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生命保険会社はおばちゃんパワーで国を買えるほどに大きくなった!?

女性パワー

日本の生命保険会社は世界有数の金融機関です。

元々はドメスティックな業界で、「相互会社」という特殊な法人形態でもありましたので、国際的な知名度はありませんでした。

それが、1980年代後半以降のバブルの時代に、ロンドンやニューヨークの金融市場で「The Seiho」(ザ・セイホ)と日本語で呼ばれるほどに注目されるようになったのです。

現在では、大国を一つ買えてしまうほどの総資産を有していますが、この巨大生保を育ててきたのは、「おばちゃん」パワーです。

生命保険といえば、「おばちゃん」をイメージする人は少なくないでしょう。最近では、男性の外務員も多くなり女性を席巻するほど活躍していますので、女性でなければ保険が売れないものでないことは明らかです。

しかし、長年にわたり、日本の生保の営業は女性によって支えられてきました。なぜ、女性ばかりだったのでしょうか? 長く生保業界に在籍した経験を持つ筆者が、おばちゃんの歴史の裏話に迫ります。

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戦争未亡人が「おばちゃん」文化の起源

生命保険を販売する女性たちは、「生保のおばちゃん」と呼ばれます。最大手の日本生命も、テレビCMなどで「ニッセイのおばちゃん」でイメージを売り込んでいます。

現在は、生保外務員には男性も数多くいますし、日生でも多数の男性が営業として活躍していますが、かつては、生保といえば「女性」と相場が決まっていました。男性外務員というのはあまり見かけなかったのです。

女性ばかりだったのには理由があります。第二次世界大戦終戦後に、戦死した人の妻たち、いわゆる戦争未亡人に職を与えるために、生命保険会社が積極的に採用したのがきっかけです。それを最初に始めたのは、第一生命でした。

おばちゃんパワーを作った人は、城山三郎の小説のモデル!

当時は中堅生保だった第一生命は、女性外務員部隊の営業で急成長し、日本生命に次ぐ生保第2位の規模にまで躍進しました。

この基礎を築いたのは、石坂泰三という人。第一生命の社長の他、東芝社長やアラビア石油の社長、経団連会長も務めた人です。

城山三郎の小説「もう、きみには頼まない―石坂泰三の世界」のモデルにもなりました。

石坂泰三の決断がなければ、日本に「生保のおばちゃん」文化が生まれることも、生保がこれほどまでに巨大に成長することもなかったのかも知れません。

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女性たちはしつこく頑張った!

元々女性が働く場所などあまりない時代のことですので、クリーンな仕事を求める未亡人たちにとっては、生保はかなり良い働き場所です。多くの未亡人が生保で働き始め、父親のいない子供たちのために必死で頑張りました。

就業経験もなく学歴もない女性たちが、高度な知識を駆使したり特別な話法を使ったりして販売できるはずはありません。地域の人間関係や親戚縁者の力を借りつつ、義理人情で売るしかなかったのです。

徐々に経済が回復する日本においては、こうした売り方でも売れたので、「しつこい」と揶揄(やゆ)されることもある販売方法が定着しました。

1960年代に入り、日本が高度成長期を迎えると、生保はどんどん契約高を増やしていきます。貨幣価値も上昇するため、サラリーマンの生保にかける支出もどんどん増えました。

数年おきに「転換」と呼ばれる方法で顧客に保険をバージョンアップさせ、保険料をアップさせます。

これは、おばちゃんたちが考え出した手法ではありません。生保のマネジメントサイドが考え付いて、外務員に指導したため定着したのもです。

こうした営業は大成功し、日本経済の成長スピードを大きく上回る早さで生保は規模を拡大していきました。

おばちゃんが作った世界最大の金融企業!

1980年代から90年代にかけて、日本の生保は欧米の金融マーケットで「The Seiho」(ザ・セイホ)と呼ばれ注目されるようになります。

大きくなりすぎた資産を国内だけでなく海外でも幅広く運用するようになり、その投資額が莫大だったためにマーケットに大きな影響力を持ち始めました。

日本生命や第一生命など日本の上位社は、世界レベルで見てもトップランクの規模に成長していたのです。こうして世界の金融を動かすほどになったザ・セイホの根本は、「おばちゃん」たちの力でした。

日生はカナダの国家予算を持っている!?

1970年代には、日本生命一社の総資産だけで、東京海上を始めとする日本の損保全社の総資産の合計を上回るほどの資金量を有するようになります。地道な契約活動で静かに大企業になっていたのです。

当時の日生は、わが国の国家予算の半分に近いほどの総資産を持つほどまでに大きくなりました。

現在の日本生命の総資産額は約55兆円ですが、これはカナダの国家予算に匹敵します。カナダはG8のメンバーであり、世界有数の大国です。その国の予算規模の資金を一保険会社が持っているわけです。

国内2位の第一生命の総資産は33兆円。ロシアの国家予算に匹敵する規模です。これだけのお金を、おばちゃんたちの力で集めたのですから、とてつもなくすごいことでしょう。

販売手法を批判されることもありますけれど、日本のひとつの業界を世界規模に発展させた功績は大きいでしょう。

近年は女性の社会進出が盛んになってきていますが、「生保のおばちゃん」は60年以上前から活躍していました。日本の女性労働市場の先駆者といっても良いのではないでしょうか。

最近では、男性外務員の活躍やネット販売、銀行の窓口販売など強力なライバルがつぎつぎと現れたため、「おばちゃん」の影響力は小さくなりました。

一種の日本独特の文化とも言える組織なので活躍が期待されますが、時代の流れだから仕方がないのでしょうか。

by 水の

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