユニットとして活動していました。初期のRCからインスパイアされた部分もきっとあったでしょうね。

99年にYO-KINGはヒップ・ホップ・ユニット、エレファントラブで清志郎をゲストに招いてのシングル『STAY GOLD』を発表しました。

ジャケットでは3人がレコード屋でアナログ盤を物色しているのですが、そのレコードがタイマーズのインディーズ盤やRCのレコードというところに愛を感じてうれしくなってしまいました。

さらに藤原ヒロシとのスペシャルユニット“AOEQ”では「デイ・ドリーム・ビリーバー」をカバー。「彼はキング～」と歌詞を変えて清志郎への想いを歌いました。

真心ブラザーズとしては正式にコラボしたことはなかったですが、追悼イベントでは「ファンからの贈りもの」「JONNY BLUE」「お墓」といったマニアックな選曲をひょうひょうと、力強く披露しています。

夫婦そろって清志郎ファンのYO-KINGとYUKI。結婚前はRCのカバーで共演

▲YO-KINGの妻YUKIは10代の頃に聴いたRCに影響されたことを公言

ちなみにYO-KINGの妻YUKIも清志郎追悼イベントに参加。

これまた「自由」「不思議」というコアなファンが喜びそうな曲をチョイスしました。「自由」の強烈なイントロのギターをチャボが掻き鳴らすとYUKIが袖から現れる演出は最高でした。

残念ながらこの曲のみテレビ放送上カットされていたのですが、いったいどうしてなんでしょうか？「俺は法律を破るぜ」という歌詞がまずかったのでしょうか（笑）？

そういえば、YO-KINGとYUKIは結婚前にRCの「キモちE」でデュエットしています。それが結婚のきっかけのひとつかもしれませんね？

替え歌「ずっと嘘だった」を歌った映像をYouTubeにアップして物議をかもして以来、反原発ソングを歌うミュージシャンとしても認知された感のある斉藤和義。

彼は『RESPECT！忌野清志郎』でも初期のRCのシニカルな曲「シュー」を歌ったように、清志郎の反骨面に影響を受けているようです。

2011年の追悼イベントのステージ上からは「清志郎さん、まだ替え歌は怒られちゃうみたいです」とのMCで歓声を浴びました。RCサクセション『カバーズ』を意識したコメントなのは明らかで、こういうところにファンは喜びを感じてしまうんですよね。

清志郎が趣味としていた自転車に斉藤和義も誘われていたようで、「ツール・ド・鹿児島」壮行会としておこなわれた日比谷野音でのライヴイベントで「斉藤も行こうといわれましたけど、断りました」と話しています。

最も忌野清志郎にあこがれた男トータス松本の気合いの入った「すべてはALRIGHT」に感動

▲ソウル・フリークのトータス松本こそは清志郎の後継者！？

この世代で最も清志郎からの影響の大きさを感じさせるのはやはりこの人、トータス松本。

ボーカリストとしてのバックボーンであるソウル・R&B好きという意味で共通点があります。そもそもRCがきっかけでオーティス・レディングやサム・クックなどを知ったとのこと。

好きなミュージシャンのルーツを探るというのは、かつてみんながやったことですね。

『RESPECT！忌野清志郎』への出演がスケジュールの都合でかなわず涙を飲んだというトータスですが、地元大阪でおこなわれた新イベント『ナニワ・サリバン・ショー』の第一回に出演しました。

ウルフルズでも音源として残したカバー「すべてはALRIGHT」を清志郎とともに披露し、ものすごい気合いのこもったステージを見せてくれました。

清志郎が亡くなってからしばらくライヴで“にわか”の話題作りとしか思えないカバーをする歌手もいましたが、トータスの清志郎カバーはほんとうに心がこもっていて最高です。ある意味もっとも“わかっている”人だと思います。

文・岡本貴之

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