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不動産査定Campus~マンションや不動産の売却のお役立ち情報

堺のマンション査定の今後の動向 ~進む車社会化や再開発の中止

クルマ社会化の進行や相次ぐ再開発の中止など、堺市のマンション査定の動向を占う上で、注目すべき状況は多くあります。

ここではそれらの状況を紹介しつつ、その状況を生んだ背景などを解説すると同時に、堺市のマンション査定の動向を考えていきたいと思います。

「クルマ社会化」が進行しスーパーが消えた堺市中心部

堺市の中心部は堺東駅周辺ですが、かつてこの地域にあった多くのスーパーは、次々と閉店してしまいました。

全盛期には、ダイエー、長崎屋、ニチイ、イズミヤとひしめくように大手のスーパーが並んでいたのですが、今はこれらのすべてが閉店しています。近隣の堺駅でも、駅前のイトーヨーカドーが2011年に閉店してしまいました。

原因は、ロードサイトへの転換

この原因は、堺市の人々が買い物をする場所が、駅前ではなく郊外のロードサイドに移ったことです。

駐車場がしっかり確保されている郊外の大規模なショッピングセンターに、車で出かけるというのが主流のスタイルになっているわけです。

事実、堺駅の店舗をたたんだイトーヨーカドーは、同じ堺市内に2つの店舗を出しています。(1つはアリオというグループ店)

つまり、イトーヨーカドーの駅前店の閉店は、イトーヨーカドーの経営がまずかったというわけではなく、単純に堺市がクルマ社会に変化しているために、イトーヨーカドーもそれに合わせて変化せざるを得なかったということなのです。

再開発計画の中止が相次ぐ堺市

2000年代後半から、堺市では多くの再開発計画が中止となりました。たとえば2007年7月には、市内の高槻駅前の再開発で、西武百貨店高槻店が計画から撤退しています。

当初は536億円という大金を投じて再開発をする予定でしたが、西武が「採算を取るのが困難」と判断して事業から撤退しました。同じく2007年10月には、和歌山大学の観光学部が、市の中心市街地への進出を断念しました。

この計画は、中心部の三井生命ビルを借りて、和歌山大学が講義や事務を行う拠点にしようというものでした。つまり、自前のキャンパスを建てるのではなく、ビルを借りてそれをキャンパスとする、ということです。

しかし、この計画も条件面で話が合わず中止となりました。

2014年4月も堺旧港の再開発が中止に

こうした再開発の中止は過去の話ではありません。2014年4月には、堺旧港の再開発が中止となりました。

この再開発は市が100億円をかけて整備した旧港の土地を活用するもので、約10年前から民間企業の誘致を進めてきました。

そして今回、レストラン・プール・結婚式場などが一体化した施設の建設が決まり、2015年にもオープンする予定だったのですが、残念ながら中止となりました。

建設を担当する不動産会社が、採算が取れないと判断したことが理由ですが、こういったことは、堺市のマンション査定の動向を考える上でも、とても重要な要因となります。

堺市の消費は大阪に流れている

もともと堺市は大阪市と眼と鼻の先であり、昔から大きな買い物は大阪でするという人が多くいました。電車でも約30分でアクセスできるため、より質の高いサービスを求めるなら、大阪市まで出た方がいいと考えるわけです。

上で紹介した旧港の「結婚式場」などもその典型で、こうしたグレードの高さが問われる消費は特に、大阪に取られてしまう傾向が昔からあったようです。

梅田の大規模開発でさらに有利になる大阪

大阪との差をさらに広げているのが、梅田駅(大阪駅)周辺の大規模開発です。現在進んでいる「大梅田構想」は、東京の中心部である大手町・丸の内・有楽町を合わせた面積も上回る規模です。

計画が完成すれば、少なくとも面積においては日本一の商業地域が生まれることになります。一方で、堺市は上に書いたように2000年代後半からずっと再開発が行き詰まっている状態です。

歴史的な再開発が進んでいる大阪と、次々計画が中止している堺市をくらべた場合、両者の商業レベルの差は今後も開いていく可能性が高いと言えるでしょう。

堺市の人口統計から見える特徴

堺市が公表している人口統計を見ると、マンション査定を考えるうえにおいてもヒントとなるような特徴がいくつか見えてきます。これらの特徴を知ることで、少しでもマンションの査定を有利に進めたいものです。

昼間の流出人口が減っている

流出人口というのは「市外に出る人」の数です。昼間の流出人口が多いということは、市外に通勤・通学に出ている人が多いということです。

言い換えれば「市内に通いたい学校や勤務したい会社がない」ということですが、昔の堺市はこの昼間流出人口が多くなっていました。すぐ近くに大阪があるからです。

1985年は昼の流出人口が流入人口の1.8倍でしたし、1995年も1.6倍でした。(流入人口は、近隣の市町村から堺市に通勤・通学に来る人口です)

このように、市に入ってくる人よりも市外に出て行く人の方が多かったのですが、近年は出て行く人の割合が小さくなっています。

2005年のデータでは「流出…約17万6000人」「流入…12万2000人」と、大体1.25倍程度の比率となっており、かつて1.8倍の比率からくらべると、明らかにその差は縮まっています。

流入人口が微増したということもありますが、やはり流出人口が減ったことが大きいようです。堺市の人口はこの間も増えているので、決して人口減少のせいではありません。単純に昼間外部に出る人が減ったわけです。

これは、市内にも雇用力のある企業や商店がこの時期に増えた(あるいは大阪が弱まった)可能性が高いです。

もっとも、この統計が取られた後に大阪の再開発が本格化し、再度大阪が活発化しているため、今後はまた流出人口が多くなっているかも知れませんが。いずれにしても、

・昼間は流出人口の方が多い
・しかし、近年縮小傾向にある

という2点は、堺市でマンションの査定を考える上でも抑えておくべき大切なポイントといえるでしょう。

今後の人口推移の予測

堺市の人口は現在84.2万人です。90年代後半からほぼ横ばいを続けていますが、2020年頃から減少していくと見られています。市の予測は「低位、中位、高位」と3つのパターンを想定して出されていますが、その「中位」を見てみましょう。

2020年は82.7万人、2025年は81万人、2030年は78.7万人となっています。あと15年で約6万人減るということですが、人口84万人の市にとって6万人というのは、約7%です。

15年で7%の人口が減るということは、単純計算でマンションの査定価格も7%落ちる可能性があるということです。例えば現在のマンション査定額が1000万円だとしたら、15年後の査定額は930万円になる可能性があるということです。

もちろん実際にはもっと下がります。ここでは、人口減少によるマイナスしか考えていませんが、実際のマンション査定においては、老朽化によるマイナスや競合の登場によるマイナスなどを加味する必要があるからです。

そのため、正確なマンション査定の相場予測は誰にもできないのですが、人口の減少率の分だけ、マンションの査定額も下がるという単純計算は、意外と役立つものです。

こうした数字をうまく活用することで、マンションの査定額を冷静に予想することができるでしょう。

堺市のマンション査定で今後有利な地域

堺市でマンションの査定を受ける時、今後有利になる地域はいくつかあります。その一つと言えるのが、大阪との境目で、大規模ショッピングセンターのある地域です。

理由は、大阪人の間でもクルマが使える郊外のショッピングセンターのニーズは高いのですが、大阪にはこうしたショッピングセンターを建てられる場所がもうないからです。

そのため、大阪寄りの市内のショッピングセンターには、大阪からわざわざ買い物に来るお客がたくさんいます。

このように大阪の顧客まで取り込める立地のショッピングセンターは、今後も発展していくでしょうし、その相乗効果で地域全体も活気づいていくでしょう。

また、多くの人が大阪に働きに出る堺市民にとって、大阪寄りのエリアというのは、仕事を考える上でもプラスです。そのため、こうした立地であれば、今後のマンション査定においても有利になる確率が高い、と考えていいでしょう。

もちろん、このような場所には今後も新しいマンションが建設される可能性があります。

そうなった場合は、古いマンションは査定で不利になるため、こうした新しいマンションの計画が発表される前に、査定だけでも早めに受けておいた方がいいかと思います。

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