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乾癬は絶対に感染しません~皮膚病への偏見や差別をなくしませんか

手を掻く女性

「乾癬(かんせん)」という皮膚疾患をご存知ですか?白いフケのような角質が乗った赤い発疹が特徴的な病気で、角質はポロポロとはがれ落ちてきます。

ただでさえ完治が難しく、患者さんはつらい思いをすることが多い上、その病名の響きからか「伝染病」と誤解されやすい病気です。しかし乾癬はウイルスや細菌によるものではないため、人に移ることはまったくありません。

乾癬(かんせん)ってどんな病気?

乾癬は欧米、特に白色人種に多い皮膚疾患です。ただし近年、日本でも増えており、現在国内には10万人以上の患者さんがいると思われます。

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乾癬の発疹は、目と口を除く全身の皮膚に現れる可能性がありますが、特に外からの刺激を受けやすいヒジやヒザ、頭皮などに多く見られます。また爪に発症すると、爪が変形してしまうこともあります。

症状としては、皮膚からやや盛り上がった赤い円形の発疹の上に、銀白色のフケ状の物質が乗っているのが特徴です。この白いものは「鱗屑(りんせつ)」といって、皮膚の角質細胞がはがれたものになります。

乾癬の多くは、大きめの発疹が広がる「尋常性乾癬」ですが、1センチほどの小さな発疹が点々と広がる「滴状乾癬」や、発疹の上に膿疱ができる「膿疱性乾癬」、皮膚全体が真っ赤になってしまう「乾癬性紅皮症」など、さまざまな型があります。

ちなみにかゆみは、かきむしるほど強く感じる人もいれば、ほとんど感じない人もいます。

乾癬の原因は「炎症によるターンオーバーの異常」

皮膚病の男の子
通常、私たちの肌はおよそ45日のサイクルでターンオーバーをくり返し、新しい皮膚に生まれ変わっています。しかし乾癬患者さんの肌では、その期間がたった4~5日と、異常に早まっているのです。

そのため普通なら自然にはがれ落ちる細胞がどんどん溜まっていき、フケ状の「鱗屑」として乗っかってしまいます。

なぜこのように異常な新陳代謝が起こるのかというと、炎症を引き起こすサイトカインである「TNF-α」の増殖が関わっています。遺伝的にTNF-αが産生されやすい人がいると考えられており、この場合は体質的なものだといえます。

他にも日常的なストレスや、糖尿病などの生活習慣病、また日光に当たらない生活なども引き金になり得るとされ、人によってさまざまな因子があると考えられています。

乾癬は伝染病ではない~患者さんに対する差別をなくそう

乾癬は、身近に患者さんがいない限り、多くの人にとって見慣れない皮膚疾患だと思います。ですから何の予備知識もない人がその皮膚を見ると、感染するのではないかと不安になるのも仕方ないことかもしれません。

特に乾癬は、白いフケ状の「鱗屑」がちょっとの刺激ですぐにはがれ落ちるため、それに触れると伝染するようなイメージを持たれやすいといえます。

しかし実際は皮膚の異常なターンオーバーによる症状であり、ウイルスや細菌性の病気ではありません。皮膚に触れるのはもちろん、お風呂やプールに一緒に入っても移るなどということは一切ないのです。

それでも周りへの気後れから、引きこもりがちになってしまう患者さんはたくさんいます。特に肌を露出する夏期間は、苦痛を感じやすいといえるでしょう。
また頭皮に発疹が出やすいため、美容室にも行きにくい人が多いようです。

TNF-αのようなサイトカインは、こうしたストレスによっても増殖しやすく、さらに症状を悪化させる危険性があります。治りを良くするためにも、患者さんの精神的ストレスの軽減はとても重要なのです。

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乾癬の基本的な治療法について

乾癬には、まだ完治するための治療法が確立されていないことも問題です。中には、ほぼ完治と言っていいくらいに良くなっている人もいますが、ほとんどは症状の改善と悪化を繰り返しながら、長く付き合っていく病気だといえます。

ただし適切な治療をきちんと受けることで、発疹をかなり目立たなくさせることはできます。中でも基本となる治療は、外用薬の使用です。

炎症を抑えるためのステロイド剤のほか、皮膚細胞の増殖を抑えるために「ビタミンD3誘導体」という薬が用いられます。ドボネックス軟膏、ボンアルファ軟膏などが有名です。

また皮膚をうるおすための保湿剤が処方されることもあります。
薬には相性もありますので、1つひとつ様子を見ながら試していくことも大切です。

外用薬の他には、患部に光を当てる「光線療法」がおこなわれることもあります。最初に光への感受性を高める薬を飲んだ後で、紫外線を照射するという方法です。

その他、発疹が重症化した場合には内服薬を服用することもあります。皮膚細胞の異常増殖を抑える「レチノイド(ビタミンA誘導体)」や、免疫抑制薬の「サイクロスポリン」などが代表的です。

「生物学的製剤」による新たな治療法の登場

点滴をする男性 
さらに最近では、炎症の親玉であるTNF-αに対抗する薬を注射もしくは点滴する治療法も始まっています。これはバイオテクノロジーによって開発された「生物学的製剤」であり、現在は大学病院などで受けることができます。

日本では「ヒュミラ」と「レミケード」、そして「ステラーラ」という薬が承認されています。いずれも投与すると、乾癬の諸悪の根源ともいえるTNF-αとすみやかに結合し、その働きをブロックしてしまうのです。

外用薬による乾癬治療は、症状の出ている範囲が広ければ広いほど手間もかかり、薬を塗ることが患者さんにとって大きなストレスになっていました。しかし生物学的製剤なら、数週間に1度、病院で注射や点滴を受けるだけで済みますので、精神的に楽な点がメリットです。

また炎症の親玉に直接作用するため、これまで治療効果の薄かった患者さんでも改善したというケースが報告されています。ただし生物学的製剤には、副反応として感染症の可能性があるため、今のところ万一のリスクに備えて大きな病院でしかおこなっていません。

今後さらに安全性が確立され、多くの患者さんが気軽に受けられるようになることが期待されます。

By 叶恵美

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