© バンドやるZooh!~バンド好きの仲間が集まる総合情報ポータル All rights reserved.

『初期のRCサクセション』で再現できなかった本当の初期RCサクセション

RCサクセションの数多い作品の中で、デビューアルバム『初期のRCサクセション』が一番好きだという人をあまり聞いたことがありません。

たいていはセカンドアルバム『楽しい夕に』の方に票が集まるような気がします。それはアレンジ面で本人達が納得できない内容だったからのようですが、もしかしてそれは必要なことだったのではないでしょうか。

スポンサーリンク

ライヴバンド・RCサクセションが連発したシングルレコードのリリースはデビューアルバムには収録されていません

画像2

▲わずかながら残されているデビュー当時の映像でこんな大きめなホールでも演奏しています。

『初期のRCサクセション』が発売されたのは1972年。1970年に「宝くじは買わない」でデビューしたRCの3人、忌野清志郎、小林和生(リンコ・ワッショー)、破廉ケンチはデビュー後も渋谷のライブハウス「青い森」でのライブを中心に活動していました。

セカンドシングル「涙でいっぱい」「イエスタディをうたって」から1年以上たってから発売されたファーストアルバム『初期のRCサクセション』は、同時に発売された「ぼくの好きな先生」のヒットもあり話題になりました。

不思議なことに、このアルバムにはデビューシングルである「宝くじは買わない」「どろだらけの海」及び前述のセカンドシングルも収録されていません。

この当時はシングルとアルバムは明確に区別されていたということでしょう。となるとアルバムと同時発売のサードシングルである「ぼくの好きな先生」「国立市中区3-1(返事をおくれよ)」はアルバムからのシングルカットということでしょうか。

先行シングルではなく同時発売というのは意味があるのかなあ(笑)!?

誰もが証言している、初期RCのライヴの魅力がCD化。すさまじいエネルギーが放射されています

画像3abu

▲マッシュルームカットに時代を感じますがシャウトする表情はやっぱり忌野清志郎!

後年、清志郎はこのアルバムの制作に不満があることを自伝やインタビューでそのつど話していました。

演奏はしたものの、自分たちのあずかり知らぬところでアレンジがほどこされ、音を足されていたことを完成後に聴いたメンバーは一気に音楽業界に不信感を抱いてしまったようです。

こういったレコーディング事情や清志郎本人の発言から、なおさらこのアルバム自体をフェイバリットにあげるファンがいないのでは、という気がします。同時によく語られるのが、この時期のRCのライヴ演奏のすさまじさ。僕もそれを聴きたくてたまりませんでした。

ライヴには絶対の自信を持っていたであろうことは、清志郎や泉谷しげる、仲井戸“CHABO”麗市の証言からも明白です。

のちに『ロック画報』及び2013年に奇跡的にリリースされた『悲しいことばっかり(オフィシャル・ブートレグ)』に収録された、太田和彦氏が録音していた初期のRCのライヴを聴いてみると、確かにものすごいエネルギーが音源からつたわってきます。

聴く者がひるんでしまうこともある、あまりにも強烈な歌。妥協を知らない表現者としての清志郎がここにいます

画像4

▲のちの日本のロックに多大な影響力を与えることになるとは彼らも思っていなかったはず。

しかし待ち望んだ“本当の初期RC”の音源を聴いて僕はちょっと考え方を変えました。アコースティック編成のトリオとは思えないすさまじい演奏であること以上に、忌野清志郎の歌があまりにも強烈だったのです。

スポンサーリンク

生みの母親への想いをぶちまける「黄色いお月様」からはじまり、「ぼくの情婦」「愛してくれるなら」とつづく楽曲たちは、あまりにも本音であり裸の感情を無防備に放りだしたもの。音源を聴けた感動とともに、不思議な後悔も感じる複雑なアルバムでした。

つまり、“本当の初期のRCサクセション”の音源はそのまま世に出すには、“とがりすぎていた”のだと思います。

そこでファーストアルバム用に選ばれた楽曲はビートに乗せたかわいらしい恋愛ソングである「2時間35分」をはじめ軽快なものが増えたのではないでしょうか。

2曲目に「ぼくの好きな先生」を配し、つづく「国立市中区3-1(返事をおくれよ)」でもポップな印象をあたえています。

ただしこの頃のバンドの根っこがシニカルなものですから、どうしても中盤以降はとんがった歌が多くなります。聴く人によっては不快な印象をおぼえる曲もあるかもしれません。

「女なんてどうせどれでも同じさ 女なんてどうせくだらない奴らさ」(「国王ワノン一世の歌」)「幸せだって女だって 金で買えないものはない この世は金さ」(「この世は金さ」)など、なんだか“面倒くさい人たち”が歌っているように感じます(笑)。

「金もうけのために生まれたんじゃないぜ」のようなポジティブな清志郎スピリットを感じさせる曲もあります。

ですが、全体的にはシニカルかつネガティヴで強烈な曲が多いこのアルバムをそのままライヴレコーディングしたとして、果たしてそれが一般的なリスナーに受け入れられたのでしょうか?

ソフティケイトされて世に出されたことは、決して間違いではなかったのかもしれない

画像5abu

▲清志郎の歌は聴く者によっては心をえぐりとるするどい刃物のようなもの

彼らがこのアルバムでライヴを再現するような演奏と歌をそのまま録音したとして、あまりにも強烈すぎて聴く者を選んでしまったのではないでしょうか。

初期のRCサクセションの音楽を世に送り出す上で、ソフティケイトされたアレンジがほどこされたのは、もしかして必要なことだったのではないかと、今となっては思っています。

文・岡本貴之

スポンサーリンク


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

コメントは利用できません。

リッケンバッカーが好きなのはザ・ビートルズのファンだけじゃない!

ザ・ビートルズのメンバーが弾いていたことで有名なギター、リッケンバッカー。ザ・ビートルズのファンならずともオールドロックファンなら一度はあこ…

進化するギタリストのためのスマホアプリ~自動でチューニングOK!

いまや毎日の生活になくてはならないのがスマホです。せっかくのなので、音楽活動にも生かしてみませんか?今回は「ギタリストがスマホにぜひ入れてお…

オブリガードでカッコよく決めるならオーティス・レディングを聴くべし

ボーカルを活かす歌ものバンドで、ギターを弾くときにギタリストの腕の見せどころなのが曲のあいまに弾くオブリガードです。 でもどんなフレー…

ギターソロでお客さんの視線を釘付けに!~ソロが映えるインスト曲

ギタリストなら、一度はライブのステージで長いギターソロを聴かせたいものです。ゲイリー・ムーア、カルロス・サンタナ、B’zの松本孝弘まで、ギタ…

キース・リチャーズとチャーリー・ワッツにみるギタリストとドラマーの相性

バンドを組むときに一番重要なのは音楽的な相性の良し悪しです。ギタリストとして自分の個性をどれだけ表現できるか?は実はドラマーとの相性にかかっ…

ページ上部へ戻る