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ヒップホップ文化のサイファーとは? 輪になってアドリブでラップ!

ヒップホップには「サイファー」という文化があります。

これは「みんなで輪になって即興でラップをする」というものです。

私は7~8年前、これを名古屋で盛んにやっていましたが、その経験も交えながら、サイファーについて解説します。

サイファーの名前の由来は?

これはアラビア語で「ゼロ」という意味です。

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ゼロは輪っかなので、「みんなで輪になっている」という姿を、ゼロに見立てたんですね。

(ゼロからアドリブで音楽を生み出す、という意味もあるとかないとか。これは後付けっぽいですが。笑)

なぜアメリカで生まれた文化にアラビア語が使われているのかはわかりません。

しかし、人種のサラダボウルのアメリカなので、サイファーを始めたメンバーの中にアラブ系の移民がいて、それで「これをサイファーと呼ぼうぜ、兄弟」みたいなことを言ったのではないかと思います。

ヒューマンビートボックスの伴奏がメイン

ラップには伴奏が必要ですが、ヒューマンビートボックス(HBB)を使うことが多いです。HBBはいわゆる「ボイスパーカッション」の進化版です。

ボイパはドラム音しか出しませんが、HBBはベース、スクラッチ、トランペットなどいろいろな音を出します。

(うまい人はトランペットも本物並の音質、音域で演奏します)


■HBBだったら、警備員がうるさくない

サイファーでHBBが使われる理由は、発生したアメリカでは「ラジカセすら買えない」という貧困層が多かったからです。

しかし、日本の場合は音響機器を持ち歩くのが面倒くさい、というのもあるのですが「警備員に注意されない」というのも理由です。

というのは、音響機器を使ってやっていると、どんな場所でも大抵ルール違反になってしまうんですね。

「器材を持ってきている時点で、音楽やる気満々だっただろ」と判断されるわけです。

しかしこれが「人間の口」なら、形式的には「集まって会話してたら、何かテンション上がって、こんな状態になってます」という主張も一応許されるわけなんですね。

もちろん、誰が見てもそうじゃないですが、形式だけでもそう言えるということで、取り締まりが少しゆるくなるんです。

音響機器を持っていたら一瞬で注意されるところが、2時間くらいはやらせてもらえたりします。

(「そろそろいいかな」という感じで、警備員さんがやって来ます。笑)

その他の理由としては「HBBの方がテンションが上がる」ということですね。ラジカセで音楽をかけるだけなら誰でもできますが、HBBができる人間は限られているので。

そういうメンバーがいるというだけでも本格的なヒップホップの雰囲気になりますし、周りから見ていても「すげー、口でやってる」と思われた方が、評価も高くなるし…、というわけで全体的にHBBの方がいいのです。

即興のラップとはどういうもの?

即興のラップは、「フリースタイルラップ」と呼ばれます。ラッパーたちは「フリスタ」と呼ぶことが多いです。

フリスタは、言う内容は何でもいいです。何でもいいので、それをビートに乗りながら「韻を踏む」という条件でやります。


■韻を踏むとは?

これは、「語尾の単語の母音を揃える」というものです。たとえば「ムササビ」「付加価値」「むらさき」はどれも韻を踏んでいます。

全部「うああい」の音だからです。

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これをラップの歌詞にすると、こうなります(少し強引ですが。笑)

「俺らの言葉のレアな付加価値  まるで、むらさき色のムササビ

韻を踏む場所は語尾が基本ですが、このように途中で追加してもかまいません。
また、語尾で踏んだあと、次の行の冒頭でもまた踏む、といパターンも多いです。

(語尾で踏むのを「脚韻」、語頭で踏むのを「頭韻」と言います。
これはラップ用語ではなく、文学用語です。韻を踏む詩は、昔からいろんな国にあったのです)

お金をかけてラップバトルをすることも

盛り上がってくると、フリスタで会話するのをやめて、バトルをすることもありました。
ラップバトルは、言葉どおりケンカをラップでやるものです。

これも韻を踏めば踏むほどいいのですが、特に「相手が踏んだ韻」を使って返すと高評価です。
06年、日本で最大のラップバトル「ULTIMATE MC BATTLE」を制したFORKさん(from ICE BAHN)というラッパーがいるのですが、彼が過去に返した技で、こんなのがありました。

相手のラッパーさんが「お前はパラッパラッパー」という内容のことを言ったのですが、それに対して

『パラッパラッパー』?俺は『原っぱばっか』行って草吸ってるけど悪いか?

と返したものです。(「草」というのは合法ドラッグの隠語です。笑)
この韻は「7文字」ですが、5文字を超える韻というのは、アドリブでなくしっかり考えた歌詞でも難しいです。
それをアドリブで、しかも相手の技に返して7文字ですから、この韻踏みは本当にすごいのです。
(ラップが好きな人ならこの凄さがよくわかるはずです。会場もメチャメチャ盛り上がっていました)


…と、このようなバトルも入れながらサイファーはどんどん過熱していきます。
後にみんな就職したり引っ越したりして今はやっていませんが、当時の記憶は今でもいい思い出です。

今は仕事が楽しいので戻りたいとか思うことはないですが、町中でやっているところを偶然見かけたら、飛び入り参加したいなと思ってます(笑)。
自分達も、飛び入り参加してもらえると嬉しかったので。

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