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不動産査定Campus~マンションや不動産の売却のお役立ち情報

福岡の不動産査定 ~人口動向と九州新幹線の影響から見る今後の価値

日本の主要都市で、もっとも若い世代の人口が多い福岡市は、今後の不動産の査定にとってもプラスとなる材料が多くあります。

開業から3年経った九州新幹線による経済効果も依然として高く、不動産市場にも好影響を与えています。

ここではそんな福岡市の不動産査定の動向を知るために、人口動向、新幹線による影響、オフィス物件の動向などを順に紹介していきます。

福岡市の人口動向 ~主要都市で、若者がもっとも多い街~

福岡市を歩いていると、「若い人が多い」という印象を受けます。これは錯覚ではなく実際に2013年のデータを見ても、福岡市の15歳~29歳の人口は、全国の主要都市(人口50万人以上)の中でもっとも高い比率となっています。(19.5%)

そして、産業が多く買い物などの便もいい福岡は、これらの世帯がそのまま家族を形成して残ることが多くなっています。それは「5歳未満の人口」のデータからわかります。

福岡市は5歳未満の人口数も近年大きく増加しており、若い世代がここで結婚し、子供を産んで家庭を形成している、ということが容易に想像できます。

若い人口が多いということは、マンションなどをリノベーションする時もそれを意識して行うと、不動産査定においてもより高い評価を得やすいと言えます。また、内覧を受ける時なども意識すべきデータでしょう。

東京についで人口が転入超過の街

福岡市は東京についで人口が「転入超過」の街です。これは「出て行く人より、入ってくる人が多い」ということです。不動産査定の観点からみると、売り手にとってはとても有利な状況といえるでしょう。

しかも、福岡の特徴として「入って来た後、出て行く人が少ない」ということがあげられます。

全国各地にこうした「若者がたくさん入ってくる街」はあるのですが、20代前半に流入してきた人たちが20代後半から出て行く、というパターンのところが多いようです。

イメージとしては「就職して、とりあえず職場のある街に引っ越した」「結婚してから、少し郊外のマンションに引っ越した」といった感じです。特に東京のような大都市でよくあるパターンと言えます。

しかし、福岡にはそうしたパターンが見られません。「仕事を求めて入ってきて、そのまま定住する」という若い世代が非常に多いのです。

こうした特徴から、福岡における人口減少は他の都市と比較すると今後も小さいと見られ、高齢化率も低いと予測されています。

どちらも不動産の査定にとっては非常に明るい材料で、福岡に物件を持っている人にとっては、今後もこの傾向が続いてほしいことでしょう。

九州新幹線が不動産市場に与える影響

2011年に九州新幹線は博多まで伸びて完成しました。このことが地域の不動産市場に与えている影響は、かなり大きいと言えます。

天神V.S.博多の争いが激化

これまで福岡県で最も賑やかな商業地区は天神でした。しかし、新幹線の開業ともに博多駅に「JR博多シティ」が完成したことで、天神の買い物客が一気に奪われています。

開業後1年間のデータを見ても、天神の主要商業施設の数字は、軒並みダウンしている状況です。

ソラリアプラザは売上が20%減少、パルコも最大34%減少と、地元関係者が「総崩れ状態」とコメントしたほどの状況になっています。

現在は多少持ち直しているものの、店舗用物件を中心に天神の不動産価値が下落している事実は否めません。

このまま博多に対抗する策が打ち出されないようであれば、天神における不動産査定はあまり期待がもてないことになり、早めに見切りをつける、という選択も必要となるでしょう。

県全体では、大きなプラスに

福岡県内部では、天神と博多の争いなどもありますが、県全体で見れば大きなプラスとなっています。

熊本まで約30分、鹿児島まで約1時間20分と、短時間でアクセスできるようになったため、これらの都市から多くの買い物客などが福岡に入ってきているからです。

もちろん、これは熊本や鹿児島にとっては重大な問題です。こうした現象を「ストロー現象」といいますが、このキーワードを検索すると「九州新幹線」とキーワード候補が出てくるくらい、熊本・鹿児島にとって重大な問題となっているのです。

このことは、逆に福岡の不動産市場を考えた場合、大きなチャンスということになります。不動産市場も基本的には一般の商品の市場と同じで、シェアを奪い合うことでその価値が大きく変化します。

ストロー現象によって、今後しばらくは、福岡における不動産の査定はかなり期待の持てる状況が続くことでしょう。

福岡のオフィス物件の2013年の動向

福岡のオフィス物件の需要は常にほぼ一定で、2000年代に入ってから需要が減少したのは2002年と2009年の2回だけです。しかし、変動がないというだけで、需要が高いわけではありません。

空室率のデータを見ると、2010年以降、主要都市の中では仙台に次いで高いレベルにあります。「仙台と同じ」というのはかなり危険な状態です。

仙台はリーマン・ショック前のミニバブルの時期に、実需を伴わないオフィスビルが大量に建設され、ミニバブル崩壊後、新規のビルの空室率が70%の物件も出るなど、危機的な状況にあるからです。

その仙台に近い空室率というのは、かなり危険な数字だと言えます。ただ、福岡の場合救いなのは「これまでずっとそのレベルだった」ということです。

相場が乱高下しない以上、仙台のバブル崩壊のような大きなトラブルが起きることはなく、不動産の査定の動向も読みやすいと言えます。

景気回復への反応も遅い

このように不動産の市場が安定しているというのは「不動産査定の動向が読みやすい」というプラスの面がある反面、「景気が回復してもすぐに反応しない」というデメリットもあります。

実際、アベノミクスによる景気の上向きで日本の各地で不動産価格が上昇していますが、福岡の(少なくともオフィス物件については)変化があまり見られません。

過去のデータを見ると遅れて変化が出ているので、しばらくしたら出るかも知れませんが、その時にはすでに日本経済は別の方向に動いている可能性もあります。

このように日本全体の動きと「タイムラグ」があることが、福岡の不動産の査定動向を、予測しにくいものにしていると言えるでしょう。

オフィス物件の需要が居住用物件の査定に与える影響

居住用物件の査定や売却を考えている方には、オフィス物件の需要というのは関係がないと思われるかも知れません。しかし、両者には密接な関係があります。

たとえばオフィス物件の需要が高く、そちらの方が利益が出るという場合、新しく建物を建てる時も、マンションではなくオフィスビルを建てようと考える不動産会社が増えるでしょう。

そうするとマンションの分野では新規の物件が減り、競合が減るということです。そのため、いまマンションを持っている方が査定を受ける時も有利になります。

逆にオフィスの需要が低くなると「オフィスでなくてマンションを建てる」ことになります。そうなるとマンションの競争が激しくなり、マンションの査定額は低くなりがちです。

「どっちも建てないでくれたらいいんじゃない?」と思われるかも知れません。

たしかにそうですが、それはつまり「マンションを新しく建てても利益が出ないくらい、その地位の不動産の需要がすでに落ちている」ということを意味します。

つまり、たしかに競合は増えませんが、「競合が参加したいとも思わないくらい」すでに冷えきった市場ということです。その時はすでに売却のタイミングを逃しているということで、不動査定を受けてもあまり期待の持てる数字は出てこないかも知れません。

このように、オフィス物件の動向と居住用物件の査定の動向は常に連動しています。

不動産の世界はマンション、戸建住宅、オフィス、土地とすべて連動しているので、「自分には関係ない」と思わず、不動産の査定を考えているならば必ず参考にするようにしましょう。

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