
「任意保険に入らないで自動車を運転する人がいるなんて信じられない」そう思っている人が多いのではないでしょうか。しかし実際に調べた統計を見ると、任意保険はおろか必ず入らなくてはいけないはずの自賠責保険にすら加入していない無保険のドライバーがたくさんいるのです。
そんな無保険車を相手に事故を起こしてしまったら、相手の保険を使った補償を受けることができないし、経済力がない相手なら、まったく補償を受けることができない!といった事態に陥る可能性は誰にでもあるのです。
そんな時のために無保険車にも対応できるよう、自分の契約内容を見直してみましょう。
自賠責保険ではカバーできない
自賠責保険に加入していても、これが補償してくれる金額ではもし事故を起こしてしまったらとてもカバーできるような補償内容ではありません。
対人補償で相手が死んでしまった場合でも最高で3000万円まで、重い障害が残ったり、植物人間のように長期間の介護が必要な状態になっても最高で4000万円までしか補償してくれません。昨今の対人事故の賠償額は数億円にのぼることも希ではなく、これではとても足りません。その上、自賠責保険には対物補償がないのです。
原付の運転者を中心に、そんな頼りない自賠責にすら入っていない人達もいるというのですから驚きです。
驚くほど低い加入率
任意保険の加入者を調べたデータ(2012年3月)によると、全国の自動車保険の加入率は、対人補償の加入者は73.1%、対物補償は73.1%、搭乗者傷害が45.1%、車両保険が42.1%。これは全国の平均値ですから県別に見れば50%そこそこの加入率の県もいくつかあります。
この中には、車の運転はしていても保険の掛け金を抑えるための年齢制限特約のせいで実際には補償対象外になっている十代や二十代前半の若者の数は含まれていません。街を走っている無保険車両の数は更に多い割合になるはずです。
無保険車が予想以上に多くある状態だと認識しておけば、車両保険の必要性も理解しやすいですね。
補償されない事故は他にも
当て逃げやひき逃げにあって、犯人が捕まらなければ保険は適用されませんし、盗難車と事故を起こした場合も盗まれた本人の保険を使って補償してもらうわけにはいきません。
もちろん、免許を持っていない人間の運転する車が相手の場合も相手の保険からの支払いを期待することはできないことになります。
身を守るために何をするべきか
こんな自動車と事故を起こしてしまった、事故を起こされてしまったとき、相手の過失が100%だったとしても支払い能力がなければ損害を賠償してもらうことはできません。そんな時のためにあるのが「無保険車傷害保険」です。
無保険車傷害保険は、自分で契約している対人賠償上限金額と同じ金額の範囲で、本当は事故の相手が補償しなくてはいけない部分を補ってくれるプランです。今の契約の対人賠償金額は「無制限」に設定されていることがほとんどなので、無保険車傷害保険の上限は2億円程度に設定されています。
その他に無保険の車と事故を起こしてしまったときに役立つのが「人身傷害保険」と「車両保険」です。
人身傷害保険は、契約している車であれば、契約者本人とその家族、搭乗している人すべての損害を補償してくれます。本人と家族なら、契約車以外の自動車に乗っているときも補償の対象です。
車両保険は、自分自身の車が損害を受けたときの修理費用を負担してくれます。相手からの補償が期待できず、自己負担で車を直さなくてはいけなくなったときや当て逃げなど、相手が誰かわからないときに助けになってくれます。
任意の自動車保険に加入している人でも、子どもが免許を取ったのに特約の年齢制限を解除または範囲を広げる手続きをしていなかったため、事故が起きてから実は補償対象外だったことに気がつく事例も多数あります。
損保会社の担当者がついていれば、そのあたりは十分配慮してくれるのですが、インターネットで契約して、そのまま自動更新を続けていると見直すタイミングを忘れてしまっていることがあります。ついうっかりでは済まされないことなので、覚えのある人はすぐに補償内容を見直してみましょう。
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