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「アリバイのA」のミステリー~女探偵キンジーの部屋は畳一枚分?

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アメリカの推理小説家スー・グラフトンは、80年代~90年代にかけて大人気となった作家です。

「アリバイのA」を始めとする女探偵キンジー・ミルホーンのシリーズは日本でも、多くのファンを獲得しました。

だいぶ前のことですが、私はこのシリーズを読んでいて、主人公キンジーがとても小さな部屋に暮らしていることに気がつきました。なんと、畳一枚ほどのスペースに暮らしていることになっていたのです! いくらなんでも、そんなところに寝泊まりできるはずがないので、何かがおかしい。真実を知りたいと、ジュンク堂まで足を運んで調べてみました。

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フィートで書いてあると、身長150センチでも巨人になる!?

はじめのうちはそのことに気が付きませんでした。主人公は、「1台分用のガレージを改造して作った」ワンルームのアパートに住んでいる、とあったので、普通のワンルームマンション程度の部屋だろうと想像していたからです。

日本の小説なら、「10畳一間」とか「30平方メートル」とかと、「畳」や「m」を使って表現してあるのですぐにイメージがわきます。アメリカの小説では「フィート」が使われているのでピンときません。

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例えば、「身長10フィートの大女」と言われてもどのくらい大きな人なのかすぐにはわかりませんし、「5フィートの巨人」と書いてあっても、「おかしい!」とは気がつきにくいものです。1フィートはおよそ30センチなので、5フィートなら150センチちょっと。「巨人」ではありません。

ちなみに「1フィート」(単数なので正確には「1フット」です)の長さは、イングランド王のヘンリー1世の足の大きさを基準にしたという説があります。足が30センチ以上もあるとは、よほどの大男だったのでしょう。「足(フット,フィート)のサイズだから30センチ」と覚えておくと、5フィートは「靴5足分」と想像できるので便利です。

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15平方フィートは畳一枚より狭い!?

物語の中では女探偵キンジーはガレージを改造したアパートに住んでいますが、その広さは15平方フィートとあります。

これは例えば、縦3フィート×横5フィートの広さです。センチに直すと、90センチ×150センチの広さ。畳一枚が90センチ×180センチですのでこれよりも狭いことになってしまいます。

「えー!そんな狭い部屋に住んでたのかー」と、一瞬は感心しました。しかし考えてみると、そんなバカなことかあるはずがありません。

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一畳の部屋なのにバストイレ付き!?

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キンジーはその部屋について、「居間、寝室、キッチン、浴室、クローゼット、洗濯室が、コンパクトにおさまっている」と言っています。さらに、「組み合わせ式の冷蔵庫、流し、小型料理用レンジ。人形ほどの大きさの食器が積み重なっている自動食器洗い兼乾燥機。ソファーベッド、ときたまダイニングテーブルにもなるデスク」まであるというのです。

わずか畳一枚の部屋に、居間も寝室もキッチンや浴室まであるなど考えられません。おまけに、そこに冷蔵庫やレンジまであるのです。それまで普通の物語だと思っていましたが、実は小人の話だったのでしょうか?

真実を確かめるため、ジュンク堂に!

こんな奇妙なことがあるはずがないので誤訳だろうと考えました。シリーズは、「アリバイのA」、「泥棒のB」、「死体のC」……と続いていますが、どれを読んでも「15平方フィート」は変わりません。

もし誤訳だとすれば、翻訳者がずっと気づいていないことになります。それで、原書を読んで確かめてみようと考えました。

アジア最大といわれる池袋のジュンク堂なら洋書もたくさん置いてあるので、「たぶんあるだろう」と立ち寄ることに。何と言っても、巨大なビルの上から下まで本ばかりのお店です。ここに無ければ日本には、いえ、アジアには存在しないでしょう。

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探してみると、やはりありました! さすが、ジュンク堂さんです。目指すページを見つけると、そこには「15 feet square」とあります。英語が得意ではない私には、何となく「15平方フィート」と書いてあるように思えます。

15 feet square と 15 square feet の違いとは?

しかし、「feet square」が「平方フィート」という意味なのかどうか確信が持てません。せっかくジュンク堂に来たので、辞書も立ち読みをしてみましょう、ということで調べてみました。というか、ジュンク堂さんの場合、「立ち読み用のイス」があるので、座って読ませていただきましたが……。それでようやくわかりました。

一般に、「平方フィート」は「square feet」というのだそうです。ですので「15 square feet」と書いてあれば「15平方フィート」なのですが、「square」と「feet」を逆にして「15 feet square」になると意味が変わります。「15フィート四方」になるのです。

「15 feet square」は、15フィート×15フィートの広さ、225平方フィートのことでした。およそ4.5メートル×4.5メートルですので、20.25平方メートルです。だいたい12畳半ほどの広さ。これでようやく、ホッとできました。主人公は小人ではありませんでした。

新しいものでは、直っていました!

最近、本屋で「アリバイのA」を見つけて立ち読みしてみましたら、新しい本では当該部分が「15フィート四方」と直されていました。キンジーが広い部屋に住めるようになって良かったです。

ただ、物語ではそのあと、この部屋は爆発で吹き飛ばされてしまいましたけれども。

By 水の

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