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不動産査定Campus~マンションや不動産の売却のお役立ち情報

仙台のマンション査定額がいま高騰している理由とは

震災後における仙台の中古マンション価格は高騰しており、査定も高めの評価になること多くなっています。また、免震・制震のマンションが分譲物件の主流となるなど、被災地ならではの傾向も見られます。

不動産の取引が活発になることは、仙台市の復興にとっても当然プラスに働きます。ここではこれから仙台でマンションの売却を考えている人に向けて、査定アップのヒントとなる情報をまとめます。

耐震基準とマンションの査定

マンションの耐震基準は1981年に現行のものに変わりました。これ以降に建てられたものを「新耐震」、それ以前に建てられたものを「旧耐震」といいます。

仙台では今のところ、新耐震はもちろん旧耐震の物件であっても、マンションの査定額にはそれほど影響はありません。たしかに旧耐震の安全性に不安を持って敬遠する方もいますが、たとえ旧耐震であっても鉄筋コンクリート造であれば、木造の戸建てよりははるかに安全だからです。

仙台市は戸建てが中心の居住形態となっており、震災後、木造の戸建てから鉄筋コンクリートの物件に住み替えを行う方が増え、マンションのニーズにつながっているだと考えられます。

ただし、旧耐震マンションの価格

仙台市におけるマンション査定額は、旧耐震であってもそれほど影響はないと先程書きましてが、確かに新耐震の物件と比べると、多少は価格が落ちつつあります。2012年の後半から、新耐震のマンションの査定額は現在も引き続き上昇していますが、旧耐震のマンションは2013年に入ってすぐに頭打ちとなり、若干の下落に転じています。

このように旧耐震の物件でもニーズはあるとはいえ、やはり新耐震の方が高いニーズを持っている、ということが言えるでしょう。

そのため、これから仙台市でマンションの売却を考えている人にとっては、新耐震の物件の方が査定では有利となるでしょう。しかし、これからしばらくの間は、旧耐震の物件でもこの仙台地区に限ってはある程度の査定もらえると考えていいと思います。

震災で証明された、免震・制震マンションの強度

震災の影響を受けて、仙台市では免震・制震のマンションが多くの支持を集めるようになりました。それは、被災時におけるマンション被害のデータから、免震や制震のマンションの強さがあらためて証明されたことが理由です。

震災時、免震・制震装置のない建物は、過半数が何らかの被害を受けていました。これに対して免震マンションは仙台市の33棟のうち、29棟が「被害なし」、4棟が「軽微」と、あれだけの大地震にもかかわらずほとんど被害がないに等しい状態でした。

制震マンションは3棟ありましたが、これらもすべて「被害なし」でした。つまり、免震・制震装置のある物件は、今回の震災レベルの地震が来ても、ほぼ持ちこたえることが出来るということがわかったわけです。

当然、これらの物件に人気が集中し、他のマンションとくらべて大幅に査定額が上がっています。

震災前の仙台市の不動産事情はどうだったのか?

震災後の不動産事情はもちろん最も重要な情報ですが、それ以前の仙台市の不動産事情を知ることも、マンションの売却や査定額を知る上においては非常に重要です。震災で一時中断されたとは言え、それまでの「流れ」は、復興が落ち着いた段階で復活する可能性もあるからです。

より先を見据えてマンションの査定額を推測するために、震災前の仙台の不動産事情を紹介してみたいと思います。

2010年の新築ビルの空室率は、70%台

震災1年前の2010年4月の段階で、仙台市の新築ビルの空室率は、70%台という驚異的な数値でした。(一般財団法人・日本不動産研究所のレポートより)

念を押しておきますが「入居率」ではありません。「空室率」です。新築ビルのほとんどがガラガラだったということですが、仙台ほどの大都市でこのような状況だったというのは、にわかには信じがたいでしょう。

こうした状況ですから、テナント入居者を集めたいビルオーナーが、苛烈を極める値引き合戦をし、当時の仙台のオフィス賃料は劇的に安くなっていました。そして、そのような状況ではビル経営の利益は出ないので、それまで進行していた駅前再開発の事業もストップしていました。

それにしても「空室率70%」という常識外れの数字は、何が原因で生まれたものなのでしょうか。その原因は、2006年頃から起きた「ミニバブル」にありました。

仙台市に殺到した国内外の投資ファンド

当時は日本全体の不動産業界がミニバブルに沸いていましたが、特に仙台は国内外のファンドが殺到した都市の一つでした。殺到した理由は、簡単に言うと「地価が上がっていたから」というだけです。

単純に「投機の対象となった」というだけであり、そこまで不動産価格が高騰する理由は何もありませんでした。これは「地元の実感なき地価上昇」と評され、当の仙台市民の方々もよくわからないままに、地価だけが異様に高騰していきました。

このように市場がバブル状態になっている時は、多くの投資家が「物件」を欲しがります。物件を手に入れないことには「ゲーム」に参加できないからです。

そのため、特に必要とされない「無駄なビル」が続々と建設されることになります。中国のバブルが典型的な例ですが、完全無人の「幽霊マンション」「幽霊ビル」が、あちこちに建てられるわけです。

仙台はもちろん「幽霊ビル」と呼ぶほどひどくはありませんでしたが、実際の需要を遥かに上回るペースで、次々にビルが建設されてしまいました。

東京建物仙台ビル、ソララプラザ、ファーストタワー、トラストタワーと続けて超高層ビルが建てられ、街の外観だけ見ると、この地域の経済が急成長を遂げたかのようでした。

しかし、これらのビルに実際の需要はなかったため、ミニバブル崩壊後には、先に述べたような「異常な空室率」を招く結果となってしまったのです。空室だらけのビルでは当然明かりがつきません。

夜になっても明かりがほとんど灯らない、「真っ暗な高層ビル街」は、この地域のミニバブルの傷跡を象徴するものとして、多くのメディアや専門家に取り上げられていました。

今後のこの地域の不動産市場・査定の動向

今後のこの地域の不動産や査定の動向を語る上で、欠かせないものは「地下鉄東西線の開通」です。これは震災前から予定されていたもので、震災の被害を受けても変更はなく、予定通りに2015年の開業が決定しています。

これは地域の復興のシンボルでもありますし、人の流れを活発にし、この地域の不動産市場を活性化する起爆剤でもあります。東西線の開通で、これまで駅近でなかった場所が「駅近」になると、近辺のマンションの査定額は当然上がります。

査定価格がかなり低かったマンションが、東西線の開通によって急に高査定の物件に変わった、というようなことも起きています。

また、逆に東西線から離れているマンションの場合は、東西線沿線の物件に人気を奪われて査定額が下がるということも起こりえます。一つの現象が起きたら、それにプラスの影響を受ける人(もの)と、マイナスの影響を受ける人(もの)が確実に存在します。

そのため、東西線の開通が仙台市におけるすべてのマンションオーナーにとってプラスとなるわけではありませんが、この地域がより便利になることで、外部から入ってくる方が増えることにもつながります。

外部から人が入ってこれば、仙台の不動産全体の査定額も上がる可能性があるわけで、そういう意味では、東西線と直接関係ない物件のオーナーさんにとっても、東西線の開通はまったく意味のないことではないでしょう。

そして何より、震災後の人口の流動で、仙台には冒頭に書いたようなマンション査定の高騰がすでに起きています。この地域で物件を売却するのであれば、今がチャンスと言えるでしょう。

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