名ギタリストたちの個性溢れるオリジナルモデルの魅力とそのサウンド

エリック・クラプトンの「ブラッキー」は50年代製の複数のストラトキャスターから気に入ったパーツを集めて作り上げられたものとして知られています。

ブライアン・メイのオリジナルシェイプのモデルは父親と一緒に暖炉の木を削り出して作られました。エディ・ヴァン・ヘイレンの「フランケン」は自らボディをザグリ加工し、配線をやりなおして作られています。

かつてはこのようにギタリストたちは、より自分に合ったギターを手に入れるために、さまざまな工夫をしてきました。

近年ではメーカーがギタリストの要求に応じてオリジナルモデルを製作するケースも多くなってきています。ここではそんな名ギタリストのオリジナルモデルについてお話したいと思います。

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エリック・クラプトンの量産型「ブラッキー」

最初に取り上げたいのがフェンダーがエリック・クラプトンのために制作したオリジナルストラトキャスターです。

長年にわたって前述の「ブラッキー」を愛用してきたクラプトンですが、ハードなツアーによる酷使で傷みが激しくなってしまったために、フェンダー製のオリジナルストラトキャスターを使用する頻度が高くなりました。

チャリティーオークションによってオリジナル「ブラッキー」を手放してしまった現在ではすべてのライブやレコーディングを近年製のオリジナルモデルでこなしています。

このモデルにはクラプトンのさまざまなアイデアが組み込まれています。

最大の特徴はフェンダーオリジナルのミッド・ブースター回路でしょう。アクティブ回路によって中音域のみをブーストすることによって、通常のストラトでは決して出すことのできない太いサウンドを生み出すことができます。

SGやレスポールといったハムバッキングピックアップを使用していた初期の楽曲を演奏する際、この機能がおおいに力を発揮しています。

さらに、ブーストした際のノイズを軽減するために初期のモデルではレースセンサーピックアップを、近年のモデルではフェンダー・ヴィンテージノイズレスピックアップを採用している点も大きな特徴の一つです。

一見するとただのストラトキャスターにしか見えませんが、そこにはギターの神様・クラプトンのこだわりが詰め込まれています。

後期型のオリジナルモデルを弾くクラプトン。初期は「ブラッキー」にならってボディカラーはブラックがチョイスされていましたが、近年はさまざまなカラーのものが使用されています。

ヌーノ・ベッテンコートの「N4」

90年代にエクストリームなどのギタリストとして名をはせたテクニカル系ギタリストのヌーノ・ベッテンコートもメーカー製オリジナルモデルを愛用しています。「N4」と名付けられたワッシュバーン製オリジナルギターはまさにヌーノが弾くためだけに生み出されたものです。

ボディシェイプからネックの太さ、ネックジョイントにいたるまでヌーノの体格やプレイスタイルに合わせて製作されており、お世辞にも万人受けするギターではありません。

木の色合いをそのまま生かしたナチュラルカラーのボディからは想像することもできないヘヴィサウンドをアウトプットするハイゲインピックアップなど、サウンド面でも完全なヌーノ使用となっています。

このモデルは市販され、彼にあこがれる多くのギタリストたちの手にわたりました。前述のとおり、あくまでヌーノ本人が弾くことを前提にシビアに設計されていることから、使いこなすことができずに手放してしまった人は多いようです。その証拠に一時期、中古楽器店に行くと多くの「N4」が並んでいました。

筆者も一度は購入したものの、使いこなすことができずに手放してしまったという経験があります…。

長年にわたってメインギターとしてのポジションを譲らなかったヌーノの「N4」

世界一有名なシグネイチャーモデル・レスポール

ギブソンのレスポールが、アメリカのジャズ・ポップスギタリストのレス・ポールのオリジナルモデルであることをご存じでしょうか？正直に言ってしまえば、ギタリストとしての評価はそれほど高くありませんので、そのサウンドを聴いたことがない、という方も多いのではないでしょうか。

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筆者もそのサウンドを聴いたのは最近になってからです。ジミー・ペイジなどの影響によって、派手なディストーションサウンドを出すためのギター、というイメージが定着していますが、レス・ポール本人のサウンドはクリーンでとても繊細なものです。

レスポール使いのギタリストならば、一度はリスペクトの想いも込めて聞いてみてはいかがでしょう？

晩年はレスポール・レコーディングモデルを愛用していました。

日本で一番売れたエレキ？hideのモッキンバード

国内ギタリストのオリジナルモデルにも目を向けてみましょう。

1998年にこの世を去ったX JAPANのギタリストであるhideのオリジナルモデルは日本で最も売れたエレキの一つと言われています。

モッキンバードシェイプに、さまざまなカラーリングや加工を施したモデルはインパクト抜群でした。

その個性的なデザインと彼の人気によって、フェルナンデスから発売されたオリジナルモデルは爆発的なヒット作となりました。hideを尊敬するギタリストはもちろんのこと、まったくギターを弾けないファンにもグッズの一つとして売れていました。

筆者は持っていなかったのですが、中高生のころ、ギタリスト仲間の多くがこのギターを手にしてX JAPANの曲をコピーしていました。彼のオリジナルモデルは、死後15年以上が経った現在でも販売されており、相変わらずの人気を保っています。

さまざまなカラーリングのモデルがありますが、もっとも印象的なのはこのチェリーサンバーストです。

さまざまなアイデアが詰め込まれたオリジナルモデル……そこに注目してみると、そのギタリストの新しい一面に気付くことができるかもしれません。

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