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イタリアではなぜ洗濯用洗剤の種類がこんなにもたくさんあるのか?

2014.04.29

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イタリアでは、どのお店へ行っても洗剤売場はかなりの広さです。

日本のスーパーの洗剤コーナーもなかなか大きいですが、この国のクリーニング剤売場はその2倍ほどのスペースです。

イタリアは、洗濯用洗剤の種類がとても多いのです。衣類の種類や、落としたい汚れの強さなどに合わせて、いろいろな製品が売られています。

日本製品とは比較にならないほど強力な漂白剤入製品もあります。

参考記事:なぜイタリア人は掃除用洗剤として漂白剤を毎月1リットルも使うの?

その一方で、黒い服専用洗剤や色移り防止シートなど、機能性にずいぶんこだわった製品があるのも事実です。

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日本で見かけない製品が、イタリアにたくさんあるのはなぜなのか…答えは、水と洗濯機の違いにあります。

ドラム式洗濯機と硬水の組み合わせは衣類を早く傷めます

日本の水は軟水です。軟水を使えば、どんなクリーニング剤でも洗濯時に柔らかな泡が立ちます。

しかしイタリアの水道水はミネラル分の多い硬水です。ふつうの石鹸はもちろん、洗濯用洗剤もなかなか泡立ちません。汚れもとうぜん落ちにくいです。

水中の石灰分のせいで衣類の繊維がすぐに硬くなるので、たっぷりの柔軟剤も欠かせません。うっかりしていると、服はすぐに毛羽立ちます。

軟水に比べると、硬水で洗濯するのは面倒です。

汚れの落ちにくい硬水でもしっかり洗えるように、イタリアではドラム式の洗濯機が普及しています。

ドラム式は、槽を回転させることで、中の服を上から下に落とすことで洗う仕組みになっています。水は少量しか使いません。ちょうど、叩き洗いをしているようなものです。これなら泡の立ちにくい硬水でも、汚れを落としやすいわけです。

でも日本で主流の縦型洗濯機に比べると、ドラム式で洗うには約2倍の時間が必要です。通常洗いにセットしても、できあがるまで90分はかかります。

それだけ汚れが落ちにくいということなのですが、こんなに長い時間叩き洗いをしていると衣類の傷みは避けられません。

洗濯のこうした悩みは、イタリア人ももちろん切実に感じています。

服を守るための一番てっとり早い方法は、洗濯の時間をできるだけ短くすることです。

そこでイタリアには、短時間でもすっきり洗える強力洗剤が多数でまわっています。

短時間でも汚れを落とせる漂白剤入りが人気です

強い洗浄力を謳っているイタリアの洗剤は、たいてい漂白剤入りです。

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漂白剤入りの強力タイプなら、規定のスプーン1杯分だけでもすっきりと汚れが落ちます。洗剤を使いすぎることがないから経済的だということで、イタリアではこうした強力クリーニング剤がすっかり主流になりました。

No 6-2-016 04.jpg▲最初から1回分を水溶性カプセルに詰めたものも販売されています。これは1つが30mlでわずか20gしかありませんが、通常の洗剤の3倍の洗浄力があるそうです。たしかに汚れの落ち方も上々でした。

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たとえ洗い上がりまでの時間が短縮されても、漂白剤など入っていたら衣類はけっきょく早く傷むのではという疑問もあるでしょう。私の経験から結論を言うと、まったくその通りです。

たいていのこうした商品は、どんな衣類にも使えることになっています。でも実際は、デリケート素材や色物には使わないほうが無難です。服の型が崩れやすくなりますし、なにより色落ちもします。

では、色落ちだけは避けたい衣類の場合、イタリア人はどんなクリーニング剤を使うのでしょうか。

色落ち防止効果のあるクリーニング剤を、どの家でも併用しています

日本で縦型洗濯機を使って軟水で洗っても、黒い服などは次第に色が抜けて白茶けた感じになるでしょう。

ましてドラムを回しながら硬水で洗うイタリアでは、ダークカラーの服などあっという間に色落ちします。服を裏返してから洗うなどの工夫をしても同じことです。

この国では、黒など色の濃い服専用のクリーニング剤があっという間に人気になりました。ヘアカラーにも使われる色素定着剤が、主要成分として含まれている商品です。

No 6-2-016 05.jpg▲どのメーカーのものでも、このタイプの商品には真っ黒なボトルが使われているので、売場でもとても目立ちます。

私もこれを使っていますが、確かに色が少し長持ちするように思います。とくにコットンのような天然繊維には大きな効果がありました。

ヨーロッパのほかの国々でも、この黒い衣類専用洗剤は広く販売されています。ヨーロッパはどこの国でもたいてい硬水、そして洗濯機はドラム式です。このクリーニング剤は、衣類の傷みと色落ちに悩む欧州の人々が長年待ち望んでいた製品だったのかも知れません。

No 6-2-016 06.jpg▲色落ちになお不安がある人のために、シート状の吸着剤も発売されています。

色素定着剤の力で色を繊維の上に安定させつつ、どうしても染み出てくる色素はシートが吸着します。

No 6-2-016 07.jpg▲このシートを入れておけば、漂白剤が少しくらい入った洗剤で洗っても簡単には色落ちしません。

たとえ水中に溶け出した色素があっても、シートがすばやく吸い取るので他の衣類への色移りを防ぐこともできます。強力洗剤を使いながら、白い服と色物服の同時洗いまで可能にした画期的な商品です。

クリーニングに関してだけは、イタリアには日本よりもいろいろな工夫を凝らした製品があります。商品のバラエティの多さは、ここがそれだけ水質で苦労してきた国だということの証なのでしょう。

By 坂上

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