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速弾きの名手イングヴェイが目指したもの~ネオクラシカルの完成

エレキギターにおける速弾きの名手と言えば誰が一番に思い浮かぶでしょう?おそらく、多くの人がイングヴェイ・マルムスティーンの名を挙げるのではないでしょうか。

80年代に彗星のごとく現れ、テクニカルギターの一大ムーヴメントを巻き起こしました。これをジミヘン以来のロックギターの革命だと言う人も少なくありません。

彼のプレイスタイルを好むかどうかは別として、彼が音楽シーンに与えた影響の大きさを否定することはできないでしょう。

ここではそんなイングヴェイの音楽、機材についてお話したいと思います。

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リッチー・ブラックモアからの強い影響

イングヴェイにもっとも強い影響を与えたギタリストと言えば、ディープパープルのリッチー・ブラックモアでしょう。

クラッシック音楽のフレージングをロックシーンに最初に持ち込み、ネオクラシカルと呼ばれるジャンルの基礎を作ったのがリッチーです。

ディープパープルは世界的に大きな成功をおさめたバンドの一つですので、当然多くのフォロアーを産みました。

イングヴェイもその一人です。しかし、彼は単なるリッチーのマネだけで終わろうとはしませんでした。より、クラシカルな要素の取り込み、誰も追いつけないほどの高速フレージングによって大きな個性を追加しました。

結果として、これがネオクラシカルというジャンルの完成、確立へとつながったのです。

イングヴェイの愛したストラトキャスター

彼のトレードマークといえば、フェンダー・ストラトキャスターです。ラージヘッドの70年代前半のモデルをベースに、独自の改造をほどこして使用しています。

もっとも大きな特徴は指板のフレット間をえぐったスキャロップ加工がほどこされているという点です。イングヴェイ自身はこれによって、指板に触れずに軽いタッチでのフィンガリングが可能になったと語っています。

実際に筆者もスキャロップ加工が施されたフェンダーのイングヴェイシグネーチャーモデルをプレイしたことがあるのですが、まったくフレーズをコントロールすることができませんでした。

少し力加減を誤るとすぐに弦が押し込まれてしまい、音がシャープするのです。この仕様のギターをプレイするにはかなり高度な技術と慣れが必要なようです。

その他にも、スタック構造のオリジナルハムバッカーピックアップへの交換や、ネックジョイントのボルト追加など、彼のこだわりが詰まった仕様となっています。

同仕様のギターを数本所有していた彼ですが、その中でも長年にわたってメインギターとして使用されてきたのがホワイトボディの72年製、通称「ダック」です。ヘッドにドナルドダックのステッカーが貼られているこのギターのキャリアを支え続けてきました。

フェンダーから発売されている前述のシグネイチャーモデルもこのギターを基にして製作されています。

背後にそびえるマーシャルの壁

イングヴェイのアンプといえば、マーシャルです。彼は大型スタックタイプのものを愛用しており、彼の背後にはキャビネットによる巨大な壁が築かれています。

筆者も初めて彼のライヴを見た時にはこのマーシャルの壁に圧倒されてしまいました。

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彼が使用しているのは主に50年代のローゲインタイプのものです。これをフルアップさせた上にさらにブースターを噛ませることによって強烈なディストーションサウンドを生み出しています。

マーシャルスタックアンプのフルアップですので、出てくる音は大爆音です。しかし、これだけの音量の中で、サウンドをコントロールすることのできる技術はさすがとしか言いようがありません。

失われた最速の地位…しかし

単にフレージングの速さだけに注目してしまうと、彼よりも高い技術を持っているギタリストが多く登場しています。ですので、今や彼は最速ギタリストの地位を失ってしまいました。

しかし、彼は相変わらず速弾き界の王様であることに変わりはありません。クリス・インペリテリやポール・ギルバートはたしかに彼以上の高速プレイが可能です。しかし、王様にはなれないのです。

言ってしまえば、どんなに速く指を動かすことができても、音楽を奏でることができなければ、それはただの曲芸になってしまいます。

そのサウンド、楽曲の素晴らしさによって、イングヴェイの速弾きは単なる曲芸ではなく、しっかりとした音楽として成立しているのです。だからこそ、テクニカルギターの戦国時代を超えた今でも彼は多くのファンに愛され続けているのでしょう。

最後のギターヒーローとしてのイングヴェイ

ロックというジャンルにおいて、ギターという楽器に可能なアプローチはもう出尽くしてしまった…筆者はそう考えています。

2000年以降、若いミュージシャンたちはそんなアプローチをどう音楽に活かすかを研究し続けてきました。そこにこれからのロックというジャンルの可能性が広がっているのです。

ジミ・ヘンドリックス、ジミー・ペイジ、エディ・ヴァン・ヘイレン…ギターヒーローと呼ばれるギタリストたちは常に新しいアプローチによってギターという楽器を使った音楽に革命を起こしてきました。

新しいアプローチを生み出すことができるのがギターヒーローであると定義するのであれば、イングヴェイは最後のギターヒーローだったのかもしれません。

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