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ニール・ヤングのメインギター「オールド・ブラック」の正体に迫る

ギタリストにとって相棒であり、トレードマークにもなり得るメインギターは、サウンドの肝にもなります。憧れのギタリストのメイン機についてもっとよく知りたいと思うのは当然のことでしょう。

一般的なギターであれば、すこしスペックを調べるとすぐにその正体は判明します。どんなに調べてもその正体が出てこない謎のギターも存在しています。

その代表が60年代から現在に至るまで音楽シーンをリードし続けるニール・ヤングの愛機「オールド・ブラック」でしょう。一見するとただのブラックカラーのレスポールです。しかし、マニアックに見てみるとその年代もモデル名もまったくわからない謎のギターです。

そんな「オールド・ブラック」について考えてみましょう。

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▲70年代初頭に撮影されたオールド・ブラック。

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まずは外見から判断できる点を検証してみましょう

フロントに搭載されているのは定番のP90です。50年代前半のレスポールや以降のスチューデントモデルに搭載されている定番のシングルコイルピックアップです。リアピックアップはファイヤーバードや70年代のレスポールの一部に搭載されていたミニハムバッカーだと思われます。

ギブソンの長い歴史をひも解いてみても、レギュラーモデルとしてこのようなピックアップ構成のギターが生産されたことはありません。改造されたものと見て間違いないでしょう。

外見から判断することのできるもう一つのポイントがヘッドに輝くクラウンインレイです。本来、このインレイはES-335などの箱モノとSGにしか採用されていません。レスポールにこのインレイがある……。かなりミステリアスです。

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▲ヘッドに輝くクラウンインレイ……。どうしてレスポールに?

こういった特徴を総合し、筆者が最初にたどり着いた結論の一つが1968年製レスポールなのでは?というものでした。

SGに代わり、レスポールの再生産がスタートした68年前後にはさまざまなモデルが登場しています。レギュラー化されなかったプロトタイプも多く流出していますのでその中の一本なのではないか……。そう考えました。

68年製のレスポールの中にはヘッドにクラウンインレイが入ったものも、スポットまたはプロトモデルとして存在していますので、ほぼこれで間違いない!筆者はそう結論付けようとしていました。

エピソードから正体を探れ!

ルックスやスペックから推測を立てることができたら、インタビューでの証言やエピソードなどでそれが正しいことを証明して行かなければなりません。

まずはこのギターを入手した経緯です。ニールはこのギターを1969年にジム・メッシーナから入手した、そう語っています。69年頃から「オールド・ブラック」を使用しているライヴ映像などが残されていますので、これは間違いないでしょう。

この時点では、前述の68年製説に矛盾することはありません。しかしこのあとに続く証言によって、筆者の説はあっさりと覆されてしまったのです。

元々の持ち主であるジム・メッシーナがこのギターは1954年製であると証言していました。初代レスポールが誕生したのが1953年ですから、その翌年に製造されたモデル…。筆者はそのインタビューを読んだとき、自分の目を疑いました。

1953~54年までに製造されたレスポールには基本的にすべてゴールドカラーが採用されています。初めてブラックが登場したのは55年のことでした。しかも、上位機種のレスポール・カスタムの限定カラーです。サンバーストカラーが登場した58年から60年にも、「オールド・ブラック」のようなスタンダードモデルにブラックが採用されたことはありません。

ゴールド、サンバースト以外のカラーが登場したのはいったんレスポールスタンダードの生産が打ち切られ、そして再会された1968年以降です。

カラー以外の点で、筆者が疑問を持ったのはビグズビーアームユニットが搭載されているという点です。54年までのレスポールは設計ミスによってネックの仕込み角度が浅いことから、ビグズビーやストップテイルピースの導入に必要なチューンOマチックブリッジを搭載することができないのです。

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▲しっかりとビグズビーアームユニットが搭載されています。

このような点から、ジム・メッシーナの記憶ちがいなのでは?筆者はそう考え、あくまで68年製説を崩しませんでした。

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ニール・ヤング本人による驚きの告白

ヴィンテージギターマニアである筆者の推測と、このギターの最初の持ち主であるジム・メッシーナによる証言……二つは大きくくいちがっていました。そこで、こんどは現在の所有者である、ニール・ヤングの証言を確認してみましょう。

まず、カラーについてですが……、自身の手によってリフィニッシュされたとのことでした……。意外なことばですが、それならば納得せざるを得ません。

ネック角度に関する問題は解決していません。それに関する情報を探してみると、また出てきました。なんと、ビグズビーユニットを搭載するためにネックをリセットしてしまったと言うのです。(残念ながら本人による証言ではありませんが……)
確かにそうであれば矛盾は解けてしまいます。

ピックアップに関しても、当初はP90が2基であったものを、のちに交換したとのことでした。

それでも解せない謎

リフィニッシュにネックリセット、さらにピックアップの交換……。どうしてそこまでして貴重なヴィンテージ・レスポールを改造する必要があったのでしょうか?ここまで大きな改造をしてしまうと、オリジナルのサウンドは完全に失われてしまいます。

アーティストによっては自分のギターの入手経路などをはっきりと記憶していない人も少なくありません。ギターの改造に関しては本人ではなく、ギターテクニシャンなどのスタッフが行うケースがほとんどですので、把握できてすらいないケースだってあります。

あまりにも疑問点の多すぎるスペックの「オールド・ブラック」。このギターの正体はやはり謎のままです。

筆者の語る68年製説にだって疑問がないわけではありません。この年代のモデルとはヘッドのシェイプやギブソンのロゴの形状が異なっています。あくまで、これにも確かな根拠があるわけではないのです。

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あまりにも謎の多いニール・ヤングの「オールド・ブラック」。あなたもこの謎解きに参加してみませんか?

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    • hirobo
    • 2014年 9月 06日

    こんばんは。
    偶然訪問し、興味深く読ませんていただきました。
    このオールドブラックですが、
    製造年は52年のトラビーズテースピースのゴールドトップ。
    バッファロー時代にジムメッシーナのグレッチテネシアンと交換。
    その時点で既に黒に塗られ、ピックガード・カバー等もメタルに交換されていた。
    リアピックアップがファイアーバードに交換されている所以は、
    オリジナルP90のノイズが凄いため、LAのギターショップにコイル巻き直しを依頼したが、
    受け取りに行った所潰れて跡形もなくなっていた。
    その後ラリークラッグが今のピックアップを取り付けた。
    以上はニール本人・ラリークラッグが語っているので間違いないと思います。
    ただ、インレイ付きのヘッドですが、60年代のレスポール修理はSG用の部品が使用されており
    私も当初はネック交換の際にSG用を使ったと判断していましたが、
    実は、SG用のインレイ、というより通常のクラウンインレイとは違います。
    多分、過去にメタル改造した人物がインレイ部分を削り、貝の板を埋め込み、塗装時に
    あの形を浮き出させたのだと思います。
    ですので、不思議な部分はそれだけです。
    決してケチを付ける訳ではないですが
    マニアックギターとは少々違うか?と思います。

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