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北京の大気汚染の根底には貧困があった?~PM2.5問題の真実

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model_pekin2今、北京の大気汚染が深刻な状況になっているのは知っての通りです。
「PM2.5」という単語も多くの人に知られるほどになっていますが、この記事ではそんな北京の大気汚染の原因と現状、対策についてまとめます。

【参考記事】
ZAiオンライン『北京の大気汚染の原因を突き詰めた!?
緊急レポート! 北京の一般家庭の暖房事情』
など

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大気汚染は粗悪な石炭燃料『蜂の巣炭』が原因?

蜂の巣炭
中国でよく使われる燃料に『蜂の巣炭』というものがあります。
これは日本風の呼び方で、中国語では『蜂窝煤(フォンウォメイ)』といいます。

(イラストのような外観のものです)

なぜ石炭燃料が使われるのか?

中国の都市部の巨大ボイラーは、最近ではだいぶ石油や天然ガスに対応するよう切り替わっています。

しかし、郊外ではまだ対応していない物が多くあり、そうした地域に住む人々は、石炭燃料を使わざるを得ないのです。

また、そうした地域の人々は所得が低いですので、安く手に入る蜂の巣炭などの燃料を使わざるを得ないという事情もあります。

一般家庭の場合ですと、日本でいう七輪のようなものを使ってこの炭を燃やし、それで暖を取るわけです。

これらの炭を使うのは一般家庭ばかりではなく工場などのボイラーにも使われています。

工場の場合は块煤(クワイメイ)と呼ばれる炭を使うことが多いようですが、とにかく事業者から個人まで、郊外では炭をあたり前のように使っているというわけです。

一酸化炭素中毒が起きない理由

一般家庭でこのような炭を燃やして、なぜ一酸化炭素中毒にならないのでしょうか?

その理由は「気密性の悪さ」にあると考えられます。「気密性が悪い」というと一般には普通マイナスの意味で使われますが、ここでは「自然にに換気ができる」ということで、プラスに働いているわけです。

中国は一人あたりGDPは今でもそれほど高くありませんので、一部の収入の高い人々を除けば、まだまだ扉や窓の立て付けの悪い家に住んでいるというのが実情です。

立て付けが悪いだけでなく、割れた窓ガラスの代わりに新聞紙を貼り付けているなど、家の中を普通にすきま風が通るような家もまだまだ多いので、一酸化炭素が溜まることはまずないわけです。

なので、「自宅で石炭を燃やす」という日本のような気密性の高い家に住んでいると明らかに危険と思えるシチュエーションでも、中国ではまず事故になる確率は非常に低いといえるでしょう。

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冬の空気が一番悪くなる

このように中国では石炭によって暖を取ることが大気汚染の大きな原因の一つとなっているので、冬になると特に汚染はひどくなります。

そして、暖を取る必要性がなくなる春になると、大気汚染はだいぶマシになってきます。

解決するには「貧困の解消」が必要

この「庶民の石炭」による大気汚染の問題は単純に「石炭の利用を禁止すればいい」というものではありません。

彼らにしてみれば「ボイラーシステムが整っていない」「お金がない」という理由で石炭を使っているわけなので「石炭を禁止する」ということは、すなわち「暖を取らずに死ね」ということに等しいわけです。

彼らも使いたくて炭を使っているわけではないのです。まずは彼らが蜂の巣炭のような石炭を使わなくてもいいように、経済状況を整えることが先決となります。

もちろん、それは一朝一夕でできる事ではありません。

日本は戦後「途上国から先進国に仲間入りした唯一の国」と評されていますが、日本の場合戦前から国民のほぼ全員に教育が行き届いていました。
(また、民族の衝突なども少なくとも中国と比較すると、ほとんどありませんでした)

それに対して、中国の場合は地方にいくと識字率がとても低いと言われており、各地で独立を求める民族との衝突も起きています。

このような状況で中国が、かつての日本のように一気に貧困から脱出するというのは非常に困難であると言わざるを得ません。

この問題に打つ手はない?

大気汚染

参考記事で筆者の荒木さんは「要はどうしようもない」と指摘されています。

大きな原因が貧困にあると分かっていても、これをすぐに解決するのは困難なので、手をつけられるところから少しずつやっていくしかない、ということです。

具体的には、大規模な工場への規制、自動車への排ガス規制、発電所の改善などです。

大気汚染対策として真っ先に連想するような内容ですが、やはりこのような所から手をつけていくしかないわけです。

一言でいうならこれは「所得が高い人々への働きかけ」ということですが、やはり環境問題はある程度生活が安定するようになってからでないと、手をつけられない問題なのかも知れません。

(実際、日本が環境問題を考える余裕が出たのも、世界の経済大国となった後でした。その前の水俣病、四日市ぜんそくなどの公害のひどさは知っての通りです)

「豊かになろうとすると、環境が破壊される。でも、豊かにならないと環境を守れない」という一種のジレンマ。

北京の大気汚染の本当の原因はこの「ジレンマ」にあるということになります。

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