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便器がいまだに陶器で作られている理由~重くて割れやすいのになぜ?

2014.05.12

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私たちが一日も欠かさず使用している便器は、そのほとんどが陶器製です。便器は日々進化しており、便は流れやすく、掃除も簡単に済むよう工夫され続けています。

特に、シャワー機能については先進的であり、海外からは驚きの目を向けられることも少なくありません。日本人からみても、最新のトイレのボタンの多さには、うんざりしてしまいます。

しかし、その便器の材質は、数百年も前から存在している、土を固め高温で焼き上げた「陶器」です。なぜ非常に重く、また割れ物でもある陶器がいまだに使われているのでしょう?

便器に求められる条件とは?

便器に使用される材質を選ぶ際には、大まかに言えば「丈夫・清潔・加工のしやすさ」と、三点ほどの条件があります。

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トイレの仕組み

まずは丈夫であることです。人が座るので当然といえば当然ですが、支えなければならない体重は、多ければ100キロを超えることもあります。

また、一度据え付けられた便器は、数十年は続けて使われることになるため、時間経過に対する丈夫さも必要です。すり減ったり、腐食したりしないことが求められます。

次に、清潔に使えることです。水を吸いやすい材質であれば、水と一緒に菌を取り込んでしまい、非常に不潔です。はっ水性が高く、掃除も簡単であることが重要です。

最後に、加工が簡単なことです。水流で効率よく便を流しつつも、下水側の嫌な臭いを、生活空間から遮断するために、便器は複雑な形をしています。

コストを抑えつつ、複雑な構造を実現できる材質である必要がありますが、陶器ならば、鋳型に素材を流し込むだけで作ることができるので、理想的と言えます。

これらの条件をすべて備えた陶器は「衛生陶器」と呼ばれ、便器だけでなく、浴槽や洗面台などにも使用されます。

便器の材質に使われた陶器は、現実的にこれらの問題をすべてクリアする、理想的な材質でもあるのです。

鉄やプラスチックのトイレは出番なし!?

トイレの便器は陶器しかない、といえばそうではなく、以前より少数ながらあります。バスや飛行機などのトイレ、仮設トイレなどには陶器が使用されないケースもあります。

プラスチックのトイレ

陶器の代わりに使用できる素材としては、ホーローやステンレスなどの金属を使用したものや、プラスチックなどがあります。外出先などで遭遇した覚えが、あなたにもあるかもしれません。

これらの代替の素材を利用することで、重量を抑えることができます。また、陶器は焼き物であるため、どうしても個体差が発生してしまいます。

仮設トイレなどの決まった規格に納めるには、向かないという一面もあるようです。

本当に陶器でなければダメなのか? トイレの革命「アラウーノ」

ここまで見たとおり、陶器はトイレの材質として、いくつかの問題を抱えながらも、非常に優秀と言えます。そのため、家庭据え付けのトイレと言えば、陶器製が当たり前でした。

トイレ市場は、あなたもご存知の「TOTO」「INAX」の陶器製トイレにより、ほぼ二分されているような状態が長年続いていたのです。

そんなトイレ業界において、陶器ではないまったく別の便器を引っ提げ、たった数年でシェア30パーセントを獲得し、今も市場を大きく塗り替えているのが、あのパナソニックです。

アラウーノ

パナソニックは樹脂製のトイレを、家庭用トイレとして持ち込んだのです。

「アラウーノ」は瞬く間に人気となり、それまでのメーカーができなかった、陶器製以外のトイレを、世間に広く浸透させることに成功したのです。

樹脂製であることから重量が軽く、設置工事の手間が省けます。(業者にしか関係のないことですが)また、陶器のようにひび割れすることはありません。

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アラウーノの販売が大きく躍進した理由としては「主婦をトイレ掃除から開放した」点が挙げられるようです。

一般的な電化製品と同様に、精密な寸法で形成できるため、全体的に見て余分な隙間がないのです。

これにより、通常であればホコリのすみかとなってしまう、便座と便器の隙間がピッタリ閉じられ、ホコリが溜まりづらいという利点をもたらしました。

その他、市販の食器洗い洗剤が使用可能で、便器そのものを自動で洗浄する機能を搭載しているため、アラウーノを使用した場合、トイレの掃除はたった数ヶ月に一度で良いのです。

プラスチックなので、トイレの材質として必要条件をクリアできるのか? という心配もあるかもしれませんが、プラスチックと一言にいってもその種類は豊富であり、技術の進歩と共に、さまざまな性質をもった素材が日々生まれています。

トイレの材質としての性能は、充分といえます。

老舗便器メーカーが陶器を手放せない理由

TOTOやINAXなどの、老舗のトイレ製造会社は、パナソニックにそのままシェアを奪われ続けるしかないのでしょうか? 

同様に、樹脂製トイレへシフトチェンジすればいいようにも思いますが、実際にはそう簡単ではないようです。

陶器の材料

樹脂へ切り替えるということは、陶器製のトイレを作るための大規模なラインや、多くの熟練工を手放すことになってしまうのです。

しかし、水回りにおいての技術ではやはり抜きん出ているのも事実です。

陶器製ではありながらも、樹脂同様に清潔さを保てる加工が施されたり、デザインや節水面にて売り込み、シェアを保っています。

今は、トイレの選択肢が非常に豊富です。新築やリフォームなどを行う場合には、トイレ一つに悩まされることでしょう。

byヒビタカ

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