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世界一の文化大国イタリアの文化財を守るFAIという民間団体

No 6-2-018 01

イタリアは、ユネスコ世界遺産に登録された文化財が数多くある、世界一の文化財大国です。

歴史的価値のあるローカルレベルの文化財となると、国中にほぼ無数に点在しています。

すばらしい話のようですが、問題は、資金不足のせいでそのほとんどが手入れされていないことです。

この国で文化財保護活動を事実上担当しているのは、行政ではなく民間ボランティアです。一番大きいものはFAIと呼ばれる団体で、国中にある有名無名の歴史・芸術スポットの保護や修復に資金を提供しています。

FAIの正式名は、イタリア環境基金という意味のFondo Ambiente Italianoです。戦後の国土の荒廃を嘆いた人たちの手で、1975年にこの団体は設立されました。

しかし、志は高くてもボランティアなので、ここの活動資金はけっして多くありません。各地の文化スポットの傷みは年々ひどくなる一方です。会員を増やして、資金をどんどん集めなければ…。

という、かなり現実的な目的から年に2度行われているのが、FAIイタリア文化財無料公開デーです。これは会員集めのためのイベントですが、ふだん一般公開されていないスポットを無料で見学できるということで人気がでました。

フィレンツェ在住の筆者が見た、イタリア文化財とFAIのイベントの様子をご紹介します。

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ふだん非公開の公共スポットを見学できます

私の住んでいるフィレンツェは歴史や伝統のあるスポットの多い町です。とはいえ、観光用に一般公開されているもの以外はたいてい個人所有の土地。プライベートな家を見せてもいいという人は、じつはほとんどいません。

けっきょく個人所有の場所は避け、市、軍、大学などが管理するスポットが、FAIのイベントでは集中的に一般公開されることになります。

イタリア国立銀行、空軍学校、イタリア国王も使った屋敷、16世紀建設の大邸宅などが、フィレンツェではここ数年間に特別公開されました。大邸宅といっても個人所有の建物ではありません。専門学校の校舎として現在使用中のものなどを見ることができるだけです。

礼金も出せないのでは、個人の方に家や庭を見せてとはFAIもさすがに頼めないのですね。公共スポットしか狙えないところに、この団体にお金がない様子がよくわかります。

案内してくれるのは地元高校生ボランティアです

公開日には、こういう緑色の案内幕がスポットの前に張られます。

緑色の案内幕

この幕は地味すぎて、遠目にはあまり目立ちません。非営利団体だけあって、FAIは客寄せがあまりうまくないようです。

ガリレオ・ガリレイの最後の家

この日は、17世紀にガリレオ・ガリレイが生涯で最後に住んでいたという家が特別公開されました。今はフィレンツェ大学がこの建物を所有しています。

入場は無料です。来場者は中を好き勝手に歩き回れるわけではありません。20人くらい集まったら、ガイドさんがそのグループを連れて説明しながら内部を回ります。

このイベントでガイド役をするのは、いつも地元高校生のボランティアさんです。おじさんやおばさんたちに囲まれながら、男の子がこの日はひとりでがんばってくれました。

地元高校生のボランティア

この日のためにみんな短期間で予習をするようです。ネタを忘れたときや予想外の質問が出たときには、片手にもっているカンペを必死にのぞきこむ姿を見ることができました。

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ここは内部の保存状況がとてもいい建物でした。ただ、ガリレオの後にこの家の持ち主は何度も変わっています。改装が繰り返された結果、ふつうの別荘にしか見えなくなっているのは少し残念です。

建物の入り口

建物の入り口にこうして小さなガリレオの胸像がなければ、歴史建造物だなんてだれも気づかないくらいここは地味なスポットです。この胸像もかなり高い位置にあるので、ふだんはまったく目につきません。周囲には看板もなく、とにかく目立たない家でした。

遺跡

遺跡が見捨てられているとFAI側はいいます。でも、積極的に場所をアピールしない方にも責任があるような気がしました。あることすら知らない場所のためには、だれも寄付はしませんからね。

歴史記念物に興味があるなら寄付だけでもしてあげましょう

ボランティアのガイドさんに案内されながらルートを回っていると、どこからともなく募金箱をもったFAIの方が現れます。

入場は無料ですし、ここは気持ちよく小銭を寄付するようにしています。去年まではこのときにFAIのバッチを記念品としてくれたのですが、今年はシールになっていました。ここもお金がないようですね。

寄付された方への記念品

興味があるような顔をすると、ぜひ会員になってほしいと勧誘されます。大人1年間の会費が約5千円です。ボランティアの高校生の熱弁に負けて、ここで入会する人をいつも何人も見かけます。

私もカタログだけはもらいました。

FAIのカタログ

イタリア全国300以上の非公開スポットへ入場可能、500以上の美術館へ割引入場可能、会員限定旅行へ特別招待などのFAI会員特典があります。

私のような東洋人がこのイベントへ行くと目立つのでしょうか。日本の友人の間でもぜひ宣伝して欲しいと、毎年のようにボランティアさんに言われます。協力してあげたいとは思いますが、せっかくの会員特典も外国人にはあまり役に立たないものなので…。

年2回のFAI特別公開デーのときにたまたまイタリア旅行をすることがあれば、よければ募金だけでもしてあげてください。イタリア文化財保護の主力が、高校生を駆り出してこなければならないほどお金がない団体というのも情けない話です。

By 坂上

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