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火星人来襲! ~ラジオの生放送が起こした1938年の大パニック

2014.02.21

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Alien in desert with UFO

1938年10月、アメリカのラジオ局が「火星人の来襲」を実況中継しました。

ニュージャージーに落下した円筒形の隕石(宇宙船)から火星人が出てきて、街を焼き尽くし人類の虐殺を始めたというニュースです。

もちろん作り話なのですが、あまりにも迫真の内容だったため、番組のリスナーの中には「本物」と勘違いした人が続出して大パニックとなったそうです。そのため、ラジオの歴史上でもっとも成功した番組とされています。この事件のてん末を追ってみます。

「うちの近辺もだんだん熱くなってきた!」と叫んだ母親

火星人の乗った「隕石」の直撃を受けたとされたニュージャージー州では、プリンストン大学の教授たちが一晩中「墜落した隕石」を探し回りました。大学には、学生の保護者たちから「すぐに避難しろ」との電話が殺到。

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ある母親は電話交換手に「早くうちのボビーを出して! 全米は灼熱(しゃくねつ)地獄なのよ。うちの近所でもだんだん熱くなってきてるのだから!」と叫んだそうです。

プリンストン大の学生新聞のオフィスには、先輩から「火星人の鎧(よろい)のすれる音が聞こえる」と電話があり、記者が防毒マスクをつけて急行。

近隣のアーヴィング市では、防毒マスクを売っている店を探して市民が血眼で日曜日の夜の商店街を走り回りました。火星人は毒ガス攻撃をすると思われていたようです。

「大統領の訣別の挨拶を聞いた」という人も!

コールドウェル市では、「ラジオでルーズベルト大統領の訣別の挨拶を聞いた」という人が教会に駆けこみ、人々がひざまずいて祈祷をささげました。ニューアーク市の病院には、ヒステリーを起こした男女15人が担ぎ込まれたそうです。

ニューヨークでは電話回線がパンク

ニューヨークでは、真偽を確かめるためやSOSで警察の電話はパンク。ほとんどつながらない状態となり、市民は事実を確認することができずパニックがさらに広がりました。

当時の日本にはまだ電話のある家庭は少なかったのですが、ニューヨークでは既に80万世帯が電話をもっており、それが一度に使われたために「不通」となってしまったのです。

警察では、真偽を確かめるために放送局に問い合わせますが、局の電話も全国からの問い合わせでパニック状態。つながらないために、警察すら事実確認ができませんでした。

セントラルパークは数千人の避難民であふれかえり、地下鉄駅には避難しようとする群衆が柵を壊して侵入したため駅舎は大損害をこうむります。

本当はただの、小説「宇宙戦争」の朗読です

ラジオ番組の意図は、リスナーをだまして驚かそうという趣旨ではありませんでした。H.G.ウェルズの書いた人気SF小説「宇宙戦争」(The War of the Worlds:1898年)を朗読するという、ただそれだけの内容です。

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これをプロデュースしたのが、後に「市民ケーン」などの映画監督としても活躍することになるオーソンウェルズ(原作者のH.G.ウェルズとはまったく関係のない人です)。

彼は原作に手を加えて舞台をアメリカに変え、臨時ニュースの形式で放送しました。奇抜な構成と迫真の演技のおかげで、放送の冒頭に「物語だ」とアナウンスしたにもかかわらず、「本物」と勘違いされてしまったのです。

どうしてこんなパニックになったのか?

午後8時にスタートした放送の冒頭では以下のように語り、小説に基づく話であることを明らかにしています。

“The Columbia Broadcasting System and its affiliated stations present Orson Welles and the Mercury Theatre on the Air in The War of the Worlds by H.G.Wells.”
(オーソンウェルズとマーキュリーシアターがH.G.ウェルズの「宇宙戦争」をお送りします)

しかし、当時は同じ時間帯に人気番組 “Chase and Sanborn Hour” があったため、多くのリスナーは8時12分ころにならないと、このチャンネルに合わせませんでした。それで、イントロ部分を聴いていない人もいたのです。

チャンネルを合わせた途端に耳に入ったのは、火星人の襲来を告げる放送です。「放送の途中ですが、音楽を中断してニュースをお知らせします」と。

そして、隕石が墜落した、フタが開いて生物が出てきた、クモのような恐ろしい怪物が村人を焼き殺した……と続いたのです。

“Ladies and gentlemen, I have just been handed a message that came in from Grovers Mill by telephone. Just one moment please. At least forty people, including six state troopers, lie dead in a field east of the village of Grovers Mill, their bodies burned and distorted beyond all possible recognition.”
(たった今、グローバーミルからのメッセージを受けとりました。ちょっとお待ちください。町の東で警察6名を含む少なくとも40人の無残な焼死体が発見されました)

このようなレポートがつぎつぎと報告され、番組はどんどん盛り上がります。面白いドラマだと聴いている人がいる一方で、パニックになった人々もいたのです。全米で120万人がパニックに陥ったとされています。

1938年とはどんな時代だったのか?

この事件の起きたのは、第二次世界大戦の開戦(1941年)の3年前、日本はすでに前年(1937年)から中国と日中戦争を戦っています。

アメリカはこの年に「新オレンジ作戦」を策定し、日本との戦争を想定した作戦を練っています。国内の緊張はとても高まっていました。

近い将来どこかの国が攻撃を仕掛けてくるかもしれない、という緊張感の中で人々は生活しており、そうした中だからこそ「火星人来襲!」が本物と誤解されたのでしょう。

ただ、この「パニック」については、報道されたほどの規模ではなかったのではないかという分析もあります。新聞社が、新興メディアであるラジオの失墜をねらって大げさに伝えたという説です。

実際はどの程度のパニックだったのかは藪の中ですが、人々を不安に陥れたことは間違いありません。実際に、ニューヨークの警察や放送局CBSの電話回線はパンクしたそうです。

現代なら、このような番組を真に受ける人はいないでしょう。緊迫した時代だったとも、逆に、のどかな時代だったとも言えるのかも知れませんね。

by 水の

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コメント

    • ハナコ
    • 2014年 7月 31日

    UFOの存在は100年間ずっと言い伝えられてきたことです。
    まじかにみてみたいです。

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