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すい臓がんは早期発見が困難で進行が速い「がんの王様」です

2014.03.16

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すい臓がん(膵癌)が「がんの王様」と呼ばれていることをご存知ですか?これはすい臓がんが早期発見しにくい上、進行が速いことが関係しています。

実際、年間の罹患者数と死亡者数に大きな開きがない、つまり死亡率が非常に高いがんなのです。

すい臓がんは、かかると命を落としやすいがん

すい臓がんは高齢層に好発するがんで、患者の8割を60代以上が占めています。

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もともと男性のほうに多いがんでしたが、近年では女性にも増えており、いずれもおよそ50人に1人が罹患するといわれています。

すい臓がんの場合、死亡率の高さが群を抜いています。

たとえば2006年のデータを見ると、年間の罹患者数が25,490人であるのに対し、死亡者数は23,366人です。

つまり治療の甲斐もむなしく、命を落としてしまう患者さんが非常に多いことを示しています。

がんの予後を示す「5年生存率」も、すい臓がんでは大変低い数値です。

もっとも早期の段階の「ステージⅠ」であっても57パーセント、つまり半分弱の人が5年以内に亡くなっています。

もちろん末期である「ステージⅣ」で見つかった場合はさらに低く、たったの3パーセントです。

一般的に予後が悪いといわれる肺がんでさえ、ステージⅠの5年生存率は約70パーセントですから、すい臓がんの悪性度がいかに高いかがうかがえるでしょう。

すい臓がんは症状が出にくく、見つけにくい

すい臓がんは、まず早期発見が難しい点が問題です。

胃がんや肺がんのような効果的なスクリーニング検査がないため、職場や自治体の定期検診もほとんどおこなわれていません。

もともとすい臓は胃に隠れるように存在していますので、外から細胞をとって検査をおこなうことは容易ではありません。

さらに中身の詰まった「実質臓器」ですので、カメラで中を覗くようなことも不可能です。

さらにすい臓自体が小さい臓器であること、また外部との連絡がないことなどから症状が出にくい点もネックです。

しかも他のがんが塊のようにして少しずつ増殖していくことが多い一方、すい臓がんは周りの組織を巻き込みながらあっという間に進行するため、発見された時にはすでに末期ということも少なくありません。

またすい臓そのものが小さい上、周りを血管やリンパ管、神経などが取り囲んでいるため、早い段階から遠隔転移しやすいがんだといえます。

すい臓がんで手術ができる患者さんは、全体の3割ほどしかいないのが現状です。

このようなさまざまな悪条件から、すい臓がんは「がんの王様」の異名をとっています。

がんの恐ろしさをすべて詰め込んだような病気だからです。

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すい臓がんの原因~「慢性膵炎」と「糖尿病」はハイリスク

すい臓がんの原因はこれといったものが特定されていませんが、飲酒や喫煙、肥満などが関わっていると推測されています。

また「慢性膵炎」や「糖尿病」にかかっている人はリスクが高まることが明らかになっています。

特に糖尿病との関連は深く、すい臓がんにかかった人の4分の1が合併しているともいわれます。

糖尿病はインスリンというホルモンの不足が大きな原因となるため、インスリンを分泌するすい臓とは切っても切れない関係にあります。

ちなみにこれまで糖尿病と診断されたことのない人でも、すい臓がんによってインスリン分泌の機能が低下することによって、糖尿病の症状が出ることがあります。

ですから急に多飲多尿などの糖尿病の症状が出てきた人は、すい臓がんも含めたすい臓の異常を疑うことが大切です。

一方、慢性膵炎は過度の飲酒などによってすい臓が慢性的な炎症を起こしている状態です。

こうなると細胞が破壊されてしまうため、すい臓がんのリスクが高まります。

実際、慢性膵炎の人のうち、約21パーセントの人がすい臓がんで死亡しています。

その他、一部のすい臓がんは遺伝性とされています。

割合としては高くありませんが、家族にすい臓がんの既往歴がある場合は高リスクになりますので、より早期発見に努める必要があります。

ちなみにすい臓がんだけではなく、遺伝性の膵炎や大腸ポリープがある人もハイリスク群です。

こうした遺伝的要因のある人を対象に、2013年から日本膵臓学会が登録制度を開始しています。

早期発見するために、人間ドックなどを活用しよう

すい臓がんは初期症状が少なく、あったとしても「何となく胃がおかしい」「背中に痛みがある」といったものに過ぎません。

ただし進行すると、近くを通る「胆管」ががんによって塞がれるため、胆汁が流れにくくなって黄疸が出てきます。

白目や皮膚が黄色っぽくなる、尿が茶色っぽくなる、などの場合は注意が必要です。

またすい臓は十二指腸とつながっていますので、がんが進行すると下痢や便秘、嘔吐などの症状も出やすくなります。

さらに進行すると、腹水による腹部膨満感も出てきますが、いずれも「これはすい臓がんの症状だ!」と分かるようなものではありません。

ですから早期発見のためには検査が大切なのですが、残念ながらすい臓がんにはまだ有効なスクリーニング検査がありません。

ただし人間ドックなどですい臓を詳しく調べることはできますので、ぜひ50歳くらいから定期的に受けるようにしたいものです。

特にエコー検査は重要です。

すい臓の中を通る「主膵管」の直径が2.5ミリ以上ある人、もしくはすい臓に直径3センチ以下の小さな膿疱(袋状のもの)がある人は、すい臓がんのリスクが3~4倍も高くなることが分かっています。

さらに膵酵素の数値などを調べる血液検査のほか、最近ではより精度の高い腫瘍マーカーや、唾液からすい臓がんを早期発見する検査法も開発されてきています。

公的な検診がない以上、一人ひとりが意識を高めて検査を受けることが大切ですので、ぜひ人間ドックのオプション検査などですい臓のチェックを受けるようにしましょう。

By 叶恵美

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