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ライブ盤の楽しさを動画全盛の時代にあえて私がオススメする理由

YouTubeの浸透により、プレスリーからスクリレックスまで新旧のほとんどのミュージシャンが映像で見られる世の中になりました。でもそれって本当に良いの!?音源だけで想像力を駆使して楽しむ「ライブ盤」の良さを紹介します。

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想像することも音楽を楽しむために必要な要素ですよね。自分の頭の中がステージです。

画像2▲海外の会場だと「どんなところでやってるんだろう!?」というのも考えちゃいます。

ライブのレコードやCDは発売するにも関わらず、ビデオを出さないアーティストがいました。彼の言い分は「ライブはその時の模様を想像して楽しむもの。だから映像は出さない」とのことでした。

正直、その時は「なんてへんくつな奴なんだ!良いからビデオ出せよ!」と憤慨したものです。でも今となっては彼の意見も良くわかる気がします。

最近はYouTubeやニコニコ動画でアーティストの映像を手軽に観ることが出来る分、新鮮さが損なわれているとともに、実際に観たことがないにも関わらず知ったような気になってしまうこともありますよね。

昔リリースされたライブ音源は、もちろん映像なんて観れないわけですから、想像するしかないわけです。

僕が一番好きなライブ・アルバムとして紹介したいのがキンクスの『ワン・フォー・ザ・ロード』です。

1980年にリリースされたこの作品は79年~80年のアメリカでのステージを編集して収録されています。

キンクスの本領発揮ステージの全貌を知りたくなってDVDを購入してみたところ…

画像3▲『ワンフォー・ザ・ロード』こんな感じで暗いんです。でももう一回観たら結構良かった。

「オープニング」とクレジットされた一曲目を聴くと、なんとインストの「ユー・リアリー・ガット・ミー」が途中まで演奏されているもの。代表曲を歌なしで最初に演奏するという焦らしっぷり!さすが性格悪いぞレイ・ディビス!(失礼)。

「ハードウェイ」から本格的に始まる演奏は実にタイトで、いくつか発表されているキンクスのライブでも指折りの良いパフォーマンスなのではないでしょうか。

特に序盤のクライマックスともいえる「ローラ」から短いパンク・ナンバー「プレッシャー」、そして「ロックバンドが現れてそして去って行く。でもロックンロールは永遠だ!」というレイの叫びから始まる「オールデイ・オール・オブ・ザ・ナイト」は鳥肌ものです。

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その後クールダウンするかのように美しいバラード「ミスフィッツ」から「ストップ・ユア・ソビン」へと続く流れもお見事。

最後はさんざんもったいぶった「ユー・リアリー・ガット・ミー」から「ビクトリア」、ジャムもカバーした「デビッド・ワッツ」のとっぽいコーラスで締めくくります。いや~改めて聴いても、実に最高にエキサイトな作品です。

このアルバム実は映像版も発売されており、後年DVDを買ってみました。もちろん超期待して観たのですが、結果は自分の頭の中の映像とずいぶん違い、がっかりさせられました。というのも、時代的にライブの照明も地味なもので、画面も暗く動きもないのです。

やっぱり観なきゃ良かった…ということでDVDはすぐに売ってしまいました。想像力というのは時に残酷な結果をもたらしますね。

70年代の不健康なエアロスミスの演奏は最高にカッコ良い!けど自分の中にあるイメージとのギャップがあり。

画像4▲ジョー・ペリーは今や酒もタバコもやらず、身体はマッチョですからねえ。

ほぼ同時期の1978年にリリースされているエアロスミスの『ライブ・ブートレッグ』も僕にとっては最高に想像をかき立てられた作品です。

冒頭の「バック・イン・ザ・サドル」からドロドロでヘヴィなサウンドとシャウトが飛び出し、ラストの「トレイン・ケプト・ア・ローリン」まで、まさにコンサートを目の前で観たかのような興奮させられる作品です。

これ自体の映像版があるわけではないのですが、当時のエアロスミスの映像は何度か観ることがありました。

しかし自分のイメージの中にあるのは80年代後半以降のヘルシーな明るいバンドの姿で、70年代のドラッグまみれのダーティーなイメージがどうも好きになれず、こちらも音から想像したものとは違いました。う~ん勝手な想像とはいえ難しいもんです。

ニルヴァーナのアンプラグドは当時なかなか想像できませんでした。

画像5▲リラックスした感じのカート・コバーンを初めて観たのがアンプラグド。

逆に想像がつかない場合もあります。ニルヴァーナのアルバム『MTV・アンプラグド・ニューヨーク』は、アコースティック編成での音源ですが、内容はわかっているはずなのにどうしてもカート・コバーンがアコギで座っている姿が想像できませんでした。

そこでどうしてもみたくなり、DVDを観たところ、普段とは違いおだやかな表情を浮かべたカートの姿を観ることができました。

アンプラグドというと自身の曲をアコースティックでやることを売りにするものですが、カートはヴァセリンズやミート・パペッツ、レッドベリーといったマイナーなアーティストのカバーをして彼らの音楽を紹介していた所も素晴らしかったです。

このように、音を聴いて想像をふくらませるというのは感性を磨くことに役立つのではないかと思うのです。そしてYouTubeでライブを体験した気にならず、実際に会場に足を運んで音楽を体験してほしいと思います!

文・岡本貴之

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