© バンドやるZooh!~バンド好きの仲間が集まる総合情報ポータル All rights reserved.

譜面は読めた方がいいですか?~プロのミュージシャンがお答えします

アマチュアミュージシャンによく聞かれる質問に「やっぱり譜面は読めた方がいいですか?」があります。
これは、私自身もアマチュア時代によく思っていた疑問点でした。ここでは、私の経験を踏まえて説明したいと思います。

譜面が必要とされていた時代

画像2

今回の記事はプロ志向のミュージシャンを想定して書いていますが、純粋に趣味として演奏を楽しまれているアマチュアの方も話のネタとして読んで頂ければ幸いです。

スポンサーリンク

あまり自分自身の経歴を書くのは苦手なのですが、筆者は高校時代にベースを始めていくつかのアマチュアバンドを経験しながら22才頃からプロとしての活動を始めました。

その後、スタジオでのレコーディング、テレビの歌番組でのバックやシンガーのツアーサポートなども経験してきました。ちなみに、筆者がプロとしての活動を開始したのは今から30年以上前のことになるので、現在の音楽を取り巻く環境とは大きくことなっています。

当時は生の歌番組が各局とも週に何本もあり、レギュラーのビッグバンドの他に出演するシンガーの多くが自身のバックバンドと共に登場していました。

最近ではミニライブは打ち込みオケを使うケースが多いのですが、当時は地方を含めてほとんどの場合でバックバンドを使っていましたし、ドラマやCM、映画やアニメなどに使用される音楽もパソコンによる打ち込みがない時代なので、当然ながらすべてミュージシャンによるレコーディングで制作されていたのです。

他には、全国のディスコやキャバレー、ビアガーデンにいたるまで生バンド(今では死語ですが)が必要とされていました。これらの仕事のほとんどが、程度の差はあったとしてもミュージシャンとしては譜面を読めることが前提の時代だったのです。

読譜と演奏力のバランス

画像3

初見の譜面を見ながらベースをプレーする時は、常に少しずつ先を見ながらプレーする能力を必要とされます。

この「少しずつ」というのは感覚的なものなのですか、大体1拍か2拍先を確認しながらプレーしていると思って下さい。では、読譜力があればプロのベーシストとして活躍できるかというと、答えは当然「NO」です。

プロとしては、譜面に書かれたベースラインをリズムキープしながら正確に再現するだけではなく、自分なりのニュアンスを加えながら曲にマッチしたフィルインを弾くことも要求されるのです。

スタジオワークでは、現場で渡された譜面だけでプロとしての高いレベルの演奏が求められます。プロとしての能力を身に付けるには何年も掛かってのトレーニングが必要とされますが、それでも現場で評価を落とすようなプレーをしてしまうと以降のオファーがないのがプロミュージシャンの厳しい世界なのです。

バンドオンリーの音楽活動だと、それほどの読譜力を必要としない状況もありますが、もしソロミュージシャンとしてキャリアを積み上げたいのなら一定の読譜力は必ず求めらます。

プロミュージシャンの演奏能力を身につける労力に比べれば、読譜をこなすのに必要な時間は数パーセント位のバランスなのです。

譜面とタブ譜は似て異なるもの

画像4

日本では主に初心者用の教材に用いられることの多いタブ譜ですが、プロの現場でこのタブ譜が使用されることはありません。

スポンサーリンク

タブ譜はギターやベースのポジションが指定されたスタイルで記譜されていますが、五線譜と違って調性や和音を確認しづらい欠点があります。実は筆者自身はこのタブ譜を見てベースを弾いたことがありません。

というか、多分弾けないと思います。ポジションが指定されているという点でタブ譜にはメリットがあるように思う方もいるかも知れませんが、五線譜を見て自分なりのポジショニングを作るのもベーシストのセンスなのです。

プロを目指しているベーシストであれば、最終的の五線譜を読む能力が求められるので最初からタブ譜を使わない方が得策なのです。

結論です~結局五線譜は必要なのか?

画像5

譜面をある程度読めると仕事の幅が広がります。逆にいうと、まったく読めないベーシストは活躍の場が著しく限定されてしまいます。譜面を渡された現場で普段の実力をアピールできないのです。

いくら優れたテクニックやグルーヴを持っていたとしても、これでは宝の持ち腐れです。譜面が読めない位でプロミュージシャンへの道を自ら狭くすることはありません。役者の世界でいうと、譜面は台本のようなもので、台本の字が読めない役者さんはいませんよね?

毎日、少しずつ譜面を見てプレーすることで読譜力は必ず向上していきます。

結論として、譜面はやっぱり読めた方がいいのです。

一つの武器として

画像6

すべてではありませんが、海外のシンガーのサポートミュージシャンのほとんどがステージでは譜面を使っていません。その理由として、彼らはたとえサポートであってもステージは自分を表現する場所との意識が高いからです。

彼らにすれば、曲の内容はすべて頭に入った上でステージに上がるのは常識なのです。でも、そこに至るまでのリハーサルの段階では譜面があります。

読譜力は貴方をより高いステージで表現することを支えてくれるのです。

by JJ

スポンサーリンク


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

コメントは利用できません。

リッケンバッカーが好きなのはザ・ビートルズのファンだけじゃない!

ザ・ビートルズのメンバーが弾いていたことで有名なギター、リッケンバッカー。ザ・ビートルズのファンならずともオールドロックファンなら一度はあこ…

進化するギタリストのためのスマホアプリ~自動でチューニングOK!

いまや毎日の生活になくてはならないのがスマホです。せっかくのなので、音楽活動にも生かしてみませんか?今回は「ギタリストがスマホにぜひ入れてお…

オブリガードでカッコよく決めるならオーティス・レディングを聴くべし

ボーカルを活かす歌ものバンドで、ギターを弾くときにギタリストの腕の見せどころなのが曲のあいまに弾くオブリガードです。 でもどんなフレー…

ギターソロでお客さんの視線を釘付けに!~ソロが映えるインスト曲

ギタリストなら、一度はライブのステージで長いギターソロを聴かせたいものです。ゲイリー・ムーア、カルロス・サンタナ、B’zの松本孝弘まで、ギタ…

キース・リチャーズとチャーリー・ワッツにみるギタリストとドラマーの相性

バンドを組むときに一番重要なのは音楽的な相性の良し悪しです。ギタリストとして自分の個性をどれだけ表現できるか?は実はドラマーとの相性にかかっ…

ページ上部へ戻る