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キンクス~不仲で有名な兄弟バンドの50周年に聞く再結成のウワサ

「仲良きことは美しき哉」いわずと知れた武者小路実篤が遺した名言です。はたして欧米にはこんなことばはあるのでしょうか。そんな疑問を感じてしまうほどの「仲悪き」兄弟が世界の音楽界には存在します。

ヴァン・ヘイレンがカバーした「You Really Got Me」でおなじみのブリティッシュ・ロックのレジェンド、キンクスのメンバー、兄でボーカル・ギターのレイ・デイヴィス、弟でギターのデイヴ・デイヴィス。

まあなにしろこの兄弟、仲が悪いことで有名です。同じくイギリスのバンド、元オアシスのギャラガー兄弟も不仲で有名ですが、デイヴィス兄弟がその元祖といえるでしょう。

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なんでバンドを組んだのかと首をかしげたくなるほどの険悪な仲というイメージが定着してしまった彼らのバンド人生を検証してみたいと思います。
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8人兄弟中、男は2人だけ

ロンドン郊外の高台にある閑静でお洒落な高級住宅街マスウェル・ヒルで育った彼ら。閑静な住宅街といえば、日本の東京で言えばやはり田園調布あたりでしょうから、相当お坊ちゃん育ちなのが想像できます。

この兄弟、そもそものバンド結成の経緯はデイヴィス家の8人もの子供のなかで、なんと男はこの2人のみということが大きく影響しているようす。兄レイが1944年6月21日生まれ、弟デイヴは1947年2月3日生まれということで年齢差もわずか3歳。

小さいころの歳の近い同性の兄弟というのはなにをするにもいっしょでしょうから、きっと仲良くしていたにちがいありません。

デイヴィス家はホーム・パーティーなどもおこなわれるような家庭だったようで、幼いころから彼らの周囲には音楽が満ちていたことがミュージシャンとして開眼するきっかけだったようです。

2人はともにギターを学び、学校では友人のピート・クウェイフらをさそいキンクスの原型となるバンドを結成します。きっとデイヴィス兄弟がバンド・メイトとして共存することは自然の流れだったにちがいありません。

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代表曲「You Really Got Me」の誕生

まもなくデビューしたキンクスは、はじめてのヒット曲でいまにいたるバンドのイメージを決定付ける曲「You Really Got Me」をリリースします。

そのあまりにも攻撃的なギター・リフの音は、デイヴがカミソリでギター・アンプのスピーカー部を切り裂いて生まれたもの、というのが定説ですが、これって相当危ないヤツのエピソードなんでは!?という気もしますよね。

いまレコーディング・スタジオでそんなことをするミュージシャンがいたら永久追放もんですよ。まあ、自分のアンプだったら別にいいですけど(笑)。

オリジナル・メンバー、ピート・クウェイフの脱退

とにもかくにも、バンドはその後も「All Day and All of the Night」、「Set Me Free」、「Till The End Of The Day」、「Sunny Afternoon」などのヒット・シングルを次々と世に送り出し、大物バンドの仲間入りを果たしました。

ところがその成功とは裏腹に、オリジナル・メンバーのピート・クウェイフが脱退してしまいます。

そもそもピートとデイヴが結成したバンドがキンクスの原型となっていますから、ピートからすればあとから加入したレイにバンドを支配されてしまったのは不本意だったのかもしれませんし、デイヴにしてももしかしたらそんな気持ちがあったのでしょうか。

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不仲が表面化するも、活動を続ける

レイとデイヴが敵対するようになった直接的な原因はわかりませんが、やはり曲作りやバンドを動かすうえでの意見の衝突が積み重なってしまったようです。

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2人はじょじょにツアーでの移動も宿泊先も別になっていったとか。兄弟の不仲というのは一度こうなると手に負えません。バンドはメンバーの脱退と加入をくりかえしながらも活動を続け、1982年に初来日公演を開催。

一説には当時レイがつきあっていたプリテンダーズのクリッシー・ハインドといっしょにいたいがために、レイが日本までついてきたなんていううわさもありました(ほんとうっぽい)。

その後93年、95年にもそれぞれ来日公演をおこなったキンクス。ぼくは95年の川崎クラブチッタ公演をデイヴ側ステージ前で観たのですが、普通バンドのボーカリストって真ん中にいますよね?

この日のキンクスはステージ下手の一番端にレイが陣取り、真ん中にベーシストを挟んでデイヴが上手にいるという立ち位置。

さらにライヴ中、何かの拍子にデイヴがレイの方に向かって中指を立てていたのを見て「ああ、ほんとうに仲悪いんだなあ…」と思ったことを覚えています。その後、活動の機会もじょじょに減り、1996年に正式に解散となったキンクス。
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バンド結成50周年、再結成の可能性は?

昨年、これまでバンドの再結成に否定的だったレイの口から、「バンド結成50周年を迎える2014年に再結成する可能性は五分五分」というコメントが出たことで、これはもしかするとデイヴの気持ちひとつで活動再開できるのでは?という機運が高まっています。

2人をつないだキーパーソンであったピート・クウェイフは残念ながら2010年にこの世を去ってしまったものの、キンクス=デイヴィス兄弟なのは周知の事実。

最近ではロック・フェスで大勢のコーラス隊をしたがえての「You Really Got Me」を披露しているレイ・デイヴィス。正直あんなの見たくない!デイヴの強烈なリフがあってこその「You Really Got Me」なのはレイが一番わかっているはず。もうおたがいアラウンド・70なんですから、いい加減仲直りして活動再開して来日公演をお願いしたいものです。

文・岡本貴之

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