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天津飯・天津甘栗は中国にはない?名前の由来と、本当の天津名物

2013.12.10

天津飯・天津甘栗は中国にはない?名前の由来と、本当の天津名物 はコメントを受け付けていません

日本人の間で有名な天津名物といえば、やはり「天津飯」と「天津甘栗」でしょう。

しかし、実はこれらはどちらも天津にはありません。
(日本人の要望により、販売しているということはありますが)

ここでは、これらの「天津名物」が日本で定着した理由&由来と、実際に私が天津で生活して感じた、これらの「名物」の扱いについて書きます。

「天津飯」の名前の由来

これには3つの説があります。

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■天津の輸入米説

昭和には、現在の天津飯に近いものが登場していました。
ただ、これは贅沢品であり、そのクオリティをさらに高めるために、お米も天津産の良質なお米を使っていました。
それが由来という説です。

■八重洲「来々軒」説

「来々軒」は明治の終わりに浅草で開業した、歴史のある中華料理店です。
そのお店が戦後のある日、お客からの「何でもいいから早く食べられるものを」という要望に応えて、ご飯の上にかに玉を乗せて提供しました。

その時、その調理師が料理の名前を「天津飯」と告げたことが理由、という説です。

■大阪「大正軒」説

「大正軒」は、名前通り大正時代に大阪で開業した中華料理店です。
このお店が戦後に今の天津飯のような料理を出し「天津飯」と呼んでいたことから、という理由です。

ここで「天津」という名前をつけたのは、天津料理の食習慣に「ご飯の上に具を載せる」というものがあったからです。

「天津甘栗」の名前の由来

これははっきりとわかっており、東京の浅草で1910年、中国人の李金章が甘栗屋を開いたからです。
この時、中国の各地から甘栗を輸入していましたが、その中でも天津のものが特に多かったため、「天津甘栗」と呼ぶようになった、という由来です。

こう書くと「天津は栗の産地」と思われるかも知れませんが、天津は港町であり、栗がたくさん採れる山などはありません。
天津の港は、当時の中国の輸出の中心地だったため、天津から来る栗が多かったということです。

実際の天津での扱いは?

■天津飯の場合

先にも書いた通り、天津(に限らず中国の各地)には、「ご飯の上に具を乗せる」という料理のスタイルがあります。
これは日本でいう「親子丼」などと全く同じなので、ごくごく自然なことと言えるでしょう。

そのため、天津飯に似たものは、あちこちで見られます。
ただ、名前はそれぞれ全く違ったものになっており、「こういう食材をこういう風に料理した」という説明のようなメニュー名(漢字8文字くらい)になっています。

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ただ、日本に「天津飯」が広まっていることをしっていて、日本人客へのウケを意識しているお店の場合、「天津飯」という名前を使っていることもあります。
中身は日本の天津飯同様、かに玉を乗せていることもあれば、全く違う料理であることもあります。

基本的に中国の人々は、「これをやると上手くいくらしい」と聞くと、リスクとかプライドとか細かいことを考えずに、すぐに導入する習慣があります(これはもちろん、いい意味で言っています)。
そのため、「これのどこが天津飯?」と思うようなメニューにも、天津飯という名前がついていることもあります。

■天津甘栗の場合

「天津甘栗」の存在は知らない中国人が多いですが、甘栗自体は皆大好きでよく食べています。
スーパーでも甘栗のお菓子が量り売りで売られています。
味や見た目も全て日本の天津甘栗と同じです。

特に観光客が多い場所では、日本人に「天津甘栗」が売れることが知られているので、屋台でも日本のものとほとんど同じデザインのパッケージで、甘栗を売っていることが多いです。
その場で加熱調理(保温しているだけかも?)をしている屋台も見ましたが、とてもいい香りでした。

土産物として持ち帰ることができる天津甘栗も多く売られています。
これらは保存も効きますし、天津から日本の空港までは3時間ちょっとなので、おみやげにもおすすめです。

(自分が天津にいた2008年頃は、粉ミルクの食中毒事件などが多発しており「中国土産の食べ物」と言ったら誰も食べたがらない雰囲気でしたが、今なら大丈夫だと思います)

実際の天津名物の料理は?

日本人が作ったのではない、本物の天津名物の料理といえば、筆頭に上がるのが「狗不理包子(ゴーブリバオズ)です。
これは簡単に言うと「肉まん」です。
日本の肉まんよりも皮に弾力があり、肉汁が多いのが特徴です。
(お店によっても多少違いがありますが)

「狗不理」というのは「犬も食べない」という意味で、元祖となったお店の店主が「狗子(犬)」という名前だったから、と言われています。
(人間に「犬」という名前をつけていたのは、こうした名前をつけておけば、子供が悪霊の被害を受けない、という信仰があったからです)

狗不理包子に限らず、中国の中華まんはほとんどの地域で、日本人の味覚にジャストフィットし、文句なしに美味しいです。
物価は地域によって多少差がありますが、2008年の天津では、日本の100円サイズのもので20円や30円など、破格の安さで売られていました。

日本人用に用意された「名物」は「日本人価格」がつけられていることが多いので、こうした「元からある名物」を、「そこら辺の普通のお店」で食べるのが、一番美味しく、安く中国旅行を楽しむポイントだと言えます。

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