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「膀胱がん」は喫煙する男性が最もかかりやすいって本当ですか?

2014.03.25

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「膀胱がん」は、がんの中でもあまり耳慣れないものの1つかもしれません。

最近では「アンパンマン」の作者やなせたかしさんや、声優の内海賢二さんが亡くなった原因となったがんです。

このがんは男女比が大きく、男性は女性の3倍も罹患しやすいという特徴があります。特に喫煙習慣のある人はリスクが高くなりますので要注意です。

膀胱がんのリスクファクターは「喫煙」!

膀胱がんは、膀胱に発生する悪性腫瘍です。現在、国内にはおよそ2万人の患者がいると推測されています。

部位別がんの中ではまだ多いほうではありませんが、社会の高齢化にともなって徐々に増えており、今後気をつけたいがんの1つです。

年齢としては50歳ごろからリスクが上がり、もっとも好発するのは60代以上になります。

往年のスター、松田優作さんのように30代という若さで発症する人も稀にいますが、一般的に40代以下でかかる人は少ないがんです。

膀胱がんは男女比が3:1と、性差のあるがんとしても知られます。

よく見られる「膀胱炎」の場合は、尿道が短く細菌が侵入しやすい女性のほうがかかりやすいのですが、膀胱がんはなぜか圧倒的に男性に多く発症します。

その一因として考えられるのが、喫煙率の高さです。

膀胱がんの原因はまだ特定されていないものの、今のところタバコがもっとも重大なリスクファクターと位置づけられています。

喫煙者が膀胱がんにかかる確率は、非喫煙者の2~4倍とのデータもあるほどです。

その他、特定の化学物質との関連性も指摘されています。

特に染料に多く含まれる「芳香族アミン」という物質に発がん性が認められているため、印刷業や塗装業、機械業のほか、毛染めを扱う美容師や理容師もややリスクが上がるといわれています。

ただし現在の日本では、芳香族アミンに関する法規制が確立されているため、膀胱がんとの因果関係ははっきりと分かっていません。

早期発見できれば、治る可能性が高い

ただし膀胱がんは、がんの中でも生存率が高く、予後がいいほうに分類されます。

その理由の1つは、「初期症状が出やすいこと」です。

膀胱がんを発症した多くの患者さんが、明らかな血尿を認めます。

誰でも尿に血が混じっているのを目撃すればびっくりしますから、早期に受診しやすいといえるでしょう。

しかし人によっては薄いピンク色にしかならなかったり、もしくは古い血が出てきた場合はコーヒーのような黒褐色になったりすることもあります。

ですから50歳を過ぎたら普段から尿の色をなるべくチェックし、いつもと変化がある場合には病気の可能性を疑うことが大切です。

さらに気をつけたいのが、膀胱がんの血尿は数週間のうちに収まってしまう場合もあるということです。そして忘れかけたころに再び出てきます。

早期発見のためにも、1度でも血尿が見られた場合は念のため受診しましょう。

もう1つ、膀胱がんの予後がいい理由として「悪性度の低さ」も挙げられます。

膀胱がんでは、膀胱の粘膜の中にとどまる「表在性がん」が7割を占めています。

表在性がんはリンパ節や他の臓器に転移しにくいため、命に影響を与えることは非常にまれです。

ただし残り3割は、どんどん進行していく「浸潤性がん」もしくは「上皮内がん」ですので、油断はできません。

膀胱がんの検査と治療法

膀胱がんの検査としてもっとも有効なのは、膀胱鏡検査です。

細いファイバースコープを尿道から挿入し、カメラで膀胱の内側から観察しますので、小さな病変でもすぐに見つけることができます。

その他、初期検査として尿検査や尿細胞診もよくおこなわれています。

尿細胞診は、尿中に混じったがん細胞を発見するための検査ですが、陽性率は70パーセントです。

特に表在性がんでは陰性を示すことが多いといわれています。

治療法は、膀胱がんのタイプによっても異なりますが、悪性度の低い表在性がんを早期発見できた場合は、膀胱鏡についた電気メスで腫瘍を焼き取ることが可能です。

開腹しないため、患者さんの負担も非常に軽く済みます。

ただし浸潤性がんの場合は、基本的に開腹して、膀胱の全摘出手術を受けます。

その際、がん細胞を確実に取りきるために前立腺や精のう、女性なら子宮も一緒に摘出することが一般的です。

男性の場合、術後は射精ができなくなるほか、手術によって神経を損傷した場合はED(勃起不全)になるケースもあります。

その他、補助的に放射線療法や抗がん剤治療もおこなわれます。

また再発予防のため、膀胱内にBCG(毒を弱めた結核菌)を注入する治療法もあります。

予防・早期発見するためには?

膀胱がんを予防するためには、何といっても禁煙が第一です。

特に「毎日の喫煙本数×喫煙年数」で表される喫煙指数が高い人ほどリスクが上昇しますので、何歳からでも禁煙するに越したことはありません。

また国立がんセンターの調査によると、禁煙して10年以上経過したグループの膀胱がんリスクは、もともとタバコを吸わないグループとほとんど差がないことも分かっています。

これは喫煙者にとっては救いとなる話です。

残念ながら今のところ膀胱がんの検診は、まだ国内に広まっていません。

ただし通常の尿検査を定期的に受けるようにすれば、潜血を発見することはできますので、まずは健康診断を受けることが重要です。

そして喫煙習慣のある50代以上の男性は特に、人間ドックのオプション検査などでより詳しく調べると安心でしょう。

また尿検査や尿細胞診を自宅でできる検査キットも販売されていますので、忙しい人は活用するのも1つの方法です。

By 叶恵美

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