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オールマン・ブラザーズ・バンド~亡き兄の意志を継いだグレッグの愛

兄弟バンドといえばこのバンドをスルーするわけにはいきません。

その名もズバリなバンド名、オールマン・ブラザーズ・バンド。悲劇的な事故で兄を失いながらも、現在に至るまで兄弟名義のバンドを続けるのは、偉大な兄へ捧げた弟からの最大の愛情です。

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1歳違いながら性格がまったくちがう兄弟の少年時代

テネシー州ナッシュヴィルで1946年に生まれた兄デュアン・オールマンと翌47年に生まれた弟グレッグ・オールマン。

デュアンは世界のギタリスト・ランキングにもたびたび上位に登場する名ギタリストとして、亡くなったいまも現代のギタリストに影響を与え続けています。

そんなオールマン兄弟ですが、なんと最初にギターを始めたのは弟のグレッグの方。まじめにアルバイトをしてお金を貯めてギターを手に入れたといいます。

勉強もできた優等生だった彼とは対照的に、兄のデュアンはバイクに夢中になっていたといいますから、ヘルス・エンジェルスやイージーライダーの世界そのままの“ザ・不良”だったに違いありません(完全に妄想ですが)。

バイクに飽きた兄が弟からギターを強奪して名ギタリスト誕生!?

岡本03 02▲通称“スカイ・ドッグ”、デュアン・オールマン

しばらくするとデュアンがギターに興味を持ちだします。デュアンのギタリストとしての出発点は弟のギター・プレイを聴いたことだったんですね。2人はチャック・ベリーやB.B.キングに魅かれギターをコピーしたようです。

彼らはバンド・メンバーとして歩みをともにし「オールマン・ジョイス」なるバンドを結成。その後「アワーグラス」と改名した彼らの音楽嗜好はあくまでもブルース、R&Bを基調としたロックでした。

しかし商業主義のレコード会社側とは意見があわずにバンドは1968年にあえなく解散しました。

デュアンはのちにトレード・マークとなるスライド・ギターをひっさげて、スタジオ・ミュージシャンとして動きだします。アワーグラス時代の音源を認められたデュアンはソウル・シンガー、ウィルソン・ピケットのアルバム・レコーディングに抜擢されました。

アルバムに収録のジミ・ヘンドリックスのカバー曲「Hey Jude」でのプレイが評判となりアレサ・フランクリン、パーシー・スレッジなどのシンガーからブルース・ギタリストのオーティス・ラッシュにいたるまで多くのレコーディングセッションで活躍します。

そのころグレッグはロサンゼルスでシンガーとして活動中でしたが、いまいちパッとしなかったようです。

やはり兄弟、おたがいのバイオリズムも近いものがあるのかスタジオ・ミュージシャンの仕事に満足していなかったデュアンは、腕利きのミュージシャンとともにバンドを結成。

ロスからグレッグを呼び戻しボーカル兼キーボーディストとしてバンドに加えることで、1968年3月にオールマン・ブラザーズ・バンドが結成されました。

ライヴ盤といえば必ずタイトルが上がる名盤『フィルモア・イースト・ライヴ』

岡本03 03▲彼らの本領はライヴでこそ発揮されました

彼らがブレイクしたのは1971年に発表された『フィルモア・イースト・ライヴ』。ライヴ・アルバムの名盤といえば必ずリスト・アップされる作品です。

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デュアンの豪快なスライド・ギターによる延々と繰り広げられるジャムセッションは、ギタリストならコピーしたくなるはずの名演。

この作品で一気にアメリカの国民的バンドに登り詰めたオールマン・ブラザーズ・バンドでしたが、突然の悲劇が兄弟を襲います。

兄デュアンの事故死を乗り越えて、グレッグが選んだのはバンド継続の道

岡本03 04▲デレク・トラックスを加えたラインナップ

1971年、『フィルモア・イースト・ライヴ』を発表から数ヶ月後にデュアンはバイクのハーレー・ダヴィッドソンを運転中に事故に遭い、あえなくその命を落としてしまいます。24歳という、あまりにも早い死でした。

兄の遺志を受け継いだグレッグはバンドの継続を決め、その後解散と再結成を繰り返しながらもオールマン・ブラザーズ・バンドを続けていきました。

バンドにはドラムのブッチ・トラックスの甥であるデレク・トラックスがギターで加入(その後脱退を表明)するという、バンドが長い道のりを歩んできたことによる共演も生まれました。

今年いっぱいでのライヴ・ツアー活動の終了を宣言、45年間のバンド活動に区切り

岡本03 05▲もはや長老!?と化したグレッグ・オールマン

グレッグは「45年もやった。もう十分だろう、そろそろほかのことをするべきだ」とメディアの取材で述べ、今年を最後にライヴ・ツアー活動を終了すると宣言。「5年ごとに一緒に集まって演奏する」といった活動を望んでいると明かした。

長いバンド活動のなか「オールマン・ブラザーズ・バンドといえばデュアン・オールマンのギター」というイメージがグレッグにとってどんなものだったのかは知る由もありません。

偉大なる兄が結成したバンドの音を途絶えさせまいと活動してきたグレッグ。本当に偉大なのは、彼の方かもしれませんね。

(文・岡本貴之)

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