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不動産査定Campus~マンションや不動産の売却のお役立ち情報

札幌の不動産査定 に影響している高い女性比率と逆ドーナツ化現象

低い男性人口比率、逆ドーナツ化現象などの課題を抱える札幌市では、今後は不動産査定においても売り手にも厳しくなる状況が予想されます。

ここでは、札幌市が抱えるこれらの問題が、どのような理由で発生し、どのように不動産の査定に影響を与えるのかを解説して行きます。

札幌市の人口の特徴 ~女性比率が高い~

札幌の人口の特徴は「女性の比率が高い」ことです。札幌だけでなく北海道全体として女性比率が高いのですが、これにはある事情があります。

北海道には雇用があまりありません。特徴的な産業は農業や漁業くらいで、これらの業種は製造業などのように大きな雇用を生み出すことができないからです。

また、将来にわたって生活を安定させるだけの高給も保証できないため、これらの産業では若い男性を地域にとどめておくことはなかなか出来ないというのが実情です。

そのため、北海道は古くから職を求めて道外に出る男性が多い地域でした。大都市である札幌でさえも例外ではなく、若い男性が他県にでていってしまうことにより、男性の人口比率が低くなっているわけです。

男性が少ないためにますます産業力が弱まり、その結果さらに男性が道外に出て行くという悪循環に陥っています。

数字で見る札幌市の人口の女性比率

札幌市の人口の女性比率の高さは、数字で見るとより顕著です。2009年のデータですが、全国の20代の男女比は104:100と男性が4%多くなっています。これに対し札幌市は94:100と比率が逆転しています。女性が6%多くなっています。

さらに中央区に至っては驚くほどで、84:100という大きな差となっています。全国平均との差は実に20%です。札幌は若い女性が多いというのが、何となくのイメージではなく事実であることが、この数字でもよくわかるでしょう。

女性比率の高さが不動産の査定に与える影響

このように若い女性の比率が高いということは、街が華やかに見えて一見いいことのようですが、不動産査定の面で考えると、マイナスも多くあります。

賃貸物件の家賃がすべて安くなる

女性は男性より経済力がありません。ということは、若い女性の多い地域では、賃貸物件の必然的に家賃も下げざるを得ないということです。

実際、札幌の家賃は日本全体でもトップを争うほど低く、日本で5番目の人口を誇る大都市としては、驚くほどリーズナブルです。家具付きの小綺麗なマンスリーマンションでも月額3万円程度で住めることが多く、東京などの2分の1~3分の1といったイメージです。

家賃相場が安ければ、不動産の査定額も低くなる

当然ですが、このように家賃の相場が安ければ、不動産の査定額も低くなります。その不動産を買い取った人が、それを賃貸に回しても利益を出しにくいのですから当然です。

これはもちろん、中古マンションに限った話ではありません。土地でも中古住宅でも不動産の査定全般で言えることです。

人々の経済力が小さい以上、「そもそも買える人が少ない」わけですから、不動産の査定がアップする理由がないのです。

不動産市場に関しては、札幌は全国的に見てももっとも「デフレ」的な状況になりやすい地域だと言えるでしょう。

人口190万人突破も、人口は減少傾向に

札幌市は2009年に人口190万人を超えましたが、このことはほとんど話題になりませんでした。その後明らかに減少することが目に見えていたので、むしろ人口に関しては悲観的なムードの方が強かったからです。

事実、2009年に日本政策投資銀行が発表したレポートの、2035年の予想人口は「175万人」となっています。つまり25年後に15万人減る、と推測していたことがわかります。

札幌市内で進行する「逆ドーナツ化現象」

さらにこのレポートで同銀行が指摘しているのは、市内で急速に進む「逆ドーナツ化現象」です。ドーナツ化現象は、「都市の中心部が空白になり、周縁部ばかりに人が住む」というものです。東京など中心がオフィス街になっている都会でよく起こる現象です。

札幌で今起きているのはこの逆で「人々が中心部に集まり、市内周縁部には人が住まなくなる」というものです。

この地域でこうした現象が起きる理由は、冬の厳しさにあります。冬のバスのダイヤが毎日のように乱れ、徒歩や自転車での移動も厳しいこの地域では、鉄道、特に地下鉄に人気が集中します。

そのため、地下鉄や電車が便利な市内中心部は昔から人気がありました。しかし、昔は札幌市全体の不動産価格が高かったため、多くの人はやむなく市の周縁部に住んでいました。

しかし、これが近年の不動産価格の下落によって「中心部でも十分住める」状態になり、多くの人が中心部に集まっているわけです。

数字で見る、中心部への人口集中

この集中度合いも数字で見るとはっきりわかります。1999年から2009年の10年間、中央区の人口増加数は約33000人。これに対し、周縁部である南区は「マイナス8700人」と、逆に減少しています。

これは不動産の価格にもはっきり現れており、2009年の南区のある住宅地の地価は「前年比マイナス12.5%」と、この年の北海道全体でトップレベルの落ち込みを記録しました。

このデータは2009年のものですが、当時予想された通り、札幌の中心部回帰の現象は今も加速しています。南区、厚別区、手稲区などの周縁部に物件を持っている方は、今後は不動産査定でもますます不利な状況が続くと考えられます。

そのように不利な状況がさらに加速するまえに、これらのエリアに不動産を持つ方は、早めの売却を検討した方がいいかも知れません。

逆に中央区、北区、西区などの中心部に物件を持っている方は、不動産の査定額が上がりそうであれば、売却をしばらく待つというのも賢明かも知れません。(もっとも、札幌全体の人口が減っていることを考えると、「中心部はまだマシ」というだけの状況かも知れませんが…)

札幌市の事業用不動産の査定価格の動向

札幌市の事業用不動産の査定に関する動向としては「大通地区の低迷」と「駅前地区の活性化」が挙げられます。

大通地区は多くの日本人が知っている「すすきの」がある場所です。かつて札幌市の商業はほとんどこの地区に集中していましたが、駅前に「JRタワースクエア」がオープンしたことで、テナントも買い物客も急速に駅前に移っています。

JRタワースクエアは、ファッション・グルメなどの一般的なテナントはもちろん、オフィス・メディカル・娯楽など、仕事から日常生活までありとあらゆるニーズを満たせるようになっています。

パセオ、アピアといった二大地下街とも連結しており、冬でもここから一歩も出ることなく、すべての用事をこなせるわけです。当然冬の人気は「すすきの」よりもこちらに移行していき、かつての大通地区の一人勝ちは、今では過去のものとなっています。

こう書くと駅前地区にとってはいいことのようですが、そうでもありません。日本全体と同様、札幌市の景気も長らく低迷しているので、この地域の商業を象徴する「すすきの」が倒れてしまうと、地域全体の景気がますます冷え込んでしまう可能性があります。

そのため、駅前と大通の共存を図るべく、両地点をつなぐ地下歩行空間が、2011年に開通しました。これによって、冬でも駅から「すすきの」に多くの人々を移動させることができ、大通地区の低迷もいくらか改善されました。

駅前と大通以外の物件は、依然厳しい状況

このように、大通地区に関しては光も見えていますが、それ以外の地区となると、依然厳しい状況です。店舗用物件でもオフィス用物件でも賃料の低迷が続いており、今後も起爆剤となる材料が特に見当たりません。

こうした傾向を考えると、事業用物件でもやはり、市の中心部を除いた多くの地域で、早めの売却を考えた方がいいでしょう。

もちろん、焦って売却をする必要はありませんが、売るとしたらどのくらいの価格になるのか、ということを知るためにも不動産の査定だけは受けておくことをおすすめします。

その査定額を見て初めて、いつ頃売るかどうかのシミュレーションもできるようになるからです。何をシミュレーションするにしても、まずは情報を集めることが大事であり、不動産の売却の場合は、その第一歩が「査定」と言っていいでしょう。

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