アルファードの買取 ~『没個性だが優等生』の、査定で有利な車種~

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ミニバンを代表する「優等生」のアルファードは、その万能ぶりから、査定では常に高い買取価格がつきます。

この優等生ぶりは、マニアの方にとっては「没個性」と映ることもしばしばありますが、逆にそうした車種の方が高く査定されるという好例と言えるでしょう。

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アルファードの中古車市場での相場

アルファードの中古車の相場の目安は下のようになっています。

・2002年モデル…20~285万円
・2008年モデル…160~1027万円
(2014年5月13日、カーセンサーnetより)

2008年モデルの最高値の「1027万円」という数字が目立っていますが、これは何らかの理由でプレミアがついたものでしょう。新車価格の最高値が863万円ですから、1年落ちの中古車の場合でも最高値で700万前後と考えておいた方がいいでしょう。

特に買取価格が高くなるハイブリッドモデル

アルファードは、ラージサイズのミニバンでは数少ないハイブリッドモデルのある車種です。そのため、ハイブリッドモデルの中古車の買取価格は特に高くなっています。

その買取価格の高さは中古車市場に詳しい自動車評論家である籠島康弘氏も、All Aboutのコラムでこう評価しています。

「それでも9年落ちでようやく半額ですから(中略)購入後のリセールバリューも高い車だと言えます」(2012年2月29日のAll Aboutより)

「中略」の部分には何が入るかというと、「中古車の買い手にとってはあまりお買い得ではない」という内容です。

籠島氏のこの連載は「いかにお買い得な中古車を探すか」という「買い手目線」のコラムなので、「中古でも高く売れる車」というのはマイナスの扱いなのです。

なので、「中略」の部分では「あまりお買い得ではないが」という内容が入っているわけです。しかし「逆に言えば、自分が後で手放す時、これだけ古くてもなお現金になる車だ」というフォローを籠島氏はしているわけですね。

この時の記事は完全にアルファードのみを特集したものです。

買い手のためのコラムで、買い手にとってあまり得でない「古いのに高い車」を専門家が特集するくらい、アルファードのハイブリッドは性能も高く、リセールバリューも高い車だということです。

ヴェルファイアと連動する査定価格

アルファードとヴェルファイアは、兄弟車とも言える存在です。

モータージャーナリストの塚田勝弘氏は自身のコラムで「アルファード兄弟」「アル/ヴェル」などと表現しており、プロがこうした造語を使うくらい、両者の関わりは深いといえます。

これはつまり、ヴェルファイアの新車・中古車の価格動向は、そのままアルファードの新車・中古車の価格にも反映されるということです。

たとえば普通なら、アルファードの在庫がない中古業者は、在庫を補充するためアルファードを欲しがります。そのため、普通ならこういう業者はアルファードを査定に出す側にとって「狙い目」です。

しかし、もしこの業者が兄弟車のヴェルファイアの在庫を多数持っていたとしたら「別にアルファードは要らない」わけです。つまり、「アルファードが不足している業者でも、アルファードを欲しがるとは限らない」ということです。

もちろん、実際には業者の在庫を車種ごとに調べるというのは難しいことです。なので、ほとんどの方は一括査定を利用するわけです。(そうすれば、在庫の少ない業者の査定価格は自然と高くなり、それでわかります)

こう考えると、一括査定を使う方であれば、それぞれの業者の在庫にアルファードがどれだけあろうが、ヴェルファイアがどれだけあろうが「関係ない」わけですが、裏ではそうして買取価格が左右されている、ということは知っておいて損はないでしょう。

また、在庫以外の部分でヴェルファイアの動きに左右されることもしばしばあるでしょうから、「ヴェルファイアの動向と連動する」ということは意識しておくといいかと思います。

アルファードの査定価格が高い理由

アルファードは中古車市場での査定価格が特に高い車種の一つです。これは、自動車に強いこだわりを持つ方からすると納得のいかない部分もあるようです。

「ただデカいだけで、普通の車じゃん」という意識が、マニアの間ではあるからです。(アルファードはミニバンの中では最大級のサイズを誇っています)

しかしその「普通さ」が中古車市場では逆に歓迎されるのです。売れる中古車の条件は「乗り手を選ばない」ということです。「没個性」というのはよく言えば「誰が乗ってもいい」ということで、それでこうした車種は高く買取してもらえるんですね。

・評論家・国沢光宏氏の評価

マニアの間でアルファードがどういう評価をされているか、自動車評論家の国沢光宏氏のコラムを見てみましょう。現行の最新モデルが出た2008年5月、国沢氏はコラムで下記ような内容を指摘しています。

「クルマ通や、クルマに夢を持っている人にとっては、すべての面で90点止まり」「優等生だが突出した魅力に欠ける」(2008年5月23日のAll Aboutより)

総合的にはかなり褒めており「あくまで自分のようなマニアにとっては」というスタンスでの批評です。

上記以外では、「95%以上の人が、大満足という判定を下すだろう」という「文句なし」の高評価もしています。

このようにアルファードは「マニアにとってはつまらないけど、普通の人々にとっては理想的なクルマ」であり、それが査定でも高い買取価格を提示される理由となっているのです。

アルファード専門店の情報

アルファードの専門店は、現在ネットに情報が上がっているものでは下記のようなショップがあります。

・ハイウェーオート(愛知県春日井市)

アルファードだけでなく、エルグランド、エリシオン、エスティマ、ヴェルファイアを専門的に扱っている店舗です。

・トミイオート(埼玉県川口市)

同じく、アルファードに加えてオデッセイ、エリシオン、エルグランドを扱っている店舗です。

特定の車種の専門店というのは、人気車種であれば大抵全国に1~2店舗あります。アルファードの場合はいずれもエルグランドやエスティマなどの類似車種を一緒に扱われているというのが特徴的です。

少なくとも専門店の傾向だけを見ると、他の人気車種に比べてアルファードは「ミニバン」という「ジャンル」で見られていると言っていいでしょう。ある意味、アルファードの固定ファンが少ない、という見方もできます。

固定ファンが少ない理由は、上記で紹介した国沢氏の評価がすべてを物語っているかもしれません。アルファードに乗る人々は、別にこれでなくても「便利なクルマ」であれば何でもいいのです。

まとめ

以上、専門家の評論なども交えながら、アルファードの査定や買取のヒントとなるような情報をお伝えしました。

特に「個性が歓迎されるとは限らない」というのは、中古車の買取だけでなく、人生の多くの場面で哲学的なヒントとなるかも知れません。

自動車評論家の大岡智彦氏は、2013年に話題となった「ピンクのクラウンアスリート」について「珍しい色というのは、誰も乗りたくないから珍しいのだ」という表現で、こうした奇抜なカラーの車のリセールバリューが著しく下がることを指摘しています。

このクラウンアスリートの場合は、それも見越して大岡氏の指摘通り少数生産となっているので、リセールバリューが大きく下がることはなさそうですが、「珍しい=歓迎されないから珍しい」という彼の言葉は、非常に深い意味があります。

「一般受けすること」と「個性を出すこと」の間で、商品の開発者も芸術家も、すべての人が悩んでいるでしょうが、中古車の買取の中にもそうした深いテーマが見え隠れしているわけです。

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