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抗生物質やステロイドは体に悪いから使わないほうがいいって本当?

2014.04.07

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病院でよく処方される、抗生物質やステロイド剤。

最近では「自然派」の風潮が高まっているためか、「体に悪いから、使いたくない」と思う人も多いようです。

確かに抗生物質やステロイドは、必要もないのにむやみに使用することはおすすめできません。しかし症状によっては、きちんと使うことも大切なのです。

抗生物質を使うべき症状とは?

抗生物質は、その名の通り「生物に対抗する」薬です。基本的には、細菌や真菌(カビ)に対抗する「抗菌薬」を示しますが、広義には抗ウイルス薬や抗ガン剤なども含まれます。

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よく病院で処方を受ける抗生物質には、「クラビット」や「ジフロマック」「フロモックス」などがあります。化学構造の違いから「マクロライド系」や「テトラサイクリン系」などいくつかの種類に分かれ、それぞれ得意とする細菌の種類が異なります。

世界で最初に開発された抗生物質は、「ペニシリン」です。ペニシリンの登場によって、第二次世界大戦中に傷を負った多くの兵士たちが、感染症から救われました。
またその後に開発された「ストレプトマイシン」という抗生物質で、死に至る病だった結核に打ち勝てるようにもなりました。

他にもコレラや赤痢などの細菌性の病気で命を落とす人が、昔は非常に多かったのですが、抗生物質の登場で人はさまざまな感染症から救われ、結果的に平均寿命も延ばすことにつながったのです。

ですから抗生物質は、細菌性の病気には非常に効果を発揮します。たとえば肺炎や、腎盂腎炎、性感染症、副鼻腔炎や中耳炎、結膜炎など、細菌によって炎症を起こした状態にはよく効きます。
また真菌に作用する「抗真菌薬」は、カンジダや水虫などに効果的です。

ですから細菌や真菌が原因で悪化している病気に対しては、抗生物質を適切に使う必要があります。特に子どもや高齢者などは、症状を放置すると命の危険に及ぶ症状もありますから、医師の指示にしたがってきちんと使うことが大切です。

抗生物質は、むやみに使わない!使う時はしっかり使う!

そんな「人類の救世主」ともいえる抗生物質が、なぜ「悪者」扱いされるようになったかというと、それは「日本での濫用」と「副作用」が原因だと思われます。

前述したとおり、抗生物質は細菌に効く薬ですので、ウイルスを死滅させることはできません。しかし実際はウイルスによる「風邪」にも処方されることが多く、特に子どもを持つお母さんたちは「飲ませる必要があるのだろうか」と悩んでしまうようです。
ちなみにこれは、世界の中でも日本だけに見られる現象だといわれています。

医師としては、「風邪で抵抗力が弱まった体は細菌が侵入しやすいため、二次感染を防ぐ」という目的で抗生物質を処方することがほとんどです。

しかし近年の研究によれば、抗生物質に予防の効果はないとする報告が多く、「日本は抗生物質を出し過ぎだ」として海外からも批判されています。

それでも「念のために」抗生物質を飲んで、特に害がなければまだいいのですが、抗生物質には「いい細菌まで殺してしまう」という残念な副作用があります。特に腸内の善玉菌に作用してしまうため、抗生物質を飲み続けるとお腹を壊す人もいるのです。

ですから「ただの風邪程度で、むやみに抗生物質を使いたくない」と思う人がいるのは当然であり、またそうあるべきだといえます。

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しかも抗生物質にはもう1つ、「耐性菌」という大きな問題があります。抗生物質を長期にわたって使い続けると、細菌のほうが耐性を身につけてしまい、薬が効かなくなってしまう問題です。
実際、「とびひ」などは耐性菌がすっかり広まってしまい、抗生物質が効かないケースが急増しています。

ですから抗生物質の使い方としては、基本的にダラダラと飲み続けず、「短期間でしっかり飲み、早く治す」ことが重要です。飲んだり飲まなかったりと中途半端に使ったり、予防目的などで漫然と使ったりするのは耐性菌を増やすことにつながりますので、「必要に応じて数日間しっかりと使う」ことを心がけましょう。

ステロイドで副作用リスクが高いのは「飲み薬」

抗生物質と並んで、自然派の人々に目の敵にされがちな薬が「ステロイド剤」です。皮膚の疾患に使われる外用薬のイメージが強いと思いますが、実際は飲み薬や吸入薬などもあり、ぜんそくの治療などにも用いられています。

ステロイドの働きは「炎症を抑える」ことです。しかし敬遠されがちなのは、副作用が強いものがあるからです。

もともとステロイドには、炎症を抑えるほか、体の異常な免疫機能を抑制することでアレルギー反応を抑えるという作用もあります。

しかし特に飲み薬のステロイド剤は、長く使うことで免疫が過剰に抑制されてしまい、外部からの異物を排除できず感染症にかかりやすくなってしまうことがあるのです。

またステロイド剤の成分である「糖質コルチコイド」が過剰になると、「クッシング症候群」や「糖尿病」にかかりやすくなるほか、「骨粗しょう症」や「消化性潰瘍」にもつながります。
こうした副作用のイメージから「ステロイドは怖い」と思われているのです。

ただし皮膚疾患に使う塗り薬や、ぜんそく治療に使われる吸入薬の場合は、局所的に作用しますので、全身の副作用の心配はほとんどありません。むしろ皮膚の強いかゆみや炎症は、精神的苦痛も大きいものですので、医師の指示にしたがって適切にステロイド剤を使い、症状が緩和したら使用を中止することが大切です。

ぜんそく治療においても、気道の炎症を抑えるためにステロイド吸入をすることは、発作をコントロールするために必須だといえます。

つまり抗生物質と同様、ステロイドも「短期間でしっかりと」使い、むやみにダラダラと使い続けないことが大切なのです。

そもそもどんな薬にも、多かれ少なかれ副作用はあります。重要なのは「メリットとデメリットを天秤にかけ、メリットのほうが大きいと判断した場合は、一定期間きちんと使って早く症状を良くする」ことです。

「体に良くなさそうだから…」と中途半端に使うことが、一番よくありません。必要な時にはきちんと使い、使用期間を長引かせないようにしてください。

By叶恵美

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