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子どもにはどんな名前をつけても大丈夫?~「安倍総理」でもOK?

2014.02.20

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最近は、「きらきらネーム」とか「DQN(ドキュン)ネーム」などと呼ばれる珍奇な名前が流行して物議をかもしています。

基本的には子どもの命名権は親にあるのですが、役所に出生届をだす際には、かならずしもどんな名でも認められるわけではありません。

20年ほど前、「悪魔」と書かれた出生届けを市役所が認めず、保護者と裁判で争うという事件がありました。結果としてその名前は認められませんでした。この事件を機に「創意工夫」をこらして命名する親が増えたようです。

では、どんなものなら認められ、どんなものはダメなのでしょうか?

「悪魔くん事件」とは何か

1993年に東京都昭島市の市役所に、名前欄に「悪魔」と書かれた出生届が出され、市役所側が訂正をもとめたのに対し、拒んだ親が裁判で争ったものです。

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これに対して家庭裁判所は、「悪魔という名は命名権の乱用で違法」としたものの、「戸籍の名前を抹消したのは違法」としました。

「違法な名前だけれど、戸籍にはそのまま載せろ」という判決で、どちらが勝訴したのかはっきりしないものでした。市側は高裁で争おうとしたものの、親が不服申し立てを取り下げて別の名前に変更したため、家裁の中途半端な判断だけが今も残っています。

いずれにしても、この事件によって命名には一定の制限があるということが確定した反面、よほどひどくない限り認められるという認識が広がりました。

使ってもいい漢字は、決められています

名前に使用できる漢字は法律によって決められています。文部省が定めた「常用漢字表」と法務省が定めた「人名用漢字表」のなかから選ばなければなりません。常用漢字は2136字、人名用漢字843字あります。ひらがなやカタカナは自由です。

常用漢字は社会生活をするうえで必要となる漢字として定められたもので、大半を義務教育で学習します。人名用漢字は、常用漢字以外で名前としてよく使われるものを中心に選定されています。どちらも法務省のHPで確認・検索することができます。

「悪魔」という名前については、「悪」も「魔」も常用漢字であり、文字そのものには何ら問題はありません。「悪魔」という熟語としての意味が不適切と判断されたわけですので、たとえば「魔子」という名前は認められます。

安倍さんが子どもに「総理」と名づけてもいいのか?

「総理」という名前の場合、「総」も「理」も常用漢字ですし、「総理」には不適切な意味がありませんので認められます。実際に「総理」という名前の方はいらっしゃいます。「首相」でも大丈夫です。

名前を認めるかどうかは、市区町村によって異なります!

出生届けを受け付けるのは、市区町村の役所です。不適切な名前かどうかは法律に定めはないので、受理するか否かは届け出た役所の判断となります。

「悪魔くん事件」にしても、昭島市役所は問題ありとして受け付けませんでしたが、他の市役所に出していれば認められた可能性がないとは言えません。

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読み方についても、役所の判断です

漢字の読み方については法律で決まりがあるわけではありません。そのため、「どんな読み方でもOK」と思い込んでいる人もいますが、そうではありません。常識的に読める範囲でしか認められません。

例えば、「顔本」と書いて「ふぇいすぶっく」と読ませたり、「飛鳥」を「あすか」と読むからといって「飛都呂」を「あすとろ」と読またりするのは厳しいでしょう。(「飛」には「あす」という読みはありません)

ただ、これも個別の役所判断ですので、厳しいところとそうでないところがあり、ある役所では認められても、別の役所では認められないということがあるようです。また、届出時に親がゴネると認められてしまうというケースもなくはないそうです。

不都合があれば、家庭裁判所で変えられます

最近はやりの「キラキラネーム」のなかには、子どもが成長してから不都合が生ずるケースがあり得ます。奇妙な名前のため、からかわれたり、イジメられたりということもあります。就職や結婚で不利になるとも言われており、改名を希望する人もいるようです。

どうしても名前を変えたいときには、家庭裁判所に申し立てをすれば認められることがあります。

「田中角栄」さん改名事件もありました!

1970年代に、田中さんという方が自分の子どもに、尊敬する首相の名前から「角栄」とつけました。

のちに田中角栄首相がロッキード事件で有罪となったため、「角栄」くんは学校でイジメられるようになったそうです。そのため、申し立てをして改名したという「事件」がありました。

漢字に制限があるのは、読めない名前の議員の切実な訴えがあったから!?

かつて名前は自由につけられましたが、1947年に人名用の漢字が定められ制限されるようになりました。その後、国会で「命名権は基本的人権」「制限するのは憲法違反」という議論が起こり、1951年には人名漢字の制限を撤廃する法案が可決されそうになったのです。

それに待ったをかけたのは、劒木亨弘・官房副長官。

「私の名前が読めますか? 生まれてから一度も正確に読んでもらえたことがない。親だからといって、人から読まれない名前を勝手につけていいのでしょうか!」と訴えたのです。この直訴がきっかけで、撤廃法案は廃案になりました。

ちなみに、劒木亨弘さんのお名前は「けんのき としひろ」と読みます。佐藤内閣で文部大臣をされたのち、共立女子大学の学長もなさった方です。

by 水の

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