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国債のデフォルトリスク -アイスランド、アルゼンチンの実例

2014.02.21

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国が国債の利息を払えなくなることを、デフォルトといいます。

この記事では、日本と外国の国債のデフォルトの可能性、実例を紹介します。

日本国債はなぜデフォルトしないのか?

日本国債は、ほぼ確実にデフォルトがありません。理由は「ほとんど日本人に貸している」からです。

日本人に返す場合、当然「円」で返します。なので、「100万円返す」という約束だったら、100万円を刷って、それを渡してしまえばいいのです。

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この方法で返せば、1兆でも100兆でもいくらでも返せるんですね。

しかし、大量に刷ったら当然、紙幣の価値は下落します。ということは物価が高くなります。

ジンバブエのように「札束を持ってレストランに行く」というハイパーインフレもありえるわけです。

こうなると「100万貸して100万返ってきた」としても、その100万円には何の価値もありません。

国債を買った時点では100万で小さな車も買えたかも知れませんが、インフレ後の日本では、牛丼しか食べられない、という可能性もあります。

ということは、この100万円は「なくなったも同然」なのです。

金額的には確かに全額返ってきましたが、その「価値」を考えると、返って来なくなったのと同じなんですね。

こうなるリスクを「国債のインフレリスク」といいます。

国債のインフレリスクから学べること

ここから学べることは「お金の世界に『安定』などない」ということです。

何の投資もせず、ただひたすら100万円をタンスで貯金し続けたとしても、10年後にその100万円が何の価値も持たなくなっている、という可能性もあるのです。

なので、私たちは資本主義社会で生きている限り、「本当の安定」などどこにも期待できないんですね。

貯金をたっぷりしていたとしても、老後もその貯金に価値があるのかまったくわからないわけです。

これについては、過去に詳しい記事を書いているので、よかったら参考になさってください。↓
『投資が怖いから貯金』は大間違い – 現金は『日銀の株券』である

…とはいっても、日本国債の場合はこうしたインフレリスクがあるだけで、デフォルトはありません。

これに対し、外国債の場合はデフォルトも実際に起きています。

08年に起きたアイスランド国債のデフォルトを紹介します。

デフォルトの1年前まで人気だったアイスランド国債

アイスランド国債は、デフォルトの1年前には日本の証券会社でも扱われていました。

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金利10%という利回りの良さで、かなり人気があったようです。

その頃All Aboutで取り上げられた記事がこちらです。↓

金利10%!北欧の国アイスランド

別にAll Aboutだけが取り上げていたわけではなく、当時のアイスランド国債の格付けは最高レベルでした。

ムーディーズ、S&Pなどの機関からも最高ランクのAAAをもらっていました。

それだけの格付けでしかもこの高金利ですから、人気があったのも当然と言えるでしょう。

しかも、当時のアイスランドは日経産業新聞が選んだ「ビジネスのしやすい国」のランキングでも、世界10位に入っていました(日本は12位)。

それだけ「信頼できそうな」国債であってもデフォルトしたのです。

となると、今どれだけ「安全」と言われていても、外国債である限り安心はできないと思った方がいいでしょう。

10年に1回デフォルトをする、アルゼンチン

アルゼンチンは経済規模では南米2位です。

しかし、あくまで「規模」の話で、その財政状況は悲惨を極めています。

アルゼンチンが最後にデフォルトをしたのは01年~02年の「アルゼンチン危機」ですが、実はそれ以前にも4回のデフォルトをしています(つまり、通算5回)。

これはいずれも1950年以後の話なので、この60年で5回のデフォルトをしているのです。

しかも今年もすでに「6回目のデフォルトもありうる」と言われているくらいなので、ほぼ10年に1回の割合でデフォルトをしているといえます。

(6回目のデフォルトの可能性については、ニューズウィークの記事でも言及しています。↓)
ニューズウィーク日本版「アルゼンチン危機、再発のお寒い背景」

アルゼンチンはかつては先進国でしたが、今は完全に途上国に転落してしまっています。

このことをサイモン・グズネッツー(1971年ノーベル経済学賞)は、こう語っています。

「世界には4つの国しかない。先進国、途上国、日本、アルゼンチンだ」

どういう意味かというと、

「先進国と途上国は、固定されていて逆転できない」

「しかし、日本は途上国から先進国になった」

「アルゼンチンは、先進国から途上国になった」(彼ら2国だけは例外だ)

という意味です。日本人にとっては光栄な言葉ですが、アルゼンチンにとっては不名誉この上ない言葉です。

(事実なので仕方ありませんが…)

しかし、こう言われてみるとあらためて日本の歴史はすごいのだなと思います。

今の世界経済に当てはめれば、カンボジアが世界の頂点に立つ、というようなものですからね。


■2011年のアメリカも、デフォルト寸前だった?

「2011年のアメリカもデフォルト寸前だった」と聞くと、国債のことを知らない方はかなり驚くでしょう。

実際、当時もメディアで「リーマンショックを超える衝撃」というように語られていました。

本当にアメリカがデフォルトしたとしたら、世界大恐慌レベルで世界史に残ったことは間違いないです。

しかし、世界の投資家たちはこれを完全に「デマ」「茶番」と捉えていました。

事実、この騒ぎの中でもニューヨーク株式市場などは全然変化がありませんでした。

世界を代表するアメリカ人投資家のジム・ロジャーズも、最初から無視していたそうです。

この騒動についての詳細はこちら。↓
BLOGOS「アメリカの債務不履行【デフォルト】という茶番劇」

デフォルト危機の噂が流れても茶番のことがあり、逆に評判のいい国債(アイスランドなど)でもデフォルトすることがある。

という参考としていただけたらと思います。

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