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えちぜん鉄道を救った女性アテンダントたち~経営難が生んだ新発想

ローカル鉄道3

ローカル鉄道の経営は、全体的に厳しいです。

しかし、ユニークな努力で生き残っている会社も多数あります。

ここでは運行停止から復活した、福井県の「えちぜん鉄道」の取り組みを紹介します。

車内で「女性アテンダント」がおもてなし

普通、車内でお客さんを迎えるのは「車掌さん」です。

しかし、えちぜん鉄道では「女性アテンダント」がお客さんを迎えます。

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新幹線や飛行機のアテンダントさんとまったく同じ雰囲気です。

アテンダントさんの仕事は、主に下の3つです。

1)高齢者の乗降を助ける
2)車内で切符を販売する
3)観光客に情報を提供する

これらの仕事は「これをやったら受けるんじゃないか」と考えたアイディアではありません。

最初は、諸事情によって「やむを得ず」導入したサービスでした。

赤字のため、券売機を駅に置けなかった

切符は普通、駅の券売機で販売するものです。

しかし、えちぜん鉄道はその設備投資のお金もなく、設置しても維持費を払えないことが予想できたので、券売機を1台も置かなかったのです。

なので「車内で切符を販売する」ということは必須でした。

これだけだったら男性の車掌さんでもいいのですが、後に続く2つの理由によって、女性が起用されたのです。

■高齢者の乗降を助ける

えちぜん鉄道は、バリアフリー化がほとんど出来ていません。

これもやはり財政難のためです。

しかし、えちぜん鉄道の主要なお客さんは「車を運転できない高齢者」。

高齢の方々が安心して乗ることができなければ、えちぜん鉄道は存在理由をなくしてしまうのです。

そこで、積極的に高齢者の乗降を助けることにしたのですが、こういうサービスは細かい心配りを得意とするアテンダントが向いています。

もちろん、男性でも気配りのできる人はたくさんいますし、これだけならまだ男性でもいいのですが、3つ目の理由が特に大きなものになります。


■観光客に情報を提供する

福井県は完全なクルマ社会で、ふだんの移動に鉄道を使う人は「わずか1.7%」しかいません。

ということは、地域住民の利用だけでは限界があり、観光客の利用を増やす必要があるわけです。

そのために、観光客にとって印象のいいサービスをしようと思うと、女性の方がいいわけです。

車掌さんが案内をしてもいいですが、やはり女性アテンダントの方が「接しやすさ」「話題性」の双方で有利だろう、ということで女性になったわけです。
(実際、この記事もその話題性に注目して書かせていただいていますし)

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このように、「アテンダント」というアイディアは半ば「苦肉の策」として生まれたのです。

しかし、結果それがユニークな試みとなり、えちぜん鉄道の客数を飛躍的に増やすことに成功したのです。

利用客数が、9年間で2.5倍に

えちぜん鉄道が運行を再開したのは2003年。

この年の客数(輸送人員)は「138万人」でした。

それが9年後の2012年には「約323万人」となっており、約2.5倍に増えていることがわかります。

運行停止からここまで客数を伸ばした例は、全国でもまれでしょう。

■黒字にするにはあと40万人

これだけ回復しているえちぜん鉄道ですが、実はまだ黒字ではありません。

黒字にするには360万~380万人の乗客が必要ということで、あと40万人は最低でも必要ということになります。
(パーセントでいうと、あと13%程度伸ばすということです)

■客単価が下がっているのが原因

客数が増えているのにまだ黒字になっていないのは「客単価が下がっている」ということが原因です。

03年には300円程度だった客単価が、現在では230円前後と、大幅にダウンしてしまっています。
(パーセントにすると75%くらいです)

客単価が下がった原因は「地域住民の利用」の割合が増えているからです。

もちろん、それを望まれて運行を再開したので、これはいいことです。

ただ、短距離の移動の場合は客単価が低くなるというのが現実。

それが原因で黒字化できていない以上、客単価の高い客層、つまり「観光客」を呼びこむ必要があります。

旅行ツアーの企画で観光客を呼び込む

えちぜん鉄道では、ユニークなツアーなどを企画したり、外部のイベントと連携したりしています。

たとえば、福井県には奇祭として有名な「勝山左義長まつり」というお祭りがありますが、そのツアーなどです。

他にも地元のフォトコンテストや新酒のイベントと提携するなど「鉄道以外のところから」利用者を集める工夫をしています。

えちぜん鉄道はアテンダントさんの教育が行き届いていることには自信を持っており、実際、メディアにも利用者にも高く評価されています。

そのため、「いかに最初の1回を乗ってもらうか、だけを考えている」と上層部の方は語っています。

「乗ってもらえば自信がある」ということです。

運行停止から、独自の「アテンダント」サービスによって蘇ったえちぜん鉄道。

黒字化への道はまだ続きますが、多くのローカル鉄道会社にとってヒントとなる成功事例でしょう。
(ローカルビジネスについては、こちらの記事もおすすめです。↓クリック)

シャッター街

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