食べ物の都市伝説を検証~コーラは骨を溶かす?海藻で髪がフサフサ?
「卵は高コレステロールだから、1日1個まで」「コゲには発がん性物質があるから食べちゃダメ」…昔からよく聞かされてきた、食べ物に関するさまざまな都市伝説的な警告。しかしその中には、意外に根拠の薄いものもたくさんあります。
正しい知識を得た上で、なるべくバランスのいい食生活を送りましょう。
「卵は1日1個まで」→健康な人ならもう少し食べても大丈夫
生活習慣病が蔓延する今、卵はコレステロール量が多い食品として危険視されています。確かに食べ過ぎは良くありませんが、健康な人であれば厳密に「1日1個」を守る必要はないようです。
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実は「卵が健康に良くない」といわれるようになったきっかけは、およそ100年も前にロシアでおこなわれた実験にさかのぼることができます。ウサギに卵をはじめとする動物性食品を大量に与えたところ、血中コレステロール値の異常な上昇が認められたのです。
ただし、これはウサギが草食動物であることと関係しています。草食動物はコレステロールを体内に蓄積しやすいため、雑食である人間にそのまま当てはめることはできません。
確かに卵には、1個につきおよそ220mgのコレステロールが含まれています。1日のコレステロール摂取量の目安は、成人男性で750mg未満、女性で600mg未満ですから、既に血中コレステロール値の高い人は、やはり1日1個にとどめたほうが安全でしょう。
しかしそうでない人なら、全体のバランスをとりつつ卵料理を楽しむ日があっても問題ありません。
もともと卵は、ヒトが体内では作り出せない必須アミノ酸のほか、ビタミンAやB群、各種ミネラルやDHAなどをバランスよく含む食品です。ですからよほどバランスの悪い食生活をしない限り、卵を食べることに問題はないと思われます。
「コゲを食べるとガンになる」→普通の食事程度なら大丈夫
食べ物のコゲは、見た目にも味にも「体に良くない」イメージが強いものです。しかしちょっとコゲた部分を食べたくらいで発がんする可能性はありませんので、安心しましょう。
確かに肉や魚のコゲには、微量ながら発がん性物質が含まれていることは事実です。これは肉や魚に含まれるアミノ酸「トリプトファン」がコゲる時に、発がんリスクのある「ヘテロサイクリックアミン」に変わることが原因とされています。
ただし実際に発がんするためには、1日1トン以上のコゲを食べる必要があるといわれていますので、通常の食事でとる限りは問題ありません。ちなみに野菜や炭水化物のコゲには、発がん性物質は含まれていないため安心です。
「お酒の前に牛乳を飲むと二日酔い防止になる」→少しマシになる程度?
牛乳は胃に膜を張るため、お酒の前に飲むとアルコールの吸収が抑えられるという話を聞いたことのある人は多いと思います。しかしこれは誤りです。
というのもアルコールの分子はごく小さいため、牛乳の膜を通過してしまうからです。
ただし牛乳に含まれる良質の動物性タンパク質やビタミンCなどには、肝臓を助ける働きがあります。ですからアルコールの吸収を抑えることはできなくても、肝臓での分解をスピーディにする作用は少なからずあるものと考えられています。
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もっとも、胃に入っているものは牛乳でなくてもかまいません。おつまみとして「高タンパク・高ビタミン」のものを選んでも同じ効果が得られます。
植物性タンパク質の豊富な豆腐を使った料理や、枝豆、刺身などがおすすめです。
「コーラは歯や骨を溶かす」→コーラに限らず糖分が危ない
子どもの頃からコーラの危険性について親に言われてきた人は多いと思います。これはコーラに含まれる「リン酸」という酸味料に、カルシウムを溶かす作用があるからでしょう。
実際、抜けた歯をコーラの中に長時間浸けておくと、酸に溶ける性質のあるカルシウムやマグネシウムが溶け出してしまいます。
ただし私たちの口内には唾液があるため、コーラを飲んでも酸性にかたよらず中和されているのです。もちろん飲み物であるコーラが骨に直接触れることはありません。
ですから「リン酸によって歯や骨が溶ける」という心配はないのですが、それ以上に問題なのが糖分です。コーラ1缶には、およそ40グラム(小さじ8杯分)の砂糖が入っていますので、飲み過ぎが良くないことは明白です。もちろんコーラに限らず、糖分の含まれるすべての清涼飲料水に同じことがいえます。
ちなみに最近では、糖分ゼロを実現したコーラも各社から出ています。確かにブドウ糖などは含まれておらず、代わりに「アスパルテーム」をはじめとする人工甘味料が使われています。
これによってカロリーもゼロに抑えられているのですが、人工甘味料にも内臓や生殖機能などに影響を与えるという報告が多数出ていますので、何にせよ飲み過ぎは控える必要があるでしょう。
「海藻を食べると髪がフサフサになる」→残念ながら根拠なし
昔から「ワカメや昆布は髪を豊かにする」と言われてきましたが、結論から言いますと、科学的な根拠は認められていません。
もちろん海藻はミネラルが豊富で健康にいい食品ですから、髪に悪いということもできません。ただし増毛効果のようなものは確認されていませんし、おそらく「黒々とした海藻=豊かな黒髪」という連想から言われるようになったのではないか、と考えられています。
ちなみにワカメや昆布の食べ過ぎは、「ヨード」の過剰摂取につながるため注意しましょう。ヨード(ヨウ素)は甲状腺ホルモンの原料ですので、適度に摂取することは大切なのですが、とりすぎると甲状腺の肥大などにつながる恐れがあります。
特に日本は海藻類の摂取量が多い国ですから、むしろ食べ過ぎに気をつけたほうがいいくらいなのです。
By 叶恵美
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