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異彩を放つコンテンポラリーダンサー康本雅子の世界

2014.02.05

異彩を放つコンテンポラリーダンサー康本雅子の世界 はコメントを受け付けていません

ほとんどのダンサーは、小さいころからバレエやモダンダンスを習ってきた方が多いので、大人になるまでそうした経験のなかった人には、なることができない職業のように思えます。

日本のコンテンポラリーダンサーのなかには、ほぼ未経験にもかかわらず第一線で活躍するようになった康本雅子という踊り手がいます。

幼少からレッスンを受けずとも成功した彼女のダンスから、踊りの本質、観客を魅せるために欠かせないダンスの要素をみきわめ、これからのコンテンポラリー・ダンスになにが必要かを考えてみましょう。

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アフリカン・ダンスがベース?ハイ・カルチャーではない踊り

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画像を見てもらえれば分かるように、康本雅子というダンサーの踊りは人の動きに対する衝動を感じるような踊りであり、普通のダンスとは一味ちがいます。しかし、ベースとなる動きのない踊りというわけではありません。

彼女のダンスの基礎にあるのは、ヨーロッパの体系づけられたダンスとはことなる、ストリートやお祭りで行われているような踊りです。

都市部で芸術として磨かれたものではありません。放浪している時期に出会った民族衣装を着て行う祭事で披露する即興的な踊りや、セネガルに行って習ったアフリカン・ダンスが下地としてあるので、他のダンスとは一線を画したものになるのでしょう。

親しみやすくておかしさもあり?笑って楽しむダンス作品

上記のような背景を持つことが関係しているのか、彼女の踊りには日本の民話をイメージさせるようなテイストや、クラブで音楽にのって踊るような動きがたびたびみられます。

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画像をみて、きっと親しみやすさを感じたことでしょう。これはミュージシャンのオオルタイチさんと共演したときのものなのですが、終始笑いが絶えず、すみずみまで観客を楽しませる工夫がなされたすばらしい公演でした。

芸術性よりも人を楽しませること、多くの人に興味を持ってもらうことに重点をおいた作品づくりは、ダンス好きでなくてもそのおもしろさが伝わるというメリットがあります。

事実、そのポップなアプローチの魅力がアーティストたちからも評価されており、Mr.Childrenや一青窈などの有名ミュージシャンのPVでも振り付けの仕事を受けており、活躍の場はコンテンポラリー・ダンスの枠組みに収まりません。

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果たしてニッチなジャンルか?

アート色が強い作品がつくれないというわけでもなく、下の画像のように何人ものダンサーに、しっかりとしたコンテンポラリー・ダンスを振り付けることもしています。

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つまり康本雅子という人物は、コンテンポラリー・ダンスというジャンルが決してマニアックな一部の人々だけのものではない、もっと多くの方々が見に来るメジャーなものになる可能性を示しているといえるでしょう。

芸術性を強め過ぎるとダンスはすたれる!?前衛的な踊りの問題

もちろん、ダンスが一つの芸術としてあり続けるためには、つねに新しい動きや表現方法をとりいれ、マニアをうならせるような作品を発表する振付家も必要です。

しかし踊り好きにしか楽しめないようなものばかりでは、新しく興味を持つ人もいなくなり、そのうちだれも見に来なくなってしまいます。

現代芸術の多くに見られる傾向ですが、だれも見たことのないような美しさやおもしろさを求めるあまり、一般人にはとてもついていけないものになることが少なくありません。

そのせいでクラシックな作品の方が多くの人に受け入れられ、現代の新たなアーティストたちの作品が国からあまりサポートを受けられないという問題さえ引き起こしています。これでは新人の表現者も現れなくなり、技術も消えていく一方です。

分かりやすさも欠かせない!ポップになるため研究すべき動きとは?

芸術が衰退しないためにも、ポップで人を惹き付けるものが欠かせません。たとえばダンスの場合は、わかりやすい身体の美しさやクスリと笑えるようなコミカルな動き、観客を飽きさせない演出、すてきな音楽が必要でしょう。

バレエに代表されるような研ぎ澄まされた踊りはもちろんですが、すでにある技術以外にも、見ているだけでたのしくなるような動きはあります。

それは日常でのしぐさや、音楽にのってただ身体を揺らすだけの行為、おどろくような高いジャンプなどです。何気ない動きを芸術的に高めるのではなく、あくまでシンプルにわかりやすく洗練することで、きっと新たなダンスとして確立できるでしょう。

身近に感じる踊りを見れば、ダンスがもともと音にのって身体を動かすというストレートな感情表現の一つだったことをだれもが思い出すはずです。ポップさと芸術性のバランスがとれた作品づくりが行われるようになれば、きっと日本でも芸術が再び盛んになるでしょう。

康本雅子さんは幼少のころからダンス・レッスンを受けてきた、いわゆるダンス畑の人間ではなく、大人になってからアフリカン・ダンスなどをベースとした独自の振り付けを考案し、成功した珍しい踊り手です。

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彼女のポップで日本らしい味を持った振り付けを見ると、コンテンポラリー・ダンスは作品の作り方によって、多くの人に受け入れられる芸術として花開く可能性が感じられます。日本で芸術が衰退していかないためにも、シンプルなおもしろさやポップな動きといった、ダンス本来の魅力的な要素を忘れずに作品をつくることが欠かせないでしょう。

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