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ナセラ・ベラザのダンスに見るコンテンポラリーダンサーの新たな視点

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2年前に開催された「ダンストリエンナーレトーキョー2012」でナセラ・ベラザの作品を見たという方も多いでしょう。

アルジェリア生まれフランス育ちのダンサー、ナセラ・ベラザは、ほぼ完全な独学によって、唯一無二の踊りをつくりました。

正当なダンス教育を受けず技術を向上させた方々は、斬新な手法を編みだしたりダンスそのものに新たな疑問を問いかけたりする役割を果たします。ナセラ・ベラザのダンスで見つかる、新たな視点とはどんなものなのでしょうか。

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変則的かつ流れるような振り付け

流れるような振り付け

ナセラ・ベラザの枠組みとしてはコンテンポラリーに属しますが、昨今の現代的なダンスとは違い、コンセプトを重視した作品づくりはしてはいません。もちろんテーマはあるでしょうが、それ以上に動きを大切にしています。

コンテンポラリー・ダンスは今までにない新しいふりつけを考えるあまり、コンセプトをなにより重視したものになる傾向があるようです。振付家によってはほとんど動きのない作品をつくる方もいます。

芸術性という側面から見れば、なにをテーマにするかは大切ですが、あまりに比重を置きすぎると観客にとって難しいものとなり、はじめてダンスを見る人などが楽しめなくなってしまうでしょう。

「踊り」と言うジャンルのなかでやる以上は、やはり動きが必要ですし、振り付けそのものが目を惹きつけるものであるべきです。そしてナセラ・ベラザの作品は、変則的でありつつもあくまで動きに焦点をあてています。

変幻自在の自由な動きは遊びから生まれた!

ダンスを映した画像

▲上の画像はナセラ・ベラザのダンスを映したものですが、ひと目見て躍動的な振りつけであることがわかるでしょう。美しさとは違いますが、ダンスに一種の洗練された動きが見てとれます。

ワークショップ

▲こちらはワークショップの画像ですが、あまりダンスらしい動きには見えません。どちらかと言うと伸びをする時に近い、身体を自然に広げようとする動作で、遊びの延長線上にやっているようなリラックスしたふんいきを感じます。

ナセラ・ベラザのルーツは子ども時代に独学ではじめた踊りにあり、振りつけを考えるのは特別なことではなかったそうです。つまりもとからある技術に捉われない、自分のなかから生まれでダンスと言えるでしょう。

激しくも静かなダンス。音楽にのるばかりが踊りじゃない

独自に編みだした踊りは、奇妙で未熟に映るものも少なくありませんが、彼女の動きはふしぎと磨かれたものに感じます。激しくも音楽のなかに溶け込むような静けさをもつダンスからは、独特の空気感を感じることができるでしょう。

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作品の最中に聞こえる音楽は、アフリカン・ミュージックを思わせるものもあれば、ヨーロッパのクラシック音楽をイメージさせるものもあります。しかしバレエのように、振りつけが曲にのることはありません。

むしろ、楽曲のすき間に入り込むようなダンスであり、水の中に潜航しているようなふんいきをかもしだします。目には踊っているのが映るのに、感覚的にはまるで動いていないような静寂を覚えるでしょう。

既存の枠組みから外れて今、新たな方向性を見つける!

上記のような踊りからわかるのは、ダンスとは音楽にのせてするだけのものではなく、またコンセプトばかりを重視していてもいけないということです。これはコンテンポラリーに限らず他の踊りにも言えることでしょう。

たしかに、すでに伝統ある体型づけられた動きが存在する以上、そこから抜けだすためには「踊る」こと自体から外れることが、新たな作品を生みだすためには欠かせません。

また、一定のリズムを生みだしテンポのいい振りつけを見せるためには音楽に合わせるのも大切なことです。ずっと音もなく踊っていては観客も退屈してしまうでしょう。

ダンスがするべき正しい進化の形とは?

しかし「新しい」ことや「観客をみせる」ことに捉われるあまり、大切なことを忘れてはいないでしょうか。それは「ダンスする」ということです。どんな形であれ、内から湧きでる感覚に沿って身体を動かすことが「踊り」でしょう。

音楽や照明など後に技術の発達とともに生まれたものや、確立されたダンスのテクニックに惑わされてはなりません。ただ遊ぶように、身体の面白さや人体の動かし方を工夫することを突き止めるのが本来の磨き方です。

ですから、ナセラ・ベラザの作品のように本来、人が自然と思いつく身体の動きを磨きあげたダンスが現代では意味をもちます。

リズムやコンセプトよりも「踊る」ということを重視し、ダンスすることに忠実な作品は、きっと次世代を担う多くの若手たちの指標となることでしょう。

すばらしいダンサー

ナセラ・ベラザは、もとからあるダンス・テクニックを身につけることをよしとせず、身体がもつ「踊りたいという衝動」を自身の技術として昇華したすばらしいダンサーです。

彼女の作品は、観客にとってのわかりやすさやコンセプトよりも、肉体のもつ動きのおもしろさに焦点をあてており、若手の踊り手たちにとって、現代のコンテンポラリー・ダンスシーンを見直すきっかけとなるでしょう。

そして身体を動かすことの重要性と、常識や大衆的であることに捉われないことの大切さに気づくはずです。ダンスが進化の方向性を見失いかけている今だからこそ「体がもつ衝動」に気づくことは、新たなテクニックを生みだすために必要不可欠と言えるでしょう。

By筒井

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