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ヴィンテージグレッチにご注意!~あるグレッチマニアの失敗談

グレッチはキングオブフルアコースティックエレキギターと呼ばれるほどの存在となっています。
ビートルズのジョージ・ハリスン、ストレイキャッツのブライアン・セッツァー、エアロスミスのジョー・ペリー、日本ではブランキージェットシティの浅井健一などの、多くのギタリストたちにグレッチのギターは愛されてきました。

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グレッチといえばやはりブライアン・セッツァー。近年は現行品を使用する頻度が高くなっていますが、ストレイキャッツ全盛期は常にヴィンテージ・ナッシュビルでプレイしていました。

筆者もそんなグレッチに魅了されたギタリストの一人です。これまでに現行品からヴィンテージまでさまざまなものを弾いてきました。

どのギターがよかった…という話はいたるところで語られていますので、ここではあえて筆者がグレッチで失敗してしまったことをお話したいと思います。

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現行モデルはグレッチであり、グレッチではない?

ブランドとしては長い歴史を持っていますが、じつはこの会社、何度も倒産や名前の譲渡を繰り返しているのです。そのたびに大幅に使用は変更され、50年代の初期のモデルと現行品ではまるで違うギターになってしまいました。

ヴィンテージモデルの精巧な復刻モデルがさまざまなメーカーから登場し、高い人気を集めているにも関わらず、どうしてグレッチだけが昔とはまるで違ったギターを作っているのでしょう?

その理由は、製造方法などの過去の資料がほとんど失われている、という点にあります。会社が倒産したり、ブランド名が譲渡されるたびにギター製作の工場は何度も移転されました。

こうした混乱の中で、設計図をはじめとする貴重な資料は失われて行きました。ですので、現在のグレッチ社は過去の製作のノウハウをまったく持っていないのです。

こういった背景をまったく知らずに、筆者はヴィンテージのサウンドに憧れているにもかかわらず、現行モデルを購入してしまいました。

高価なギターですので造りは申し分ありません。サウンドに関してもとても使いやすいものでした。ですが、長年憧れてきた浅井健一やビートルズのサウンドとはまるで別物でした。見た目は同じでも出てくる音はまるで違う…それが現行グレッチなのです。

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現行グレッチを愛用しているエアロスミスのジョー・ペリー。このように現行モデルを愛用しているギタリストも少なくありません。

ヴィンテージに潜む罠にご注意を

現行モデルのサウンドにまったく満足することのできなかった筆者は、結局現行グレッチをすぐに売却し、ヴィンテージ探しを始めました。

こうして出会ったのが格安で販売されていた60年代のカントリージェントルマンでした。

あこがれのジョージハリスンと同じ年代のものでしたので、今度こそあのサウンドを!とテンションが上がり、ろくに状態をチェックすることもなく、飛びついてしまいました。

ですが、購入してすぐに異変に気づきました。とにかくテンションが緩く、まったくチューニングも安定しないのです。原因はネックの取り付け角度にありました。深刻なネック置きが起こっており、テンションを維持するのに十分な角度が保たれていなかったのです。

すぐにリペアショップへ持ち込んでみたものの、アイロン程度での修正はできず、結局ネックを取り外し、再接着することになってしまいました。その工賃はなんと10万円…。格安で購入した意味がまるでありません。

グレッチはネックとボディの接合部が非常に弱いことから、ヴィンテージの場合、ネック起きが起こっているケースが非常に多いのです。

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ヴィンテージ・グレッチが新品だったころ…。画質は良くないですが、1959年、エディ・コクランの貴重なライヴ写真です。

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崩壊してゆくバインディング

カントリージェントルマンの次に筆者が手に入れたヴィンテージは、現在のメインギターとなっている64~65年製のテネシアンでした。このギターはネック起きも起こっておらず、プレイアビリティもとても良好でした。

しかし、しばらく弾いていると、ボディからぽろぽろと何かが落ちていることに気付きました。最初は塗料が劣化し、剥がれているのかな、と思っていたのですが、ボディのカラーは赤であるにもかかわらず、落ちて行く粉のようなものは白です。

原因がはっきりしないまま、使い続けていると、ある日ポロっと大きな白い塊が落下しました。そして、ギターをチェックしてみると、ボディの周囲を縁どるバインディングの一部がなくなっていました。

ヴィンテージグレッチのバインディングは現行のものやギブソンなどのものとは違い、劣化すると簡単に崩壊してしまうようになります。

結局、筆者はこのバインディングのまき直しのためにリペアショップで数万円の出費をすることになってしまいました。

年代がわからないグレッチの怖さ

楽器店などで70年代以前のグレッチをチェックしてみると、年代不明となっているものが多いことに気付くのではないでしょうか?ギブソンやフェンダーなどと違い、グレッチの場合はシリアルナンバーだけで正確な製造年を判別することができません。

前述のように、会社が倒産や譲渡を繰り返してきたことから、このシリアルナンバーに関する資料も失われているのです。

筆者も、テネシアンを購入する際に頭を悩ませてしまいました。

テネシアンを購入しようと思ったきっかけは筆者のギターアイドルである浅井健一が使用していたから、というものでした。

高い買い物になりますので、どうせなら彼と同じ年式のものが欲しいと考えていたのです。しかし、彼のギターも年代がはっきりしていません。当然、筆者が購入しようとしているものも年代が曖昧なものばかりです。

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64年前後のテネシアンを弾くジョージ・ハリスン。やはりこの年代のモデルが一番人気です。

結局、スペックの似ている64~65年前後のテネシアンを購入することになりました。ですが、やはりマニアとしては自分のギターが何年製なのか、と気になってしまい、落ち着きません。

グレッチを購入するのなら、事前にしっかりとした知識を頭に入れておく必要があります。これを怠ってしまうと、筆者のように高い勉強代を払うことになってしまうかもしれません。

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