愛媛の方言〜夏目漱石の坊ちゃんで有名な言葉
愛媛の方言とは、四国の北西部から北中部に位置する愛媛県で使用されている言葉で、別名で伊予弁とも呼ばれています。
この伊予弁について全国的に知られるきっかけとなったのは、夏目漱石が1906年に発表した小説 坊ちゃんによるものです。
物語で舞台となる愛媛の方言として登場する「ぞなもし」は非常に知名度が高いのです。
しかし、厳密にいうとこの表現は松山に限ったものであり、必ずしも愛媛全体で使われている表現ではありません。
九州や近畿の影響も受けている伊予弁
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この伊予弁を見たときに、いくつかの言葉に細かく分けることが出来ます。
九州の言葉の影響が強く残る南予方言、近畿の言葉の影響が大きい中予・東予方言などの種類があり、双方を比較するとさまざまな違いがあります。
また南予方言をより細かく見たときには、大洲市を中心に使われている大洲方言と宇和島市を中心に使われている宇和島方言に分けることができます。
またアクセントに関しては、この区分けごとに複雑に分布しており、東予の場合は讃岐式アクセント(京阪式の亜種)、中予の場合は京阪式アクセント、大洲の場合は型の区別が無い一型式アクセント、さらに宇和島では東京式アクセントが用いられています。
▲伊予弁を具体的に分かりやすく説明しています
話すテンポがゆっくりで語調もおだやか
愛媛の方言を言語としてみたときに、伊予弁は全体として四国の土佐弁や瀬戸内海を挟んで本州は中国地方で分布する広島弁などと類似する語彙や表現が見うけられます。
伊予弁は話すテンポがゆっくりしているのに加えて、語調にソフトな表現を用いるため、柔らかい印象を受けることになります。
ただその一方で会話の中ではややとげのある皮肉を感じさせる表現を含むこともあるため、話し方の表面的な印象だけでは相手の考えや思いをくみ取ることはできません。
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実際にどのように使われるのか?
具体的な単語例としては、次のようなものがあります。
「さようなら:いんまな」「おもしろい:おもっしょい」「ひさしぶり:おとどしい」「いらっしゃる:おんなはる」「〜かもしれない:〜かもしれんぞな」「びっくりする:たまげる」「ありがとう:だんだん」「みっともない:ふうがわるい」
などがあげられます。
また、方言とは別に本来の名称とは大きく異なるいい方で呼ぶ例が非常に多くあります。
たとえば、食べ物に関して例をあげると「じゃこ天:てんぷら」「てんぷら:フライ」「グミ:しゃぶしゃぶ」などと呼びますので、言葉の意味を知らない他の地方の人が注文をしたり買い物をした場合には違う商品を購入する可能性もあります。
それ以外にも面白いところでは「かう」という単語が複数の意味を持ちます。
「学校で机をかう」という場合は教室の後ろに運ぶ意味になり、「神輿をかう」の場合には神輿を担ぐことを指しています。
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