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コンパクトエフェクターに見る国産メーカーの試行錯誤の足跡

コンパクトエフェクター。これ、和製英語です。正確にはエフェクツ・ペダル(effects pedal)かストンプボックス(stompbox)。単にペダル(pedal)と言う場合もあります。

このコンパクトエフェクターという分野。かつて日本のメーカーも試行錯誤した製品を発表していた時代がありました。しかも大手です。それは開発の足跡であり、そこには時流の歴史が見えてきます。

※ヤマハのコンプレッサー(YAMAHA CO-01)、いわゆる、PSEもしくはゼロワン(01)シリーズです。ヤマハ初のエフェクターでした。これは外部の電源端子が変な形状をしていて、そのままでは電池駆動でしか動きません。

別売りのエフェクトボード(YAMAHA SB-40 PSE や YAMAHA SB-100 PSE)があって、そこに組み込めば普通の電源アダプターが使えるようになっていました。個人的には名機だと思っています。

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売れ行きとか評判とかに関係なく、すぐに廃番になってしまうヤマハさん

画像2▲ヤマハのデジタルディレイ(YAMAHA DD-100)です

同じくヤマハ製。DD-100という型番のデジタルディレイです。さっきのコンプレッサーとはまったくデザインすら違います。

コンパクトなデジタルディレイを世界初で発表したのはボス(BOSS)でした。1983年の暮れのことでした。定価3万円弱。今から考えると、とんでもなく高値でした。

このデジタルディレイ(DD-100)の特徴はデジタル臭くないことです。変な話ですがディレイ音にハイカットのフィルターが入っているらしく、甘い音が出ます。

また、サンプリングレートが12ビットなので(最近のは24ビットが多い)、音が太くなったように感じます。機能としては本当に普通のディレイなのですが、個人的には好きですね、これは。

大きな欠点はヤマハがすぐに生産終了することです。今はコンパクトエフェクターから撤退してしまいました。良品が多いブランドだったので、これは残念でなりません。

真空管への信仰が熱いギタリストは必ずといっていいぐらい1台は同じような歪み系を持っていました

画像3▲グヤトーンのチューブ・オーバードライブ(Guyatone Tube Overdrive TO-2)

トランジスタのアンプよりも真空管アンプ。これは今でも通用するギタリストの常識?です。

もちろん、トランジスタアンプでも名品がありました。現在もよくスタジオに置かれているローランドのJC-100、YAMAHAのFシリーズなど。わざわざ、こちらを使っていたプロのミュージシャンもいたぐらいです。

そういう空気のなかで発売されたのが真空管入りの歪み系でした。いくつかのメーカーから同じような製品が出てきました。上の画像にあるグヤトーンもそのなかのひとつです。マクソンやアイバニーズでは、まだ現行品が売っていますね。

まあ、スタジオやライブハウスのアンプはトランジスタ系なので、歪みに真空管入っていたら、真空管アンプっぽい音が出るんじゃないの…そういう感じです。

「世界最小・最軽量」を売り文句にしていたグヤトーンのマイクロシリーズ

画像4▲グヤトーンのエキサイター(Guyatone EX2 EXCITER)

グヤトーンは2013年初頭に倒産してしまいました。このマイクロシリーズなど、ものすごく魅力的な製品を出していたのですが…これもまた残念です。

エキサイターも一時期、すごく流行りました。原音に倍音を加えてきらびやかな音にする、という説明でいいでしょうか。

ギターだけでなく、ボーカルにもよく掛けられました。まるで魔法の箱のような扱いです。もちろん、エフェクトしたところで歌がうまく聴こえるわけもないのですが。

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アイバニーズのナインシリーズはチューブスクリーマー(Tubescreamer)だけではありませんでした

画像5▲アイバニーズのバイモード・コーラス(Ibanez BC9 Bi-Mode Chorus)

簡単にいうと2つのコーラスが入っています。クリーンなコーラスから変なうねりのモジュレーションサウンドまで出せる珍品です。

中身の回路はマクソンのバイモード・コーラス(Maxon Bi-Mode Chorus BC-01)と、ほとんど同じだと言われています。

同じくアイバニーズのコンパクトエフェクターで同じような製品…IBANEZ BI-MODE CHORUS (BCL)…というモデルもありました。

実はこれ、自分が始めて買ったコーラスです。なぜ、ノーマルなコーラスに手を出さなかったのか、まったく記憶がありません。おそらく、チューブスクリーマーが良かったから、これもいいだろう…って軽いノリだったんだろうと思います。

その昔、アイバニーズはシリーズごとに筐体のデザインがコロコロと変わっていました

画像6▲アイバニーズのローファイ(Ibanez LF7 LoFi)

名前の通り、ローファイ・サウンドが出せるエフェクターです。暖かなチューブアンプのサウンドから、小型AMラジオの音、拡声器、電話の声など、幅広いフィルター系のペダルと言っていいでしょう。

これは、フットスイッチが壊れやすいと噂の「TONE-LOK」シリーズです。形状と色から、あまり書きたくない昆虫のアダ名がついた「SOUNDTANK」シリーズなどありました。

昔むかし、パールは打楽器のメーカーではありませんでした、フォークギターやエフェクターも作っていたのです

画像7▲パールのフェイザー(PEARL PH-44 PHASER)

パールの製品は正統派でした。これも、そのひとつです。当時は、結構、高級品の部類に入っていました。1980年代始めの頃でしょうか。

その他には、オーバードライブやコーラスなどオーソドックスなコンパクトエフェクターを販売していました。このフェイザーにもコンパクトなサイズ(PEARL PH–03)が存在します。

ただ、末期には珍品が売られました。スリラー(THRILLER TH-20)というモデルです。エキサイターでした。このネーミング、どう考えても、マイケル・ジャクソンじゃないの?ですね。

もちろん、現在、パールではドラムのペダルを作っていますが、ギターやベース用のペダルは作っていません。

こうやって眺めてみると、その時代の流行などが見えてきます。現在では、何が主流なのか…現在進行形のモノって分かりにくいですよね。10年後とか20年後になって「あのときは…」なんて語るような話のネタなのでしょうか。

もしかしたら、コンパクトエフェクターすら、なくなっているかもしれませんからね。

by yosh.ash

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